凍結通達ログ
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【発行】ナラティブ庁・観測監理局
【文書種別】無機質報告書(自動生成)
【機密区分】『外部観測者』準拠/閲覧はログ化されます
【対象】ナラティブ庁関連世界線
【世界線ID】WL-2781/『勇者ライン』監査記録束
【更新版】v3.0(第三章終了時点)
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1. 事案概要
本件は、『ナラティブ庁』および監査官補『神崎』の活動記録が、当局の『評価・監視対象作品』として観測運用されていた事案である。
当該世界線は、下位次元内で『物語の最適化』『RSI(読者満足度指数)維持』『テンプレ重力の抑制』を業務として描写するが、当該描写自体が上位次元における『観測者反応』に依存する構造を内包していた。
結論として、当局は当該世界線の『一時凍結(レンダリング停止)』を決裁した。
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2. 観測指標(抜粋)
【指標名】RSI(読者満足度指数)
【算出】閲覧滞在/更新追従/反応密度/再訪率/離脱速度 等の複合
【目標レンジ】維持:『安定』 警戒:『低下』 停止:『閾値割れ』
【直近推移】
・第一章:『安定』
・第二章:『変動(維持)』
・第三章:『低下(継続)』
【補足】
第三章は『象徴的喪失』『回収』『冷たい最適化』を主軸とし、構造上『後味』を意図的に残す設計である。これは品質として成立する一方、観測者の短期追従率に対して負荷が高い。
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3. 検出された構造的要因
1. 『二重監査構造』の露呈
下位次元の監査官が『世界改変不可/モブ介入のみ』という制約下で盤面を整える一方、上位次元からはその行為が『視聴継続の最適化対象』として扱われる。
この入れ子構造は、観測者に『救いの所在がない』印象を与えやすい。
2. 『喪失の焦点化』の成功と代償
第三章の帰結は『雑な大量死の抑制』としては有効であり、下位次元の公的ログ上でも成功判定が出ている。
しかし上位次元の観測では、『勝利の言語化』と『現場の後味』の乖離が拡大し、反応密度が伸びない傾向が確定した。
3. 『抵抗の形式』が小さすぎる
下位次元で確認された抵抗(『死を燃料にしない。ただ覚えていたい』)は、記録としては優秀だが、短期の観測者反応を押し上げる性質を持たない。
なお、当局は当該抵抗を削除しない。削除は『物語の割れ』を誘発するため。
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4. 判定
【判定種別】レンダリング制御
【判定】『一時凍結』
【凍結範囲】世界線WL-2781に紐づく更新・派生・外部接続の停止
【凍結理由】RSI閾値割れ(継続)/運用対効果低下/観測疲労の増大
【注記】
凍結は『失敗』を意味しない。
凍結は『維持できない物語を無理に回して雑に壊す』事態を避けるための措置である。
下位次元の用語に合わせるなら、『割れ防止の停止』である。
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5. 実施内容(自動処理ログ)
・更新パケットの受付停止:完了
・世界線時間指定:『第三章終了時点』で固定
・記録束(第35号様式/第29号様式/外側メモ)の保全:完了
・人物記憶揮発(観測者側キャッシュの圧縮):実行
・夢/予感/噂の微弱残響:許可(作品としての自然さ維持)
・新規ノード点灯:抑制(明確なフックの生成を禁止)
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6. 例外条項
以下の条件のいずれかが成立した場合、凍結は解除されうる。
A:読者反応の回復(RSIが『警戒』以上へ戻る)
B:物語形式の変更(負荷の再配分)
C:別案件への切替(同一世界観内での観測負荷分散)
D:下位次元の『外側メモ』が観測上の価値を増した場合
※ただし、解除は『予告なく行われる』。予告は観測反応を歪めるため禁止。
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7. 付記:当局所見
監査官補『神崎』は、世界改変を行わず、現場の口と足で盤面を整えた。
その結果、喪失は一点化され、多数は生存した。
その一点は、教官『レオナ』であった。
公的ログは、これを『品質改善』『RSI割れ軽減』として処理した。
上位次元の観測ログは、これを『救済のための冷却』として処理した。
なお、下位次元において『死を燃料にしない。ただ覚えていたい』という記録が確認された。
当局は当該記録を、評価対象から除外しない。
燃料にしない記録は、燃料にされやすい。
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8. 終了ログ
【保存】成功例ナレッジ:保存完了
【保存】外側メモ:保存完了
【状態】WL-2781:PAUSE(凍結)
【出力】終了
……保存音が一つ鳴った。
大きい音ではなかった。
だが、次のページへ進むための音ではない。
世界線は、そこで止まった。
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