学園都市へ
「コアね、早速で悪いが君はどれくらいの力を持っているんだ?」
オレはコアと並んで歩きながら聞いてみる。
もし、コアが強いのならば盗賊とかに出会っても自衛くらいは出来るだろう。弱ければ、コアを守りながらになる。そうすると、盗賊の気配を避けていかなければいけない。
コアの力次第で、学園都市まで行く時間計算が変わるからな。
「えっとですね、全属性つかえますけど……実戦経験はないので、はっきりとはわかりません」
全属性使えるのか……それはいい。
普通の大人が使えて三属性くらいだから、コアは手練だということだ。
「あ、あと……人間の国一つくらいなら片手でほろぼせま……」
コアは途中まで言ってから、自分の言いそうになってしまったことに気づいて、口をおさえた。
いや、ほとんど言ってしまっているから、意味はないようなものなんだけど。
とにかく、コアが戦力として数えられること、もしかしたらオレより強いかもしれないことがわかった。
全属性使えるということは、光、闇、水、火、木、雷の六属性が使えるということ。臨機応変に使い分ければ何でもできてしまう。
ちなみに俺は闇、水、火、雷の四属性が使える。
人間の国一つ壊すのなんてオレはやったことはないが、オレもそれくらいは出来てしまうと思う。
伊達に長い間を生きていないしな。それも、今まで死ねなかった原因の一つなんだろう。
「スカイさんっ!今のナシで……いいですか?」
慌ててオレにお願いをするコアは涙目になっていた。
この子、訳ありで常識を持っていないなんて、相当な箱入り娘だったか。
あと、少し可愛そうな子……?
それにしては、破格の強さを持っているようだが。
「それは、ダメだ。」
聞いてしまったんだ。
「うう……、じゃあ、口外しないでもらいたいです」
「それはいいが、どこまでなら人に見せれるんだ?」
別にオレとしても、言いふらす気はない。
「そうですねぇ、中級魔法まで。ですね」
しばらく悩んでから、コアはオレにそう言った。確かに、中級魔法までなら問題ないな。
中級魔法は、成人した人が使えるレベルのもので、コアはそろそろ成人だと思われるから、魔法が得意な人ということで通る。
オレもそう考えて、人のまえでは中級魔法までにしているしな。
「それなら、心配ないだろう」
「あ、そうです!」
コアが何かを思い出したようで、声をあげた。
「私、飛行魔法は使えないけど、重力魔法は使えます」
「重力魔法?」
そのコアの言葉のいった意味がわからない。重力魔法は、飛んだりできるものじゃないはずだ。
「そうです。でも、ちょっと工夫すれば……!」
「そうか?」
コアが自信ありそうな顔で言うんだ、信じてみよう。
それから、オレとコアは日が暮れてからそれぞれ、飛行魔法と重力魔法を使い、夜空を駆けた。
コアの重力魔法は、自分の重力を魔法で操作して、空に浮かぶというものだった。
面白い使い方だと思う。
重力魔法は敵などの足止めのために使われることがほとんどだ。自分に使うなんて、だれも思いつかなかっただろう。
もしかしたら、他の魔法にもそんなふうに別の使い方があるんじゃないだろうか。
「気持ちいいですねぇ!」
コアの髪は風をうけて、さらに月の光をうけて幻想的に、はためいている。
コアの髪は特に珍しくなんかない、イエローゴールドなのに、不思議な感じだ。
「そうだな」
このまま行けば、一ヶ月ちょっとでつくだろう。着いたら、どうしようか。
オレは学園都市に着いたら、どこかの学園に入って、少しの間は情報収集に努めるつもりだ。
コアはどうするのだろうか。
「なぁ、コア」
オレはコアが自分同じふうにどこかの学園に入って情報収集するだろうという、少しの期待を含んで聞いた。
「君は、学園都市に着いたらどうするつもりなんだ?」
コアは、初めてあったときの考えなしだったのが嘘のように、すぐにはっきりと返事をした。
「学園都市には、私とお兄ちゃんが親しくしていた方がいるので、まずはその方の元へいってみようと思います」
「そうか……」
少し残念だか、って何を考えているんだオレ。なんだよ、少し残念だよ。
ああ、調子狂うな。
次回からもう少し長くできるようにがんばります。