易しい試練③
どうやら予定の時間になったようで、粛々と前菜が運ばれてくる。
複数置かれているフォークとナイフの、一番端のものをそっと手に取り、スピネル達は食事を始めた。
「先程の話の続きだが」
ロードが話し始める。
「お前に紹介したい者は、今人間の村におる」
「人間の…!?」
魔王軍と人間軍は、今も全面戦争中である。
もちろん、魔族に与する者は、人間の村に立ち入ることなど許される筈がない。
「詳しい説明は省くが、その者は人間の村で情報収集を行っている」
「いわゆるスパイってことか」
今まで黙って話を聞いていたカイヤが、そう纏める。
「そういうことだ」
「では、いつお会いできるのでしょうか」
(出来るだけ早く会って、この夢を終わらせられるといいが……)
そう思い、スピネルはロードに尋ねた。
「それはお前次第だな。なんたってお前は、直接その村に出向くことになるのだからな」
「……はい?」
スピネルは思わず顔を顰めて聞き返してしまう。
すると、ロードは笑ってこう言った。
「そのままの意味だ。お前には直接、その者と会ってきて欲しい。それから、一つ試練を出そう」
「試練…ですか?」
スピネルは不思議そうにロードを見つめた。
「"人間の友達を作ること"。それが試練だ」