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天からの使い

説明回です

気がつくと自分は教室の前に立っていた。


「あれ?俺って死んだはずじゃ...?」


トラックが迫ってきて、ブレーキの音が聞こえて、意識が途絶える。

うん、死んだ。これは絶対に死んだ。間違いない。

だとしたらここはあの世か?


特に悪事を働いたわけでもないしもしかしてここは天国...いや、それはないか。

親より先に死んどいて天国に行けるなんて都合が良すぎる。

となるとここは地獄かな。

と言うより最近の地獄は高校と同じ造りなのか、これは大発見だ。


とりあえずここに立っていても埒があかない。

目の前の扉を開けようとするがどうにも面接みたいで緊張する。

中に誰かいるかもしれないし、とりあえずノックしてみよう。

確か入室するときのノックは三回だったはずだ。


ドアをノックするとコン、コン、コンと小気味いい音が響く。


「どうぞ。」


そうすると部屋の中から返事が返ってくる。

やはり中に誰かいるようだ。


「失礼します。」


中に入ると椅子が二つ用意されていて一つの椅子に男が座っていた。

男は二十代ぐらいでスーツを着ていた。

しかしサラリーマンというよりはできる会社員、秘書か参謀のような立ち位置の雰囲気を感じさせる。

女性受けのしそうな顔や流行の髪型を見てもやっぱりそういう印象を受ける。


「座って。」


「あ、はい。」


ほうけていると男にそう促される。

特に座らない理由もないので目の前にある椅子に腰掛ける。


さて、これから何が始まるのだろう。

地獄ならやっぱり裁判のようなものでもするのだろうか。

有罪だと思うものはこちらへ、無罪だと思うものはこちらへ。みたいな。


「さて、君は今自分がどんな状況にあるか理解しているかい?」


そんなことを考えていると目の前の男がそう話を切り出す。


「はい、死んだんですよね?トラックに轢かれて。」


「理解が早くて助かるよ。普通は死なんてそう簡単に受け入れられるようなものでもないと思うけど...

君の場合はどうなんだろう。ここが死後の世界だとでも考えているのかな?」


ん?どういうことだ?ここは地獄ではないのだろうか?

だとすると天国...いや、それも違う。今目の前の男は確かにここは死後の世界ではない。と言った。


だとしたらここはどこだ?考えを巡らせるが答えがでない。

自分はてっきり地獄とばかり思っていたし、死後の世界以外に何があるのか見当もつかない。


「その様子を見るにやっぱり死後の世界か何かと勘違いしていたみたいだね。

残念ながら君の予想はハズレだ。」


「じゃあここはどこなんでしょうか?というかあなたは...?」


「うーん、ここが何処かか...それはちょっと説明しづらいな。

まずは僕が誰かから説明するよ。」


「あ、はい。お願いします。」


なんだか今日は「あ、はい」と言ってばかりな気がする。


「率直に言おう。僕は天使だ。」


「あ、はい。」


しまった。また言ってしまった。

本当に今日はこればっかり...って、今この男はなんて言った?


「ちょ、ちょっと待ってください。天使ってどういうことなんですか?」


「うん、まあそう焦らないで。それを今から説明するから。」


「すいません、よろしくお願いします。」


「うん、じゃあまず君のことから。

本来人は死んだら魂をフォーマットされる。魂をリセットするわけだね。

魂は有限だから地球以外の世界、もしくはもう一度地球に送られるんだ。

そして輪廻転生の輪に組み込まれる。そう、本来ならね。」


「ということは自分はどうなるんですか?」


ますます混乱してきた。自分はどうなってしまうのだろう。


「その事なんだけどね...」


男は話しづらいのか話を引き伸ばしている。

よほど言いにくいことなのだろう。ますます不安になってきた。

そんな自分に気づいたのか男は話を続ける。


「いや、君に落ち度はないんだ。ただ僕から君に頼みがあるんだ。と言ってもほぼ強制なんだけど。」


「頼みなのに強制なんですか?」


今割とひどいことを聞いた。どうやら頼みなのにほぼ強制らしい。自分は一体何をさせられるのか。


「いや実はね。神様が寿命でもうすぐお亡くなりになるんだ。」


「はあ、神様でも死んだりするんですか。」


神様でも死んだりするのか。なんでも全知全能でなんとかなるわけじゃないのか。

でもそれと自分にどんな関係があるのだろうか?男は話をさらに続ける。


「うん。それでね。次の代の神様を決めることになったんだけど。

神様というのは天使の中から決めるんだ。もっと言うと天使の中でも功績を上げた者から。

まあ僕も候補に選ばれているんだけどね。」


「おめでとうございます。」


「ありがとう、だけど天使はお互いで争うことができない。

こっちでは平和をモットーにしてるし、何より職務がおろそかになってしまうからね。」


なるほど、平和主義の日本みたいなものか。

確かに争いはよくないな。社会で習った戦争もひどいものだったし。


「そこで、天使どうしが代理の者を立てて競わせることにしたんだ。」


「もしかしてその代理って...」


「うん、察しがいいね。君だ。」


これは少しまずいことになったかもしれない。競うって言ったって自分はしがない高校生だ。

相手が誰か知らないがプロレスラー何かが出てきたら五秒も経たずにギブアップする自信がある。


「まあその代理を立てるっていうのも神様がもともと考えていたものらしくて。

すでに戦う舞台。つまり君たちが競うために世界を造ってあるらしいんだ。

なんでも神代世界クオリアって言うらしいよ。神様が結構熱心に造っていたから相当広いよ。

あの人も子供っぽいところがあるからさ、お絵かきしてる子供みたいだったよ。」


昔のことを懐かしむように目の前の天使は微笑む。


「要するに僕が異世界(パラレルワールド)に転生して戦うってことですか?」


「そうなるね。でもそのままだと転生した人達の優秀さが証明されるだけだ。

だから僕たち天使が力を与えたりサポートを行うことになったんだ。」


良かった。このまま戦う訳じゃないらしい。

しかし力を与るといっても具体的にどんなものなんだろうか?

不死身とかか?いや流石にそれは反則すぎるな。どうするんだろう?


「と言っても僕らも万能じゃないしサポートできることは限られている。

だから制限のある中であちらの世界で言う「スキル」や僕たちが所有する便利な道具なんかを貸し出したりすることになったんだ。

それでさっき言ったように異世界に行って僕たちの敵、つまり他の天使から送られてくる代理人を殺して最後まで勝ち残って欲しい。」


「こ、殺すんですか?さっき平和がモットーって...」


「それは僕たちに限った話だよ。こんな言い方はしたくなかったけど僕たちは全員もともと死ぬはずだった人間を代理に選んでいる。

最終的に殺し合いになるとはいえ、それまでは僕たちから力を与えられてあっちの世界で自由にやれるんだ。悪い話じゃないと思うよ。

ちなみに断った場合はそのまま輪廻転生の輪に組み込まれる。もし僕の代理になってくれるのなら君の働きに応じてそれなりのことはさせてもらう。

君の功績によってはこちらに新たな天使として迎え入れたり君が死ぬ五分前に戻したりもできる。」


そんなことまでできるのか。というか殺し合いか...そういうのは人道的にどうなんだろう。

正直この話は僕にとってかなり魅力的だ。トラックに轢かれて死ぬものとばかり思っていたのに天使から力をもらってもう一度記憶を保持した状態で戦いが始まるまでは安定した生活が送れる。

しかもなんてったって異世界だ。憧れないわけがない。正直に言うと行ってみたい。

殺し合いはしたくない。でももともと失くすだったはずの命をまた拾えた。これはまたとないチャンスだと思う。メリットデメリットで考えてもメリットの方が大きいと思う。

まだ細かい説明はあるだろうが自分の頭の中はこれから転生する神代世界クオリアのことで頭がいっぱいだった。


「さて、大雑把な説明はこれで終わった。君がもし代理としてい協力してくれるのであればこちらとしても助力は惜しまない。これでも高位天使の一角、全力でサポートしよう。協力してくれるかい?」


「説明を聞きながら考えたんですが...やっぱり行ってみようかと思います。神代世界クオリアに。」


「おお、行ってくれるか!ありがとう!それじゃあ早速貸し与えるスキルや道具を決めなきゃ!」


自分が行くと言った途端に饒舌に話し始める。きっと断られる可能性も考慮していたんだろうと思う。

ここからは貸し与えられるスキルや道具の説明、神代世界クオリアの説明が長々と続いたので省略する。


「よし、じゃあスキルも貸し与えるスキルも決定したし、早速だが神代世界クオリアに行ってもらおうと思う。心の準備はいいかい?」


「はい、いつでも大丈夫です。」


目の前の天使はうんうんと頷き腕を手を振りかざす。

その手の先に黒い穴が現れ僕をそちらの方に手招きする。


「じゃあ頼んだよ 篠崎零(しのざきれい)くん。」


その言葉とともに僕の意識は闇に飲み込まれていく、今度は悪くない感覚だった。












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