易しい試練②
「お父様…!」
ロードはスピネルとカイヤに優しく微笑んだ。
ロードは深く椅子に腰掛け、こう言った。
「お母様はまだ体調を崩しているようでな。今回は三人だけでの会食になりそうだ」
だが、普段会食は家族四人揃って行うのが慣わし。
少し不思議に思って、スピネルは首を傾げる。
それを見て、ロードはこう言った。
「今日は大切な知らせがあるんだ。それに、カイヤの帰還祝いもまだしていなかったからな」
それから少し時計に目を向け、ロードはこう言った。
「思っていたより早く来てしまったようだ。時間もあるし、お前達の話を聞かせてくれ」
「では、お伝えしたいことがございまして」
夢について話すなら今しかない。そう思い、私は語り出した。
「……ということなんです」
しんと室内が静まり返る。
その静寂を破ったのは、ロードの声だった。
「確証は得られんが、それについて知っているかもしれない者を知っている」
スピネルはその言葉に目を輝かせ、食い入るようにロードを見つめた。
「そんなに焦らなくても良い。ちょうど今日、その者についてお前に話そうとしていたんだ」
「そう、なのですか」
胸が高鳴る。
この悪夢から脱出できるかもしれない。
それに何より、この夢の真相を知ることが出来れば、きっと何か変わるだろうと、そう思うからだ。
(この夢について、少しでもその者が知っているといいが)
そう思い、私はそっと目を伏せたのだった。