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第二十二話

 アルフレッドは目を開けた。自身は光のシールドで覆われていて、上下左右、全て瓦礫で埋め尽くされている。


「一体どうなった……アンジェリア! ライオネル! マーガレット!」


「アルフレッド! 私よ、アンジェリア。ぎりぎり間に合ったようね。バリアを張ったのよ!」


 瓦礫のあちこちから冒険者たちが声を上げ、他にも魔法使いたちがバリアを張っていることが確認された。それから魔法使いたちはテレポートで仲間たちを回収して岩山要塞の外に出た。冒険者たちは全員無事であった。


「グラッドストンの奴……俺たちを罠にかけたな。最初から爆破するつもりだったんだ」


 ライオネルは悪態をついた。


「でも魔法使いのみんながいてよかった。じゃなきゃ私たち全滅でしたよ」


 マーガレットが言った。


 その時だった。上空から黒衣の魔導士ザカリー・グラッドストンが舞い降りてきた。


「バリアか、中々良い判断だ。あの一瞬で展開したか」


 冒険者たちは身構えた。


「今日のところはこれまでとしよう。また宴の用意を整えて諸君らを招くとしよう。それまで、英気を養っておくがいい。それでは」


 グラッドストンはテレポートで消えた。



 フェリックスへの報告を済ませると、アルフレッドらは酒場で一息入れることにした。


 アルフレッドが杯を手に取り、少し皮肉っぽく言った。「なんという一日だった。まるでグラッドストンの罠に引っかかった子供のようだ」


 アンジェリアは肩をすくめて応じた。「そうね、尤も、あの黒衣の魔導士は私たちを本気で殺すつもりよ。私たちのバリアが無かったらみんな岩の下敷きになって死んでた」


 ライオネルは冷たく笑みながら続けた。「完璧な罠だったな。だが、まさかあんな手を打ってくるとはな。正直予想外だったな」


 マーガレットは冷静に付け加えた。「彼の言う宴がどんなものかは分からないけれど、また戦う機会もありそうね。今回のことは良い教訓になったわ」


 酒場の中で、彼らは次なる一手について考えた。王国の未来を守るために、彼らはどんな困難にも立ち向かう覚悟を示していた。



 アルフレッドらは久方ぶりのオークキャンプの破壊に向かい、戦果を挙げていた。しばらく放置している間にオークキャンプは増殖していた。


 そうこうしているうちに、しばしの時が流れた。アルフレッドらはまたソーントン伯爵領内の町の酒場で仕事を探してみた。伯爵領内にて発見された古代遺跡の調査依頼が張り出されていた。


 アルフレッドは仲間たちに言った。「古代遺跡の調査、興味深いね。新たな冒険が待っているみたいだ」


 アンジェリアは興味を抱いて応じた。「確かに、古代遺跡って常に謎に包まれているし、貴重な発見があるかもしれない。行ってみる価値はあるよ」


 ライオネルは地図を広げながら言った。「ソーントン伯爵領は広いから、遺跡の場所まで結構あるな。ま、冒険者たちにとってそれも楽しいものさ」


 マーガレットは頷いた。「古代の文明や技術に触れるチャンスだし、私も行ってみたいわ」


 アルフレッドは決断を下した。「それでは、古代遺跡の調査に向かうことにしよう。遺跡への旅に備えよう、みんな。新たな冒険が待っているぞ」


 仲間たちは一丸となり、次なる冒険に向けて準備を始めた。



 古代遺跡への旅路は、美しい森林の中を進んでいくことから始まった。樹木の間から差し込む陽光が、道を照らし、鳥たちの歌声が爽やかな空気に響いていた。しかし、この平和な風景の裏に、未知の謎が眠っていることを彼らは理解していた。


 アンジェリアが地図を見ながら指摘した。「この辺りから、遺跡への道が入り口に続いているようね」


 道は次第に険しくなり、森の中に巨大な石の建造物が見えてきた。それが、古代遺跡の入り口だと彼らは確信した。


 アルフレッドは言った。「気を引き締めて、中に入るとしよう。古代の秘密が待っているかもしれん。それを守る仕掛けとかな」


 仲間たちは頷き、遺跡の入り口へと足を踏み入れた。中に入ると、かつての栄光を感じさせる古代の装飾や彫刻が壁に施されており、まるで時間が止まったかのようだった。


 遺跡内部は広大で迷路のように入り組んでおり、調査は容易ではなかった。マーガレットが言った。「これが古代文明の遺産なのですね。どんな秘密が隠されているのか、楽しみです」


 彼らは注意深く進み、さまざまな部屋や通路を調査した。途中、罠に注意を払い、危険な仕掛けに驚きながらも、遺跡の奥深くへと進んでいった。


 やがて、彼らは一つの部屋で重要な発見をした。壁には、古代の言語で書かれた文章が刻まれていた。アンジェリアは言葉を解読した。「これは、何らかの重要な情報を持っているようね」


 アルフレッドは尋ねた。「どんな情報だ?」


 アンジェリアは真剣な表情で答えた。「これが、遺跡内に隠された宝物や知識のありかを示しているかもしれないわ」


 遺跡の中で彼らを待ち受ける謎や試練は多く、古代文明の秘密を解き明かすためにはまだ多くの冒険が待っていた。



 彼らは遺跡内の壁に刻まれた古代の文章を詳しく調査した。アンジェリアの熟練した解読技術が光り、言葉の意味が明らかになっていった。


 アンジェリアが言った。「それによると、この遺跡には古代の知識と宝物が隠されていて、それを手に入れるには試練を乗り越えねばならないようだわ」


 ライオネルは手に持った地図を見つめながら言った。「この地図には遺跡内部の構造が詳しく描かれている。おそらく、俺たちはこの地図に従って進むことで次の手がかりを見つけられるだろう」


 マーガレットが続けた。「しかし、試練とは一体何なのかしら。そして、宝物や知識が具体的に何かもわかりませんね」


 アルフレッドは深く考え込んでから言った。「この遺跡は、古代文明が何らかの秘密を守るために建てたものだと思われる。試練が俺たちに何かを教え、その知識や宝物がどれほどの価値があるのか、それは俺たちの努力次第だ」


 彼らは地図に従って進み、遺跡内を探索し続けた。途中、様々な仕掛けや罠に立ち向かい、謎を解いていくことで、遺跡の秘密に少しずつ迫っていった。


 数日が経過し、彼らは遺跡の奥深くに到達した。これまでにない広間に出た。その中心に、巨大な鉄巨人が鎮座していた。


 鉄巨人は古代遺跡を守護する役割を果たす存在として、厳かな存在感を放っていた。その巨大な体躯は金属でできており、まるで古代の魔法で生み出されたようだった。


 アルフレッドは仲間たちに手を止めるよう合図し、慎重に鉄巨人と向き合った。彼は礼儀正しく頭を下げ、言葉を交わすことに決めた。


「尊敬すべき番人、私たちは偶然この遺跡に迷い込んだ冒険者たちです。何か誤解があるかもしれませんが、我々は害を及ぼすつもりはありません」


 鉄巨人はアルフレッドの言葉に反応し、低い音で言葉を発した。その声は地響きのようで、アルフレッドたちに対して疑念を抱いている様子だった。


「冒険者たちよ、この遺跡は古代の知識と技術が封じられている聖域だ。ここでの探索は危険を伴う。どのような目的でやって来たのか、誠実に答えよ」


 アルフレッドは遺跡の番人に対して、彼らが知識を求めて訪れたこと、そして王国の平和と繁栄のために古代の秘密を解き明かすことを説明した。


 鉄巨人がアルフレッドたちの説明を聞き終えると、まばゆいる光を放つ双眼から火花が散った。それは戦闘の兆しであり、巨大な体が地を揺るがせながら歩み寄ってきた。


 アルフレッドは一瞬たじろいだが、「結局こうなるよな」とすぐに仲間たちに合図を送った。彼らは態勢を整え、準備を急いだ。鉄巨人はその巨大な拳を振りかざし、地響きのような咆哮を上げた。


 戦闘が始まり、アルフレッドたちは鉄巨人との壮絶な闘いに挑んだ。彼らは協力し、巧みな戦術を駆使しながら、鉄巨人に立ち向かった。


 鉄巨人の巨大な足音が響き渡り、アルフレッドたちの緊張は頂点に達した。彼らは周囲に広がる広間に立ち、巨大な敵に立ち向かう準備を整えた。


 鉄巨人は重い足取りで歩み寄り、その巨体は遺跡の壁にも届くほどだった。鉄巨人の鋼鉄製の腕は大きな棍棒のように見え、それを振りかざすと、空気が切り裂かれる音が響いた。


 アルフレッドが先陣に立ち、仲間たちに合図を送った。アンジェリアが最初の魔法を唱え、炎の玉が鉄巨人に向かって飛んだ。しかし、直撃を受けた鉄巨人はそのまま前進してきた。


 ライオネルは大剣を構え、勢いよく鉄巨人に突撃した。彼の剣は巨人の脚にぶつかり、鉄の音が鳴り響き渡った。しかし、鉄巨人はそのまま前進し、ライオネルを一掃するように振り払った。


 マーガレットは仲間たちに祝福を与え、シールドを展開した。


 アルフレッドは鉄巨人の膝に駆け上がり、そこから胸元に向かって魔法剣を突き立てた。しかし、その攻撃は鉄巨人にほとんど影響を与えず、鉄の巨体が振動した。


 鉄巨人の攻撃は容赦なく続き、広間は戦闘の混乱に包まれた。仲間たちは必死に立ち向かい、鉄巨人へのダメージを与えようとした。


 鉄巨人との壮絶な戦闘が続く。仲間たちは協力し合い、巨大な敵に立ち向かったが、鉄巨人は容易には倒れなかった。


 アンジェリアが次々と炎の魔法を放ち、鉄巨人の装甲には焼き焦げた痕跡が残った。ライオネルは大剣を振り回し、鉄巨人の脚部を攻撃したが、鉄の巨体はしっかりと立っていた。


 マーガレットは神聖魔法による光の攻撃魔法を放ち、鉄巨人をけん制した。


 アルフレッドは鉄巨人の膝や足を狙って攻撃し、小さな傷をつけ続けた。


 鉄巨人も容赦なく応戦し、大きな棍棒で振り下ろすたびに地面は揺れ、破壊された。仲間たちはその攻撃を避けるのに精一杯で、傷ついたり押し潰されそうになることもあった。


 戦闘の中で、アルフレッドは鉄巨人の動きに規則性を見つけた。彼は仲間たちに指示を出した。「みんな、鉄巨人の動きに注意しろ。攻撃のタイミングがあるはずだ」


 その指示に従い、仲間たちは鉄巨人の攻撃タイミングを読み、より巧妙な攻撃と回避を試みた。アンジェリアは炎の玉を鉄巨人の目に向け、その視界を妨害した。ライオネルは大剣を振るう前に、鉄巨人の足元を攻撃し、バランスを崩させた。


 マーガレットは回復魔法で味方のダメージを消し去り、再びシールドを張った。


 そして、アルフレッドは鉄巨人の膝に繰り返し攻撃を仕掛け、その装甲を削った。


 鉄巨人は次第にダメージを受け、その動きが鈍くなり始めた。最後の一撃をアルフレッドが放ち、鉄巨人は崩れ落ちた。広間には歓声と安堵のため息が満ち溢れた。


「どうやら終わったようだな」アルフレッドは言った。


「さすがに簡単にはいかなかったわね」アンジェリアは言って、吐息した。


「全く手こずらせてくれるぜ」ライオネルは言って、ポーションを飲んだ。


「ですが、これが試練だったのでは? だとすると、最深部は近いかも知れません」マーガレットは言いながら仲間たちのダメージを回復する。


 彼らは息を整え、遺跡のさらなる探索に進んだ。この遺跡が隠す秘密と謎が、まだ解き明かされていないことを知りながら、彼らは冒険を続けた。



 そうして、彼らは遂に遺跡の最深部に辿り着いた。


 そこには驚くべきものが待っていた。古代の図書館のような部屋に、数々の書物や資料が保管されていた。これが、古代の知識の宝庫であることを彼らは理解した。


 アンジェリアが喜びの声を上げた。「これは素晴らしい発見よ! 古代の文明の知識がここに保存されているなんて」


 マーガレットは本を手に取り、中身を確認した。「これは医学や魔法、歴史に関する書物ですね。王国にとって非常に貴重な情報源になります」


 アルフレッドは静かに考え込んでから言った。「俺たちはこの知識を守り、活用しなければならない。しかし、遺跡を発見したことが広まれば、他の冒険者や勢力も興味を持つだろう。これを守るためにも、慎重に行動しなければ」


 ライオネルは地図を折り畳んだ。「確かに、この場所の存在を秘密にし、遺跡の警護を強化し他方がいいだろう。王都に戻り、フェリックスに報告してはどうか」


 彼らは遺跡内の知識を探求しながら、その存在を秘密に守る方法を考えた。彼らの決意は固く、古代の知識を守り、王国に貢献することを優先した。



 フェリックスのもとを訪問したアルフレッドらは、ソーントン伯爵領での遺跡について報告した。


「古代の図書館がそのまま残っているというのか」


 フェリックスはやや驚いた様子だった。


「ああ、その知識は膨大なものだ。蔵書の劣化もなく、貴重なものだと思う。あんたに相談するのが一番だと思ってな」


 アルフレッドが言った。フェリックスは頷いた。


「分かった。魔導士評議会の上級魔術師たちと向かうとしよう。貴重なものであれば、図書館は魔法で封印しておこう」


「それが賢明だろう」


 アルフレッドは肩をすくめた。


 そうしてアルフレッドらはフェリックスから報奨金を貰った。彼らは王都に出ると、酒場にて祝杯を挙げるのだった。

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