動き出した影―手紙―
スカイとコアは今回お休みです。
親愛なる☓☓☓へ
これを☓☓☓が読んでいるときに、☓☓☓の知っている私はもういないでしょう。
でも、これだけは知っていてください。
私は、☓☓☓のことが大好きです。あんなことを言ってしまったけど、大好きです。☓☓☓は私の大事な弟なのですから。
それは、どんなことがあっても変わりません。
ところで、あの子たちは元気に過ごしていますか?
とくに、双子ちゃんたちのことは心配です。
落ち着きがない子達ですから、私のことを探しに行こうなんて考えたりするかもしれないですね。止めてくださいね。
☓☓☓が探しに行くなんてこともしないでくださいね?
☓☓☓、泣いていませんよね?この手紙を書いている今、☓☓☓が泣いてしまっている姿が想像できてしまうのです。
こんな兄のためになど、泣くものじゃありませんから。
お父様とお母様は怒っていることでしょう。
伝えられるなら、ごめんなさいと伝えといてください。こんな息子でごめんなさい、と。
最後になりますが、幸せになってください。
兄としては、あいつなんかに☓☓☓を渡したくなんかないわけですが、☓☓☓とあいつが望むのであれば、祝福しようと思います。
○○○より
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深い深い森の中の屋敷は、荒れていた。その一室、薄暗い部屋の中、一人手紙をよんで泣いている。
手紙は何度も読まれたようで、切れてしまいそうになっている。ところどころ、虫食いにもあっている。
「うう……、兄様。☓☓☓は待っています。何百、何千年でも、ずっと……!」
大切そうに封筒にしまい、机の引き出しに丁寧にしまった。
この部屋は、他の部屋と比べて異様と言っていいほどきれいだ。隅々まで掃除が行き届いている。
他の部屋は、窓が割れ、家具はボロボロになって倒れてしまい、カーテンは引き裂かれているというのにだ。
「☓☓☓、また読んでいたの?○○○は、死んでいるかもしれないよ?」
「アイビーの言うとおり、死んでるかもだよ?」
成人したかしていないかくらいの男女か☓☓☓に言う。
男女は鏡に移したようにそっくりな顔をしていた。
「そんなことない、兄様は生きている。絶対に……、絶対に生きている!」
☓☓☓は叫んだ。
「だったら、探しに行けばいいでしょ。アタシとオリヴァーがついて行ってあげるわ」
「そうだね、☓☓☓が今も生きているわけだし。行こうよ」
男女はそんな☓☓☓に提案した。
すると、☓☓☓の瞳は光り輝いた、という表現がぴったりなほど、活気があふれ出した。
数日後、彼らは屋敷から出発した。
長くしようと思っていたんですよ?