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寺魔王様の、ちゃんぽんスープ

久しぶりの寺魔王様のお料理時間ですワーイヽ(゜∀゜)メ(゜∀゜)メ(゜∀゜)ノワーイ

++++++

 春キャベツが出始める頃……季節の野菜も豊富になり始める。

 近所の農家さんから沢山の季節の野菜を分けてもらえる今日この頃、我の元には沢山の春キャベツが鎮座していた。





「さぁ、どう料理してくれようか……」





 最近父は腹の肉を気にし始めた。

 母も夏に向けて痩せたいと言っていた。

 勇者と魔法使いは知らん、奴らは上手い飯さえ出せば文句は言わない。



 そして、ついさっきニュース番組で「()()()()()()()()()()()()()()()()()()」特集なるモノを観たばかりだ。

 ――これは是非、勇者には相手の胃袋を掴むべく精進させなくては。

 そう奮い立った我は、目の前にある春キャベツを見つめ二ヤリと微笑んだ……。








「と、言う事で、今日はちゃんぽんスープを作ります」

「何がどういうわけでそうなったのか解らない!」

「貴方の料理スキルはまだまだお粗末です! まだまだ修行が必要です! 飯マズ嫁に夫は着いて来ませんよ!」





 丁度学校から帰宅したばかりの勇者を捕らえ、エプロンを顔に投げつけると、恨めしそうな表情でエプロンを掴み睨みつけてきた。





「相手の胃袋を掴めばこっちのものです。さぁ、御託は良いのでさっさと着替える!」

「ク……オクソ!!」

()、を付ければ綺麗になる言葉じゃありませんよ」





 コツンと勇者の頭を叩きつつ本日の夕飯に使う食材を籠に入れて見せると、我は包丁を片手に本日のメニューを伝えた。





「本日のメニューは、ちゃんぽんスープです」

「麺は?」

「先日、父が腹が出てきた事を気にしていた事と、母もダイエットをしたいと口にしていたので麺は無しです。その代わり、ガッツリ野菜を食べれて満足感のあるものをと考えて本日の、ちゃんぽんスープにしてみました」

「ほうほう」

「少し味が濃くなりますが、満足感を得る為には今回は目をつぶります」

「了解だ!」





 こうして、本日の勇者調教……もとい、勇者に料理を教える作業を始める。






「まず、本日の主役は春キャベツです。ひと玉丸々っと使いますので、大き目で深皿のフライパンを用意してください」

「コレだな!」





 そう言うと、我が家で一番大きい深皿のフライパンを取り出した勇者に我は頷いた。





「今回の主役、春キャベツ丸ごと一個、そして玉ねぎ一個、にんじんは一本でも良いんですが、キャベツが多いので半分使いましょう。それにモヤシを一袋……ここまでが野菜です」

「練り物は?」

「今回の練り物はチクワにしようと思います。スーパーに売っているちゃんぽんの具を使うのも有りでしょう。豚肉は200~300gが丁度良いでしょうね。豚肉に良さそうなのが無ければベーコンでも構いません」

「ふむふむ」

「あ、ちなみに今回は()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()





 我の言葉に勇者は目を見開いた。

 確かに一般的にはちゃんぽんと言えば、スーパーで売っているちゃんぽんスープの元を使うのが一般的だろうが、我は一度も使ったことは無い。





「何を驚いているんです」

「ちゃんぽんスープって作れるのか?」

「簡単ですよ?」

「えぇ……?」

「論より証拠、今からスープを作りましょう。今回はスープを先に作っておきますよ」





 そう言うと我はボウルを取り出し、水900、シャンタンを大匙3、酒大匙1、それに塩胡椒を 少々、更に黒胡椒を少々入れ込んだ。

 少々……というのが解らないと言う勇者だが――。





「何で少々なんだ?」

「野菜を炒めている間に一度塩胡椒をするので、少々にしているんですよ、そこは自分の思う少々と言う量を考えて作れば大丈夫でしょう」

「うーん、曖昧だよな、少々って言葉」

「人間なんて曖昧で出来てるものですよ。それでも美味しいものが食べれれば文句が出ないんですからお手軽です」





 そう会話をしつつ、出来上がったスープを軽く混ぜておく。

 シャンタンは万能調味料だ。





「このスープが本当にちゃんぽんになるのか?」

「最後までお待ちなさい」

「むう」

「それでは、調理を始めますよ」





 そう言うと勇者は大きく溜息を吐いた後、父からプレゼントされた勇者専用の包丁を握り締めた。

 とは言っても、今回の野菜の切り方というのは、とっても簡単なのだ。

 キャベツは芯を取ってざく切り、ニンジンと玉ねぎは短冊切り、練り物も適当に一口大くらいに切れば良いだけだし、モヤシに至っては水で軽く洗っておけばいいだけの、初心者には此処までは楽に出来ることだろう。




 ――さぁ、()()()()()()()()()()()だ。







「では、フライパンを軽く温めたらごま油を大匙1入れて下さい」

「了解だ!」

「次に豚肉を投入!今回は良さそうな豚肉が無かったので厚手のベーコンです」





 そう指示を出して勇者がベーコンを入れた瞬間、バチバチと音を立てつつ、たまに油が爆ぜる。

 驚く勇者に我は後ろでニヤリと微笑んだ。





「魔王! なんか色々爆ぜるんだけど!?」

「洗礼を受けましたね」

「こんな洗礼欲しくない!」

「炎魔法よりも痛くないでしょう? ほらほら、口よりも手を動かしなさい、豚肉なら色が変わるくらいまで炒める。ベーコンなら軽く水気が飛べばOKですから」

「あちっ あちち!!」

「火力は強火ですよ!」





 そう言ってコンロを強火にすると、勇者は「ひぇえええ!」と叫び声を上げつつ、爆ぜる油に悪戦苦闘している。





「はい! 次はニンジン投下!ニンジンがしんなりするまで炒める!」

「あわわわわっ」

「フフッ ちゃんぽんが楽に作れると思っていたようですが……此処からが本当の戦争ですからね?」

「一体なんの戦争だ!?」





 そんな事を叫ぶ勇者を無視して、次に玉ねぎを勝手に投入。

 必死に炒める勇者を他所に、玉ねぎが透き通ってきたのを見計らい――。





「さぁ……戦争のお時間です」





 ――そう口にすると、我は練り物と春キャベツをフライパンに投入した。





「ああああああ―――!!」

「ハハッ 見事な山盛りの野菜ですね!! さぁ、筋トレのお時間です。下の野菜が焦げないようにシッカリキャベツと練り物も炒めなさい!」

「ムリムリムリムリ!! 重いし! 多いし!」

「多少焦げても、今回は誰も文句言わないでしょう!さぁ、その貧弱な腕を使い美味しく作って見せなさい!」

「ぬあ―――!!」





 雄叫びを上げながらも必死に下の野菜が焦げないように、そしてキャベツにちゃんと火が通るようにフライパンの中と戦争する勇者。

 それでも暫くすれば綺麗にキャベツにも火が通ってきたようで、嵩が減ってきたようだ。





「やれば出来るじゃないですか」

「当たり前だ! 私は勇者だぞ!」

「そうでしたね」





 その言葉と同時に、キャベツの上にモヤシを追加して差し上げた我は優しい。





「ふおおおおお!?」

「ちゃんぽんと言えばモヤシは忘れてはいけない食材ですよね」

「くそおおお! 失念していたっ!! まとめて火を通してやる!」

「さて、此処で一つスパイスを入れます。モヤシを投入した頃に入れるのがベストな……味塩胡椒~」

「耳の無い青い猫か!」





 勇者からの鋭いツッコミを無視して我は味塩胡椒を気持ち多めに振りかけると、勇者は「えーいもう!」とか叫びながら炒め始めた。

 そう、気持ち、多め。

 決して大量の塩胡椒では無い事を覚えておこう。

 その後も勇者は必死にフライパンの中の大量の野菜と格闘しながら炒め続け、モヤシがようやくシンナリしてきた頃、我は前もって作っておいたスープをフライパンに流し込んだ。

 この時、更に一段火力を上げておくと尚良い。





「お疲れ様です。このまま沸騰するまで暫くプルップル震えてる腕を休めて置いて下さい」

「くう……本当に疲れた……」

「多少焦げが出来たようですが、そんなの愛嬌ですよ」

「でも焦げたら美味しくないんじゃないか?」

「そうですね、確かに焦げずに作れれば最良ですが、男性より女性のほうが力はありませんし、全く焦がさずに作るというのは難しいでしょう。ましてや初めて作る料理で今回はムチャをさせましたから、これくらいの焦げは許容範囲です」

「なんか負けた気がする」





 ブツブツ文句を言う勇者を無視して、沸騰した頃合で火力を弱火まで落とし5分煮込む。

 キッチンタイマーは主婦の味方、主夫の味方、そして我の味方だ。

 5分煮込むと、キャベツが柔らかくなっているのを確認し、冷蔵庫から()()を取り出す。





「牛乳?」

「ええ、ここで牛乳を100入れます。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「なんと!?」





 驚く勇者を他所に、フライパンに牛乳100流しこむと、沸騰する直前で火を止め――本日の夕飯、ちゃんぽんスープの完成だ。

 味見をさせると「本当にちゃんぽんの味だ……」と驚く勇者に満足する我。





「ちゃんぽんスープの元を使わずともちゃんぽんが作れます系女子になれますね」

「それ、凄いのか凄くないのか解らない」

「料理上手と思われますよ多分」

「料理上手とは思われたいなぁ……でも確かに手作り感もあって……こんなのを好きな女の子に出されたらイチコロかも知れない」

「貴方、今の性別理解してます?」





 そんなツッコミを入れつつも、本日の夕飯、ちゃんぽんスープが出来上がった。

 味は上々、勇者も頑張ったようだ。

 簡単そうに見えて、実は結構体力がいるのが、ちゃんぽんだったりするのだが、世の主婦、世のお母さんには感謝しなくてはならないだろう。





 寧ろ、美味しい料理を作ってくれる人に感謝すべきだ。





「美味しいですね、勇者の頑張りのおかげです」

「ふふ~! もっと褒め称えよ!」

「焦げがマイナスですけどね」

「そこはさっき良いって言ったじゃないか!」





 ――褒めると頭に乗る相手は落としてナンボ、勇者に対しての我の考えは変えるつもりは無い。

 これが聖女とかなら話は変わってくるんだがな。





 こうして作ったちゃんぽんスープは一日で綺麗に食べ終わり、家族みんな麺無しでも満足したようだ。

 やはり、濃い目の味は満腹度が高い。

 だが頻繁に食べたいとは、味が濃いと思わない我がいる。ダイエットメニューとて麺無しで考えたから仕方は無いんだが……。





「私はやはり、麺が欲しいと思ってしまいますね」

「まぁまぁ、お母さんに合わせてダイエットメニューお願いね!」

「あ、はい……」





 こうして、母の笑顔の為に、夏まできっとダイエットメニューが続くんだろうなと察したとある日の夕飯の出来事。








■ちゃんぽんスープ■




材料:キャベツ沢山 玉ねぎ1個 ニンジン半分 もやし1袋 豚肉100~200g 

練り物100~200g  (大きなフライパンの方で作る)



スープ(牛乳以外を先に混ぜておく)

水900 牛乳100 シャンタン大匙3 酒大匙1 醤油大匙1 塩胡椒少々

   黒胡椒を少々



野菜の大きさ:キャベツざく切り ニンジンは短冊切り 玉ねぎも短冊切り 

       モヤシは水で洗っておく 練り物も適当にきっておく(一口大くらい)





①フライパンにゴマ油大匙1をひいて温める

②豚肉を入れて、色が変わるまで炒める (ベーコンなら軽く水気が飛べばOK)火力6

③ニンジンを追加して炒める (火力6のまま)

④ニンジンが少し、しんなりしてきたら玉ねぎを加える (火力6のまま)

⑤玉ねぎが透き通ってきたら、練り物とキャベツを加える (火力6のまま)

⑥キャベツがしんなりしたら、モヤシを加える (火力6のまま)

⑦塩胡椒(気持ち多め)を加えてモヤシがしんなりするまで炒める (火力6のまま)

⑧混ぜておいたスープを加えて沸騰させる (火力7~8)

⑨沸騰したら火力3まで落として5分煮込む  (火力3)(蓋なし)

⑩キャベツが柔らかくなった事を確認して、牛乳を加える。(キャベツが硬ければ煮込み追加)(火力4)

⑪沸騰直前で火を止めて完成。





時期野菜は美味しいですよね!

料理初心者マークの作者は、最初簡単だろうと挑んで悲鳴を上げた料理の一つです(笑)

ちゃんぽんの野菜、スゴイ……。


また、ポチッと応援や感想があると励みになります(∩´∀`)∩

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