そして・・・
そしてやってきたバイト最終日の24日。
「これで終わりかぁ・・・」
そんなことをつぶやいてしまった。
「え、なにもみじちゃん、俺と会えなくなるから寂しいって?」
「そんなこと言ってません。」
ぺシンッ!
デコピンしてやった。
「いってぇ、地味に痛いよ、もみじちゃん。」
「変なこと言う子にはお仕置きです。
でも、今日が最後なのでそれで許します。」
「これ以上のお仕置きて?!」
「ふふ、秘密。がんばろうね。」
「おう!」
そして、今日の販売分のケーキを売り終えた。
「蒼さん。ケーキ、完売です。」
「おー、サンキュー。」
「お疲れ―、もみじちゃん。」
ガバッと、後ろから柊木に抱き着かれたのでこけそうになった。
「いきなり抱き着かないでっ!」
そのせいで顔が真っ赤だった。
「へへ、ごめん。」
「いいけど・・・お仕置きっ!」
ぺシンっ!と、今日二発目をくらわした。
「いってぇ、やっぱりいってぇよ。」
涙目で訴えてきた。
「おーい。そこの二人。遊んでないで片付けろー。」
「あれ、蒼さんあれやらないんですか?」
「あ、忘れてた。」
「ねぇ、あれって何?」
「ん?ああ、もみじちゃんの慰め会アーンド感謝会ー。」
「え、そんなのしなくていいっ!」
「おい、紅葉。これは俺らが勝手に決めたことだ。おとなしく慰められて感謝されろ。」
命令口調で蒼さんが言っているところに、柊木が付け足した。
「もみじちゃんさ、最初に会ったとき、泣いてたっしょ?
それに昨日蒼さんが言ってたこともあったしね。」
「あれ、言ったんですか?!蒼さん!」
そういって蒼さんのほうを見ると顔を空に向けていた。
「まあ、いいじゃん。やろっか!クリパ!」
「名前が変わっているけど?!柊木!」
「これは紅葉の慰め会アーンド感謝会という名のクリパだ。」
「もう、蒼さん。なんですかそれ。」
面白すぎて笑っちゃた。
なんだかんだで今日も終わりが近づいてきた。
「あー、もうこんな時間。」
時計を見たら8時を指していた。
「あ、そうだ。もみじちゃん。はい、これ。」
「俺も、これ。」
柊木がピンクの包装紙に包まれた箱を、蒼さんが黄色の包装紙に包まれた袋を渡してきた。
「え、なんですか、これ?」
「「いいから開けろ/て」」
はもってるし……
まあ、お言葉に甘えて二つの包装紙を開けた。
「わぁ・・・」
ピンクのほうにはクマのチャームがかわいいシルバーのネックレス。
黄色のほうには『M・K』と刻まれたシンプルなブレスレットが入っていた。
「これ、」
「「俺らからのクリスマスプレゼント。」」
まただし。
「あ、りがとう・・・」
泣いちゃうよ、そんなことされたら。
「あとさ、もみじちゃん。伝えたいことがあるんだ。」
「あ、俺もある。」
「ん?なに?」
涙を拭いて顔を上げると二人の真剣な顔があった。
「「俺、もみじちゃん/紅葉のことが好きなんだ。」」
またはもってる。
打ち合わせとかしているの?というくらいに。
「私は・・・」
そうだ、伝えないと私の気持ち……
二人はもりすぎですね。
そしてグダグダ。
けれど、ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。