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Mざめるパワー


コメント

・……あれ?配信切り忘れてね?

・配信切り忘れてるぞー

・あー、配信終了ボタンとコメント非表示ボタン間違えたのか

・切り忘れキタコレ!


ーーー


コメント

・めっちゃ気落ちしながら腹パンしてて草

・ノールック腹パンニンジャ!!Fooooooo!!!

・夢咲「その辺の服屋の適当コーデって言われた……」

・気にしてて草

・まともな装備してないのが悪いw

・結構独り言言うんやなw


ーーー


コメント

・普通一階層攻略するのに一時間かかるはずなのに、十分くらいで攻略してね??

・攻略速度が速いのはソロならではみたいなとこはあるけど、それにしても速すぎるw

・ボソボソ呟きながら死んだ魚の目で腹パンしてるの面白すぎるだろw

・ここは切り抜き必須だな


ーーー


コメント

・夢咲「ハァ……《即撃》ですわぁ……」

・なんでちょっとお坊ちゃん口調なんだよw

・ですわぁ、ちゃうねんw

・もう四階層はヤバすぎ。RTAじゃん


『まさかあそこでミミックを引くとはなぁ……ある意味持ってると言えば持ってるかもしれねーけど』


コメント

・お前は持ってるよ(断言)

・ギャグ配信者としての才能をな

・ミミックの出現確率も低かったよな? 

・あそこまでフラグ乱立させてしっかり回収させる辺りマジのギャグ配信者w

・ミミックもいきなり食おうとするんじゃなくて段階分けて襲いかかってきたしなw

・何で魔物が空気読んで襲ってくるんだよwww


『ハァ……俺が本領発揮できるのはいつになるやら』


コメント

・え、ギャグが本領じゃなかったんですか!?

・お前の本分はギャグ配信者だろッッ!

・夢咲がちゃんと強いのは解釈違い(過言)

・夢咲は強くてもどこかイカれてて欲しいねんな


『今の俺がすべきことは、現状を把握しながら中層を攻略していくこと……だな。渋谷ダンジョンの中層なら人には出くわさないだろうし』


コメント

・お、おう、そうだな

・コイツの口からまともな事を聞くとビビる

・実際人を巻き込まないように深夜に配信してるのは優しすぎると思うよ、私は

・普通は探索者同士のコミュニティとかあるし、多分夢咲も憧れはあるんだろうけど……腹パンがなァ……!

・アイツ最早生物兵器だもんな……w

・固有スキルにデメリットがあるのは有名な話だけど……カウンター対象が無差別になるパッシブスキルは聞いたことがねぇw



ーーー


コメント

・ん?足音?

・カツンカツン歩く魔物いたっけ?


『……マズイ。こんな時間に人か……?』


コメント

・ファッ!? 

・逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ

・夢咲から離れろマジで今すぐ離れろ

・アイツは無差別腹パンマンだぞ!!

・お腹の健康のためにニゲロ!



『曲がり角にいる方〜! 俺は探索者の夢咲氷織です! 魔物ではないので絶対に攻撃を仕掛けてこないでください! カウンタースキルを持っているので、あなたが攻撃を仕掛けてきた場合やっべぇことになりますんでぇ!』


コメント

・ワロタw

・合ってるけど言い方よw

・まあ、夢咲は今じゃ有名だし大丈夫だろ

・これでファンのリア凸だったらおもろいw

・ファン「あの、配信切り忘れ──ぐふっ!!」ちーん


ーーー


コメント

・あれ?足音近づいてきてね?

・やっぱ魔物だったか?

・魔物でもソイツはやめておいた方が良いゾ


『ふしゅるるるるる……ッ! 夢咲ィ……氷織ィ……』


『ぎゃぁぁぁああ!! 魔物ぉおおおおお!!』


コメント

・ぎゃぁぁぁぁあ!!!

・ひぎゃぁああ!!

・ホラーやんけェェ!!

・待ってアレユキヤきゅんじゃない!?!?

・ユキヤってマ!?


ーーー


コメント

・ホンマやユキヤきゅんだ

・なんで……?

・別人と思いたい

・めっちゃくちゃ怒ってるやんけ

・ユキヤきゅんの怒ってるとこ初めて見たわ

・これは夢咲が悪いな、うん!(白目)

・おい逃げるなw

・判断も足も速い夢咲

・追ってきとるwww

・ユキヤきゅん普通に足速くね!?

・最初期は普通に探索者してたからレベルはあるやろ


『マテェェ!!!!』


『待てと言われて待つヤツは──いる!!』


コメント 

・いねーよ

・お前だけだよ

・急に落ち着くな



『さっき言ったように、俺に攻撃を仕掛けたらやべぇことになるぞ。いや、あの、俺に触ると火傷するぜぇ! 的なアレじゃなくてホンマにヤバいんで。内臓がナイゾウになっていいなら良いけど』


『オマエ、ユメサキ。アッテルカ』


『めっちゃ丸かじりしそうなカタコトやん。ども、夢咲です』


コメント

・オレ、オマエ、マルカジリwww

・クソしょーもないお袋ギャグすんな

・一応焦ってるなw

・ども、じゃねーよw

・ノリが軽いw


『逆恨みだって、嫉妬だって分かってるんだ……それでも、ボクを否定して人気になったお前が許せない……ッ』


『普通に話せるんや……』


コメント

・普通に話せるんや、やめろw

・茶々を入れるなw

・……まあ、ぽっと出の変な腹パンマンに登録者抜かされたらそらキレるわな!

・とはいえユキヤきゅんってこんなこと言うヤツだったんだ……

・なんか残念ですわぁ

・これは夢咲が悪いな!()


 

『てっきり俺はさ、あの茶番劇を金を稼ぐためだけにやってると思ってたんだよね。俺の根底には、探索者たるものロマンを追うべし、って考えてることもあってさ。もし良かったらあんたの考えも聞かせて欲しい』


コメント 

・夢咲……お前人の心理解できてたんだな……

・てっきり私は無感情無差別腹パンマシーンかと……

・探索者がロマンを追うべき、って考えは理解できる

・昔は探索者の冒険譚に憧れてたし

・茶番劇言うなしw


『ボクだってやりたくてやってるわけじゃない。……魔物もダンジョンも女も全て嫌いだ! ──だけど、ボクは清濁併せ呑んでリスナーたちの期待に応えているんだ。それは別に仕事への誇りでも何でもない──ただ。ただ、かつて憧れたダンジョンにしがみつきたいからだ。今となっては、魔物もダンジョンも嫌いになってしまったけどね……』

『そうだったのか……』


コメント

・女嫌いなんか(泣)

・ユキヤきゅん界隈の民度考えたら……辟易するわな

・うわぁ……ユキヤきゅんガチ勢が聞いたら発狂すんで……

・ギャァァァぁぁぁ!!!!

・この配信にも被害者おって草



『悪かったよ。初配信で言ったことは俺の本心で……今だってそう思ってはいる。でも、男性配信者たちの気持ちを蔑ろにするべきじゃなかった。それは謝る。ごめん』


コメント

・夢咲……お前……

・良い奴やん

・腹パンしか取り得ないって誤解してたわ

・なるほどな……?なんか夢咲の男性配信者の認識に齟齬があるな、って思ったらあんまり理解してなかったんや

・謝れる男とか初めて見た

・これで万事解決……かな

・うんうん、良い話じゃねーの


『じゃあ、死んでもらっても良いかな』


『何でェ!?』


コメント

・ファッ!?

・ユキヤきゅん!?

・近年稀に見ない良い笑顔


『あのさ、謝罪は受け取っておくけどさ。それとこれとは別に君の腹パン界隈がボクの配信に『腹パンしたい』とか『腹パンで分からせたい顔してる』とか結構しつこくて普通に苛ついてるんだよね。あと普通にボクより人気なのがムカつくから死んでくれない? 真面目に謝ったからって許してもらえると思った? 死ねゴミカスボケ腹パン』


『腹パンは俺専用の罵倒だからやめてもろて』


コメント

・腹パンが罵倒なのは草

・確かに夢咲界隈がちょっかいかけてたからなぁ……

・ストレス溜めてたんかいw

・これ双方悪くなくね?w

・ファン民度で本人同士が険悪になるのはよくある話

・とはいえ実力行使に走ろうとしているユキヤきゅんはヤバいけどw

・普通にボクより人気なの許せない→素直なのはGOOD

・ユキヤきゅん失望しました。夢咲のファン辞めます


『お、お、お、落ち着け! 俺に攻撃したらどうなるか分かってるだろ!? お前の内臓がバーンだぞ、バーン!!』


『ふんっ、君の自動カウンタースキルのことだろ。対策もせずにノコノコと現れたと思っちゃ困るよ』


コメント

・え、ちょマジで殺そうとしてね??

・さすがにそれはヤバいって

・ユキヤヤバすぎだろ……


『その手のカウンタースキルは、基本的に自分の間合いにしか作用しない。だからこそ必要なのは遠距離スキル。冥土の土産に教えてあげるけど、ボクの固有スキルは投擲した物が必ず当たる《必中》。投擲武器は魔物には大して効き目が無い……でも対人なら違う。人に向かって放たれるスキルは威力が大幅に軽減するけど、ボクのスキルはあくまで必中。投擲した武器の威力はそのままなんだ』


コメント

・ガチガチに対策練ってきてて草

・ユキヤきゅんの固有スキル初めて知ったわ

・もしそれが本当だったら夢咲ヤバいぞ

・さすがに殺そうとするのは無いわ

・夢咲逃げろ!!



『まさか……ッ!』


『死ねィ! 夢咲氷織ィ!! 享年じゅうきゅぅぅぅ!!!』


コメント

・なんで逃げないん!?!?

・避けろ!!

・この前手に入れたってチョロっと言ってた先手攻撃取れないスキルか!?

・夢咲ィィイイイ!!!

・享年じゅうきゅぅぅ!ってちょっとおもろいのやめろ!


ーーー


コメント

・ナイフを……避けて……

・夢咲がァ!避けてェ!夢咲がァ!距離詰めてェ!

・まだ入るゥ!夢咲がァ!近づいてェ!

・夢咲がァ!決めたァーっ!!!


『──ゴフッッ!!!!!』


コメント

・腹パンだぁぁぁぁぁあ!!!

・距離関係ないやんw

・いやぁぁ!!ユキヤきゅうんんん!!

・血反吐吐いて吹っ飛んだぞw

・自業自得やで

・ユキヤきゅん元ファンとしては複雑ではある


『や、やっちまった……大丈夫なわけ……ねぇよな、うん!』


コメント

・ピクピクしてる

・なんか……ちょっと興奮するな……

・純朴(当社比)な生意気ショタが腹パンされるのって……

・変態リスナー湧いてて草

・これ、別に夢咲が助けなくても問題ないよな?

・自業自得やからな。助ける義理はない

・ユキヤきゅん好きなんだけどなぁ……

・でもまあ……夢咲なら


『ここで取り出しますは十階層のフロアボスが落とすポーション……! めちゃくちゃ貴重ですが、人の命には代えられないので使いたいと思います。というわけでハイ、ジョボー』


コメント

・ま、助けるよなw

・助けると思ったわw

・あのポーションって売ったら200万くらいなるよな?

・あ、目覚ました


『あなたが……神……』


コメント

・……おっと?

・おやおや?

・風向きが変わってきたな




☆☆☆


「夢咲様ッ! どうかボクにもう一度腹パンを!!」

「じゃかあしいっ! 黙れ変態鬱陶しい!」


 ──どうしてこうなった!!!!

 俺に縋り付く茶髪のショタ顔の男……ユキヤは、もう一度目を覚ますなり、やけにキラキラした瞳で俺に声をかけてきた。

 あんなに溢れていた怒りや殺意の類は鳴りを潜めているが、その代わりにもっと面倒なことになってしまった。

  

「あんなことをしたボクを、貴重なポーションを使ってまで助けてくれたあなたの慈悲……そして、ボクの邪心を一発で打ち払った素晴らしい腹パン……信奉いたします……夢咲様」

「カエレ!!!!」


 俺はその場から脱兎のごとく逃げ去った。

 ……もう二度とあんな変態とは関わらんぞ、俺は。


 





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― 新着の感想 ―
ブッフォーーーwwwwwwwwwwwwwwwwww
でもね、必中スキルって誤射の危険がほぼ無いから、君とパーティ組めるんだよね。
なお、全て配信中なのである。
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