馬と魚
塩をかけて焼けば美味しいのに。美味しいのに
学園都市に行くのは決めたのだが、どうやって学園都市に向かうとしよう。所持金はさっきの事故で爆発とともに散っていってしまって、手元に少ししかない。
金貨一枚と銅貨二十七枚。馬車だったら金貨一枚で、食事付き。歩いたり、飛行魔法で行くんだったら、危険が伴うし、食事は自給自足か、どこか人里で店を探すしかない。
こんな場所に人里があるとは思えないがな。こんな観光以外で来ない僻地に。
さて、どうしたものか。
どちらの方法でもそんなに合計出費はかわらないはずだから、速さを選ぶか、安全を選ぶか。
馬車には護衛なんかを雇うことはすくない。そのぶん、馬車に載せる食料が減るし、乗せる人数も減る。
つまり、速いだけで、盗賊などに襲われる危険性が大きいわけだ。盗賊もそこを狙って襲うわけだし。
オレひとりで馬車に乗るんだったら怪我を負っても大丈夫で死なないから危険なんて存在しないわけだけど、大勢の前ではそんな怪我をして目の前で治癒してしまうなんていう光景は見せたくない。運が悪ければ、怪しい研究所送りにされるかもしれない。それは嫌だ。
矛盾しているよな、死にたいけど、大勢の前でさらして変なところに捕まって実現とかでは死にたくないなんて。
ああ、こうなったら馬車使えなさそうだな。
…乗り気じゃないけど、歩いたりして学園都市に向かうしかなさそうだ。
学園都市まで一ヶ月というのは、馬車での計算だったから、歩いたりするとどれくらいかかってしまうだろうか?
そろそろ、日が暮れる。お腹も空いてきた。
不老不死に近いからだのくせに、腹は減る。まぁ、腹は減るけど、食べないでも生きていける。
けれど、空腹で食べないと倒れてしまったり、動けなくなる。
つまり、生きてはいけるけど、活動はできなくなる。
そうなると、生き地獄っていうんだったか、それを味わうことになるのだ。
だから、早速狩りをしようと思うのだが、けものの気配が全く感じられない。森が近いからいるかもしれないと期待したんだが、いないならしょうがない。近くの小川で魚を釣ろうか。
魚はにがてなんだが、生き地獄を味わいたくはないからな。
早速、釣り道具を作ろうと思って、あたりを探すとちょうど良い木の枝は落ちていた。そこまでは良かったんだ。
それ以外がない。針と糸が。枝以上に大切な部分が。
だってさ、針と糸があれば木の枝がなくたって釣りができるが、木の枝だけあっても何ができるっていうんだ!
もしかして、最終手段の憎き魚どもと同じ土俵に入らないと行けないのか?!川の中という土俵に!
憎き魚は悔しいことに大量だった。今日食べない分は干物にしてやろう。
太陽の光で徐々に水分がなくなっていくという苦しみ。魚にはいい罰だ。
少し嬉しかったのは、甲殻類で美味しいナガというのが数匹捕れたということだ。
魚とナガや海藻は別である。魚だけが苦手なのだ。
翌日、干しておいた魚がいい具合に水分が抜けていたから今日は結構な距離を進めそうである。魚よいいきみだ。
醤油をつけてもおいしいよ。
そういえば、まだ名前だしてないですね。