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1 プロローグのような短編集

作者: A

前の人生は医者、その前は王様、その前は兵士…

何回転生しても許してくれない神様。

私は許されない。

この人生は一体なんのために…?

繰り返したはずなのに辛い

死ぬのが辛い、つらい。


涙が止まらない。なんで生きているのか。なんで死にゆくのか。なぜ死せるものは我々に会いに来たがるのか。なぜこの世界は存在しているのだろうか。なぜ僕は生きているのだろうか。僕は"生きている"のだろうか。



現在進行形で僕の体は腐敗していくのだろうか。匂いも鼻を突くような匂いになってきている。心臓がまともに動いていない気もする。気持ち悪い…吐きそうになる。喉元まで胃酸が上り詰める。口から吐き出してしまいたい。最後の足掻きすらもさせてはくれない。こののぼってきている液体は胃酸ではない。血だ。早いところ僕は昔から体が悪く吐血をすることが少なからずあった。それはどれも死に至るものではなかったが、どんどん命が千切れていった。消耗していった。


そんな僕にひとつだけ楽しみがあった。小説を書くことだ。物語、論説でもいい。文を書いていることが楽しかった。何よりも楽しく有意義だった。この小説を読んでる人がいる、この小説を楽しみにしてくれている人がいる、と思って書くと自然に面白いという感情を抱いていた。これは当たり前なのか僕だけなのだろうか。、と言ってもそんな特別受賞作とか表彰されるほどものではなく小さいサイトの中で書いている。楽しい。毎日起きてはサイトを開き上手い人のものを読んで参考にしたり負けじと自分だけの表現を探し続けた。


ある日僕は小説がかけなくなった。ほかの人たちみたいに話題がなかった。そう、病室から見る空なんて手に収まるほどしかないからそんな中で材料探しなんて無理だ。みんなもいや、一流の人も長くは続かないだろう。ネタだってマンネリ化してくるし読者が減る一方。悲しくなってきて書くことを諦めようと思った時もあった。その時だった。一瞬退院許可が降りて外に出ていける機会が与えられた。僕はたくさんのものを食べ、見て、触れ、感じた。葉はこんなに瑞々しくて土はこんなに暖かい、まるで生きている物のようだ。とても新鮮だった。とても世界は残酷だった。


弱肉強食。それは自然の中では当たり前なのだろう。捕食をし、捕食される。それをまた捕食し、捕食される。その連鎖を人間が触ることで途切れる。自然界は僕が想像するよりも人間に管理され縮こまっていた。木は人間に綺麗に管理され苗木が添えられている。川は綺麗に舗装されまっすぐな線になっていた。光は物によって適当な場所にしか当たらず、風よけのためと壁が建てられている。しかも人は決められたことしかやらない。人間ですら人間に支配されている。この世界はなんなのだと僕は疑問に感じた。こんな世界を僕は何年待ち遠しく待っていたのだろうか。僕は何に魅力を感じこの世界に出ることを望んでいたのだろうか。僕は絶望した。文書では「地球温暖化を防ぐために木を植え排気ガスを減らす」などと書いてはあったがそれは嘘たっだんだと心から思い知らされた。


部屋に戻りパソコンを目の前に僕は原稿用紙に文字を書き始めた。しかし書くことがなかった。何を書いていいのか明白ではなかった。目の前にあった現実をそのまま紙に書き移せばいいのだろうか。

「世界は残酷で自然は人間に支配されていて人間自身も人間に支配されている。」

とでも書けというのか。こんなことは書きたくもないし忘れたい。初めて見た世界。それがあれだなんて。落胆。生きているかちなんてない。分からなくなった。何も、何もかけなかった。『あ』すらかけない。何も、本当に何もかけない。手が震えた。悲しかった。かけないなんて初めてだった。書きたくないと思ったのも今日が、____初めてだった。




「私が見た世界は残酷で人が人によって支配され、管理され綺麗になってから手を離れまた人を支配したいという欲求を抑えず存分に発揮することで優越感を感じひとりでニヤついていることが多く存在する。私はそれを初めて目に入れて気づいた。森を整地し、耕し、自分のモノにすることで人間は生きていける。自分の居場所を欲しがり旅をする。そう、私の目には写った。」


たったこれだけしか書けなかった。書くべき原稿は山のように積まれている。一向に減らないし書きたいことも特になかった。ただ"この世界は残酷だ…そして…とても美しい"と一言を残すアニメのキャラクターに同情することしか出来なかった。慣れてしまえば別に束縛されることも束縛することもなんともないのだろうが僕にとっては異様な姿だった。親が子供の遊びたいという気持ちを束縛し自分の理想のために育てる。そんな姿は異様だった。何故だろうか。人間は、どこで道を間違えたのだろうか。まぁ、僕はそう言いつつもそんな事をやっている姿を羨ましいと思う心もあったことを無視はできない。支配欲、というものだ。必然的にわくものだろう。そしてそれは皆同じ。





「午前12時45分、新羅郡かしきさんがお亡くなりになりました。」




生のタイムアップは目前だった。もう止まってしまった心臓。止まってしまった足。止まってしまった目。止まってしまった景色。止まってしまった時間。抜け殻と魂は願う。このまま消えていきたいと、このまま安寧していきたいと。願い、願い、願った。無いものにもすがって願う。だけどその願いは途切れた。声が出なかった。喉はとうに枯れ果て音なんて出なかった。失われたものは記憶、せい、新鮮さ、温もり、声。伝えることすらもできなかった。ベッドに横たわる死体。私はどうにも無力だった。そして愚かだった。死から逃げることなんてできなかった。吐血し嘔吐し汚くなったベッドの上から私は思う。


「____下らない人生だった。」と


ここまでの茶番を覆しこれまでのゴミクズのような人生を捨て自ら外へ踏み出し欲求を消して。どんどんと迫り来るものが私を連れ去っていく。暗くて冷たい何かが私を取り巻く。この人生へサヨウナラをいう。もう二度と見たくない光景にまた目を向ける。少々口を開けた死体。私はそれに触れる。何も、感じなかった。泣き出しそうになった。私の生きている意味がわからなかった。笑いが這い上がってくる。


「ははははは…あっははははは……!!!!」


聞こえない声で笑う。咲う。嗤う。哂う。呵う。听う。ワラウ。聞こえないはずなのに叫ぶ。號けぶ。避けぶ。怒鳴る。度なる。ドナル。


サヨウナラ。

私の人生。


サヨウナラ。

私の体。







と、ここまでがプロローグ。



私の人生はここから。私は空島瑠璃香。私は前世の記憶を持つたったひとりの人類。私が生まれた頃には人間が沢山いた。だけど隕石(地球に沿って流れていた星。この世界で月のような存在の欠片)が落ちてきて人類は破滅した。いや、私だけが残った。私は頭がいい。前世、文を書くことを趣味にしていたわけで中途半端に頭がいい訳では無い。頭がいいし、何でもできた。だから私は隕石が落ちる前に逃げることが出来た。逃げると言っても隕石が落ちてきたのにどうやったのだと言われればまぁ答えられなくもない。


落ちると予想された場所の反対に行って地下に潜った。地球は運悪く残って半分以下まで消し飛んだ。もちろん人間はもういない。残っていたら会いたいものだ。私はAndroidを作ることが出来る。Androidをなんて言っても格好がいいものではないが。


作った世界ではどうなのだろうか。

作ってAndroidたちはどうしているのだろうか。

私は知りたい、しかし無理だ。

私はもう死ななければならない。

理由は簡単、Androidの世界に人間は




____必要ないのだから。






冷たくて硬い。

私は誰?

私はまた転生したの?

私は____Androidか。


私は一体何者?

私は…自我を持ってる?

ロボットは、Androidは自我なんてないはずなのに。


そしてまた壊れる。

そしてまた生まれる。

そしてまた壊れて生まれる。

壊れて生まれる、壊れて生まれるの繰り返し。

何が面白くて何が悲しくて何があって私は…こんなことを繰り返しているのだろうか。



私にはわからない。




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