幕間 地割れと病の異変
褒めて褒めてー!
神にさえ知らないこと、知ってはならないことがある。
例えば、神々でも月の裏を知ってはいけない。それは人がただ妄想で作った、誰も知ることのない物。
そのように、全知全能の者でも知らないことがあるのだ。
そしてこれから書く物語は、突然起きた、乱れてしまったこと。
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「なぁ詠音…最近何かが軽いんだ」
それは鏡の訳の分からない一言から始まりだった。
「何か…って何?」
「当然にある物が無いっていう感じだ」
深く考えなかった。そんなことより、今のことなんだと。
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一方自然組の方の幻想郷。そこでは秋、異変が起きていた。
その異変とは、謎の者が出現し心の病を起こしさらには一部の区域の地面に何かが地面に刺さる音と共に亀裂が入ったかと思えば突然割れたという。
多くの妖怪も博麗の巫女に協力して直したがまだその異変は収まらず元凶も退治されていない。
人里では「今度こそこの世の終わりではないのか」とも噂され、これもまだ解決されていない。
博麗神社。
霊夢は人里での都市伝説異変だけを解決しようとしている。地割れや心の病など他人事だと思っているらしい。
「確かに異変は多かったけど…なんで二度もこの変な噂が流れるのかしらね」
帰る所の参拝客を見送る霊夢の横には魔理沙。霊夢が参拝客が帰って行ったのを確認すると、ゆっくりとまず霊夢が浮き上がる。そして次に魔理沙が箒に乗り浮き上がった。
「原因を突き止めるだけでも一苦労だ。前は文が新聞でなんとかしてくれたが、今回は新聞じゃ歯がたたねぇし」
「でも、永遠亭や命蓮寺も前立てた対策があるから少しは楽ね」
言いながら、二人は飛び人里に向かう。人里は相変わらずその噂の所為で賑わっているはずなのに人が少ない。秋だからゆっくりするという人もいると思うが。
しぶしぶ二人は行く当てもないのでその場で思いついた鈴奈庵に降り立つ。
鈴奈庵は開いていて、中に入ると外からでも見える場所に机と椅子がありその椅子に看板娘の本居小鈴が座り眼鏡を掛け読書をしている。そしてその隣には稗田阿求が立っている。二人は何かを会話しているようだ。
「いらっしゃいませ。あ、霊夢さんと魔理沙さん」
眼鏡を外して机に起き二人を迎える。その表情は異変の中だと言うのにいつも通りの笑顔だった。
「小鈴ちゃんと阿求はまだ異変にはかかってないのね」
霊夢はホッとした表情になる。だが魔理沙は気まずそうな表情をしていた。
「どうしましたか?」
小鈴が魔理沙に話しかける。
「いや、ここはまだ地割れは起きてないんだなーと思って。私ん家は庭にどんと大きくあったのに…」
「そういえば人里はまだ被害報告がないわね」
魔理沙の発言に数秒開けて、阿求が言った。
霊夢と魔理沙はただ単に「一部の区域で地割れが起きている」としか聞かされていなかった。それに地割れなんて直してしまえば終わりなので、場所なんて気にしていなかった。
「ふーん。人里はまだなのね」
と霊夢は不思議そうな顔をする。
「あ、そうだ、文々。新聞買うぜ」
「はい、ありがとうございます」
お金を渡して新聞を持ち近くのあった椅子に腰掛ける。
内容の一つに当然異変のことが書いてあった。
『地割れと心の病だけでは私文々。新聞記者は異変ではないと主張します。』
これが最初の記事の最初の文。その続きは読む人々を元気付けるような文で、魔理沙も一安心しているようだ。
「それじゃあ私と魔理沙は違う所に行くわ。いつもありがとうね、小鈴ちゃん」
「いえ、ありがとうございました」
霊夢が店から出て行くのを見ると小鈴が一礼する。そして霊夢が出て行くのを見た魔理沙も新聞を持って出て行く。
そして霊夢は鈴奈庵の真横にある書店に入る。
「いらっしゃいませー!おや、霊夢さんに魔理沙さんとは珍しいですね」
本が所狭しと並ぶ本棚の一角から店の看板娘、小告瀬乃華が顔を出す。
「瀬乃華ちゃん。くノ一としての依頼を出したいんだけどいいかしら」
「わかりました、くノ一の依頼ですね。それで依頼内容は」
二人の様子を見ている魔理沙は適当に本を見渡す。
小告瀬乃華はここの書店の看板娘でありここの本を全て書いた小説家だ。だがそれと同時にくノ一をしている。ただ父を継いだだけ。
そして瀬乃華と霊夢は依頼の話をするために奥の椅子に座り向かい合う。
「依頼内容はあの四季の神の場所に入り込んで今回の異変についてインタビューしてきて欲しいのよ。報酬金は…そうね、十五出すわ」
「はい交渉成立です!来週までには博麗神社に伺いますね!」
意気揚々と瀬乃華は入り口からも見える奥にある階段を上る。霊夢はため息を吐きながら外に出た。
「いいのか?十五も出して」
「しょうがないわよ、忍者は高いんだから」
そう言い二人は博麗神社に戻っていった。
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「荒らすのはルール違反ですよ?」
「知らねぇよ。私の方は全てが全て争いの世界だ、いいな」
詠音が知らないその裏で、誰も知らないその裏で、とある会話があった。
その会話は誰も知っては、聞いてはならない。
次回は女の友情(第二段)
第六神話 破滅までの一ページ