03 伝説の武器を装備した!
さあ、どうぞどうぞ。勇者アイスの冒険、応援よろしくお願いします~!
俺は母さんが作った勇者の服に着替えた。
青を基調とした下地、それに見たことのない模様が刺繍されてある。その他に手袋とブーツ、マントが揃っていたので全て身に付ける。
「おお、これはマジで勇者っぽいな」
流石は母さんだ。やることが半端ない。
「格好だけはマジで勇者だな。それと稲妻の剣と魔法の盾か……」
この伝説の剣と盾、これが本物なら逆に他の勇者から狙われそうだな。見た感じは本物だ。何か例えようのないパワーを感じる。
よし、全て装備したから能力が使えるな。この能力はかなり特殊で珍しい。俺が気が付いた時にはもう備わっていた謎の能力なのだ。
「ま、調べてみるか。ステータスオープン! 装備を確認!」
稲妻の剣 ☆☆☆☆☆
伝説の剣。世界に十本ある伝説の武器の一つ。雷属性。
魔法の盾 ☆☆☆☆☆
伝説の盾。おとぎ話に出てくる魔法を跳ね返す盾。
勇者の服 ☆☆★★★
ルビー=フレイバーが夜なべして作った勇者の服。
「おっ! やべぇ。やっぱり本物だ。レア度マックスの正真正銘の伝説の武具だ。マジかー、母さん、これはやり過ぎだろぉ」
これは……間違いなく本物。このステータスオープンでは俺自身のステータスを確認できる。このステータスで表示されたってことは本物だってこと、嘘や間違いはない。
いや、今までは一度としてなかった……かな。それにこの剣と盾の威光、間違いなく本物だ。
「しかし、こんな駆け出しの、まだ勇者に認められてない俺が持ってたらおかしいよな。それに熟練の勇者がこの装備をほっとかないだろ!?」
「おーい、アイス~、まだ~?」
ミントが俺を呼んでる。アイツ、マジでついてくるんだろうな。魔王を倒しに行くんだぞ、お使いに行くんじゃないんだ。わかってんのか?
いや、今は山積みの難題を置いといて考えよう。下で俺を待ち構えているのは魔王よりも手強いかもしれない二人組だ。あの二人を何とか仲間に入れない方法を考えろ。
うーん。――ないな。思いつかない。やっぱり王様に認められないように頑張ろう。これしかない。
覚悟を決め俺はゆっくりと階段を降りる。
意を決して階段を降り一階に降り立つ俺。だが、目の前にはテーブルを囲んで朝食を食べている美少女二人がいた。
いや、美女と美少女か。
「……何やってんの? 母さん……ミント……」
「おっはよー、アイス。おっ、似合う似合う、さっすがルビーちゃん! バッチリ勇者だよ、よかったね、アイス~」
「うん、似合うわ、アイス。それでこそ勇者ね」
「いやいや、なんでこれから王様に会いに行くって言ってるのに飯食ってんだよ」
二人は朝から女子会でもやってるかのようなテンションで俺を見ている。
しかもテーブルにはサンドイッチとサラダ、紅茶で彩りよく飾られている。美味そうだ、きっとミントが作ったんだな。
「ほら、アイスも座って食べましょう。ミントちゃんが持ってきてくれたの。ミントちゃんは料理上手だからきっといい奥さんになるわよ~」
「やだ~、ルビーちゃんたら。ホントはお城に行く途中で食べようと思って作ったんだけどね~」
やっぱり。母さんは料理が得意じゃないからな。しかしなぁ……。
「どうしたんだよ、アイス? アタシのことそんなにジッと見るなよ~」
「いやいや、なんでそんな格好してるんだよ、ミント。それ、突っ込むとこか? それにその髪、どうした?」
幼馴染みの、これまたとんでもない美少女、ミント=ラブベリー。
ミントもやはり冒険に出掛けるような衣装を身に纏っている。
しかもトレードマークの桃色で腰まであった綺麗な髪が肩につく位までになっていた。
「へへ~、どう? 似合う? 今日の為に切ったの」
「今日の為にって……。その外套とトンガリ帽子ってまさか魔法使いか?」
「そうだよ、冒険には必用なメンバーでしょ?」
「……そ、そうか似合ってるよ」
「ありがとうアイス~」
ミントって魔法はからっきしの感覚なしだったのに……。選ぶチョイスを間違ってる。どちらにしろ一緒に行く気だから突っ込んでも話が面倒になるだけか。
「さあ、座りなさい、アイス。食べながらでいいから母とミントちゃんにこれからどんな冒険がしたいか聞かせて。勇者としての抱負なんかも聞きたいわ」
どんな冒険? そんなの無いな。抱負なんて尚更ない。
母さんとミントの視線を嫌というほど受けながらテーブルに準備されたサンドイッチを一口食べる。美味い、流石はミントだな。
「美味い、やっぱりミントは料理が上手だな。魔法使いよりもこの料理の腕を活かした方がいいんじゃないかな?」
さりげなくソフトに切り出してみよう。
「……アタシが魔法使いじゃ駄目ってこと? アイスはアタシが仲間にいたら全滅するって思ってる?」
「え?」
「アイス、アイスが本当にそう思ってるなら母は悲しいわ。ミントちゃんほどアイスのことを守ってくれる魔法使いはいないと母は思うわ」
「いや、そんなことは思ってないって――」
「じゃあ、いいね! 問題なし~」
ミントは何もなかったように紅茶を一口飲む。くっ、母さんとミントの連繋にはつけ入る隙がない。まるで打合せしてたかのような手際の良さだ。いや、負けるな。
「いや、危ないだろ! 魔王を倒しに行くんだぞ、ピクニックじゃないんだからさっ」
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