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兄
母の仕事は夜勤が多いため、大抵の夕食は俺が自分で作るようにしている。
学期明けのテストに向けてテスト勉強に勤しんでいる俺は、勉強が一段落ついたところで、少し遅めの夕食を作ろうと、部屋からキッチンへ向かった。
誰もいない広いリビングに向かい設置されたキッチンで、静寂の中、料理をする音だけが響き渡る。
いつものことだが、時間が遅いためかやけに肌寒く、寂しさを感じる。
そんな俺の心中を読んだかのように、家の固定電話が鳴った。
「うおっ!?」
いきなり鳴ったそれに声を上げ、まるでドッキリでもかけられたように心拍数が上がる。
「こんなタイミングで……誰だよ全く。____はいもしもし……っ!?」
若干逆ギレ気味とも取れる、大きい態度で電話に出たが、受話器の向こう側から聞こえてくる声に、思わず反応してしまった。
『もしもし?その声はもしかして和かい?俺だよ、元気にしてた?』
____「あ、兄貴……!」