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第十四話

 仕事を終えてレイルフ男爵領城下町に滞在していたアルフレッドらは、酒場で一杯やりながら休息の時を過ごしていた。


「それにしても、グラッドストンが消えたという情報が出てからしばらく経つが、まだ奴の足取りはつかめないのか」


 アルフレッドは言った。アンジェリアが答える。


「仕方ないのよ。どういうわけか、魔導士評議会の方でもグラッドストンが探知の術から消えてしまって、分からないのよ」


「セイセス=セイセスの誰かを捕まえて吐かせりゃいい」


 ライオネルが言った。


「それも駄目だった。グラッドストンのことを聞き出そうとすると、セイセス=セイセスの連中は呪いで死んでしまうの」


「何てこと……抜かりはないということですね」


 マーガレットは吐息した。


「お手上げってところか」アルフレッドは肩をすくめた。


 その時だった。酒場に男爵の兵士たちが入ってきて、店内を見渡し始めた。兵士たちはアルフレッドたちを見つけると、歩み寄ってきた。


「冒険者のアルフレッド殿ですな」


「俺も随分と有名になったな。いきなり兵士から名前を告げられるとは」


「失礼した。ですが、レイルフ男爵閣下がお呼びです。どうか、みなさまも一緒に城へ来て頂きたい」


 アルフレッドは肩をすくめる。


「どうするみんな」


「男爵は私たちに何の用があるの? 仕事?」


 アンジェリアの問いに、兵士は頷いた。


「それ以外に冒険者の方をお呼びする必要がありましょうか」


「だってさみんな。どうする」


「ご指名なんだろ。行くしかないだろう」


 ライオネルが言った。マーガレットも頷く。


「男爵閣下がお困りというなら、仕方ありませんね」


 四人は立ち上がった。



 レイルフ男爵は執務室に案内されてきたアルフレッドらを見て、「よく来てくれた」と安堵の表情を浮かべた。


「俺たちに仕事があるとか。早速内容を伺いましょう」


 アルフレッドが言った。レイルフ男爵は頷いて話しだした。


 領内の村々で謎の失踪事件が多発し始めているという。村人たちが次々と姿を消し、その後には血の痕跡や不気味な影が残るという報告が相次ぐのであった。この事件によって村々の住民は恐怖に包まれ、不安と疑心暗鬼が広がっているという。


「なるほど……失踪事件ですか。原因不明の」


「そうだ。一件や二件ではない、もう十人以上が消えている。みんな殺されたという者もいる。これを放置しておくわけにはいかない。最優先事項なのだ。報酬は払う。どうだ、引き受けてくれないか」


「閣下、落ち着いて下さい。民の不安は分かります。無論、この依頼はお引き受けします。このような事態を放置は出来ません。それは俺たちも同じです」


 アルフレッドが男爵を落ち着かせる。


「ああ……すまん。つい取り乱してしまったな。では早速取り掛かってくれ」


 かくして、アルフレッドらはこの謎の事件の調査に乗り出した。



 アルフレッドたちは調査を開始し、村々を訪れながら失踪事件の背後に潜む謎を解明しようとした。彼らは現場を徹底的に調査し、目撃証言を集めることで、共通する要素を見つけ出す。それは「闇の影」と呼ばれる奇怪な存在が村人たちを襲っているというものであった。


 アルフレッドたちは闇の影の正体を突き止めるため、王都へ戻り王立図書館にて伝説や古い文献を調べ始めた。すると、彼らは古代の伝説に「闇の影」についての記述を見つけた。それによれば、闇の影はセイセス=セイセスが創り出した邪悪な存在であり、人々の恐怖や不安を利用して力を得ると言われていた。それには生贄が必要であることも。


 さらに、彼らは闇の影がセイセス=セイセスの魔法によって村々に現れていることを突き止める。セイセス=セイセスは再び王国に邪悪な影を広げようとしており、この邪悪な活動を止める必要があった。


「またセイセス=セイセスか……」


 アルフレッドは文献に目を落としながら皮袋に入ったワインを飲んだ。


「闇の中でうごめく影……それにしても村人たちはどこへ連れていかれたのかしら」


 アンジェリアの言葉にライオネルが答えた。


「男爵領のどこかに拠点を構えているのではないか。まだそれ程被害が広まっていないとすると」


「ただ、まだ情報が不足していますよ。この影のことを調べておく必要があると思います」


 マーガレットが言った。


 そうして、彼らは再び図書館の資料を漁る日々を送った。


 やがて、アルフレッドたちは伝説の中に記された「闇の影の封印」についての手がかりを見つける。それは古代の魔法陣と特別なアーティファクトを用いて闇の影を封じるというものであった。しかし、そのアーティファクトは長い間失われており、見つけるのは容易ではなかった。


「このアーティファクトを追いかけるのは現実的ではないな」


 アルフレッドは言った。


「そうね。闇の影を生み出すのに生贄が必要とされているなら、ここで文献を漁っているより、村人たちの救出に向かった方がよさそうね」


 アンジェリアの言葉にライオネルも頷いた。


「現場百回というからな。男爵領に戻って。闇の影の痕跡を探したほうが良さそうだ」


 マーガレットは吐息した。


「仕方ありませんね。確かにここで出来ることは限られているようです」



 

 男爵領に戻ったアルフレッドらは、セイセス=セイセスか闇の影の痕跡を探した。


 セイセス=セイセスの魔法の陰湿な跡を辿りながら、闇の影の痕跡を探し始めた。彼らは村々を訪れ、失踪した村人の家族や友人と話をすることで、闇の影が現れる前の怪奇な出来事や不可解な現象を探り出した。


 その中で、アルフレッドたちはある村で老婆の証言を得た。老婆は「闇の影が現れる前に、奇妙な輝きを放つ人物たちを見かけた」と語った。それはまるでセイセス=セイセスの手下である魔導士たちのようであった。


「奇妙な輝きを放つ人物たち……それは間違いなくセイセス=セイセスの手下だろう。彼らが闇の影を引き起こしているのかもしれない」アルフレッドは考え込んだ。


 一方で、アンジェリアは魔法で村の周辺を調査し、闇のエネルギーの異常な増加を感じ取った。「ここから少し離れた森の中に向かって、強力な闇の魔法が集中しているようね。もしかするとセイセス=セイセスが拠点として使っている場所なのかも」


 アルフレッドたちはセイセス=セイセスの拠点を目指し、闇の影の真相に迫るために痕跡を辿った。彼らは再び団結し、闘志を高めながら危険な冒険に身を投じる。


 そうして、彼らは紛れもなくセイセス=セイセスの拠点に辿り着いた。黒衣に身を包んだ魔戦士や魔法使いたちが見える。


 そこで彼らが目にしたのは、闇の影を生み出すための恐るべき儀式が行われている光景であった。セイセス=セイセスの魔導士たちが力強い魔法を使い、村人たちを生贄として闇の影を召喚しているのだ。


「これが闇の影の原因なんだ……」ライオネルが怒りを込めて言った。


「行きましょう。この邪悪な儀式を止めないと」


 マーガレットも怒っていた。


 アルフレッドらは敵の拠点に侵入した。森の中に開けた場所にあるその場所は、幾つかの天幕が張ってあって厳重とは言えない警備態勢で、それほど大きな規模の拠点ではなかったが。


 透明化の魔法で姿を消し、周辺に立っている魔戦士たちをステルスキルで排除していく。


「あれは……」


 拠点の中央で今まさに生贄の儀式が行われようとしていた。村人は張り付けにされ、魔戦士が槍で心臓を貫こうとしていた。


「行くぞみんな、突入する」


 アルフレッドらは駆けだした。透明化を解除する。


「セイセス=セイセス! やめろ! これ以上の蛮行は許さんぞ」


 敵は不意を突かれた様子であった。


「何だ貴様ら……冒険者か! 殺してしまえ!」


 指導者と思しき魔法使いが魔戦士たちに命令する。魔戦士たちは剣を抜いて加速してくる。


 アルフレッドとイオネルは突撃する。マーガレットが二人にバフをかけ、アンジェリアが広範囲に稲妻を放った。


 魔法の戦いが始まり、激しい魔力のぶつかり合いが拠点に響き渡る。アルフレッドとライオネルは剣と魔法剣を振りかざし、魔戦士たちと激しい一騎討ちを繰り広げる。彼らは高度な戦術剣技と連携を駆使して魔戦士たちを切り捨てていく。


「おのれ!」


 魔法使いが闇の稲妻を放つ。アルフレッドとライオネルは魔剣でそれを受け止める。マーガレットが光の矢を放ち、アンジェリアが氷結の吹雪によって魔法使いたちを倒す。


 マーガレットの神聖な魔法が仲間たちの力を高め、アンジェリアの魔法の嵐が広範囲に強力な攻撃を放った。敵の指導者である魔法使いも強力な魔法で応戦するが、アルフレッドたちの連携した戦術によって押し返されていく。


「さらなる力を解放しろ! この野郎たちに負けるわけにはいかない!」ライオネルが叫びながら、魔法剣に更なる魔力を込めた。


「村人たちを救出する、援護を頼む!」アルフレッドが仲間に向けて声をかけた。


 アンジェリアの稲妻が拠点中を貫き、魔戦士たちは一時的に足止めされた。その隙をついて、アルフレッドとライオネルが駆け寄り、村人たちを縛っている縄を断ち切った。


「大丈夫か?」アルフレッドが村人に声をかける。


「ありがとう……助かった……」村人たちが涙ながらに答えた。


「まだ終わりじゃない! セイセス=セイセスの指導者を倒すわ!」アンジェリアが言った。


 セイセス=セイセスの残党は逃げようとするが、アルフレッドたちが追撃をかけた。魔法剣からエネルギー光線を放ち、魔戦士たちを撃ち抜いていく。アンジェリアの魔法とマーガレットが放つ逆転魔法である死の光線が敵の魔法使いを撃破する。彼らは共に駆け抜け、指導者を取り囲んだ。


 セイセス=セイセスのリーダーは悲鳴を上げて地面に転がった。


「終わりだ、セイセス=セイセス。貴様らの悪しき企みはここまでだ」アルフレッドが言い放った。


 敵の指導者は最後の抵抗を試みるが、アルフレッドはその首を刎ね飛ばした。セイセス=セイセスは壊滅した。


 拠点の中は静寂に包まれ、アルフレッドたちの勝利によって村人たちは救われた。セイセス=セイセスの邪悪な儀式は阻止され、再び平和が戻った。


「ひとまずこれまでだな」アルフレッドが言った。


「でも、セイセス=セイセス自体はまだ倒されていない。彼らの野望はまた復活するわ」アンジェリアが言った。


「それでも、せめて手の届く人々を私たち守り抜きます」マーガレットが答えた。


「おい、捕らわれた村人たちが向こうにいる。彼らを解放しないと」ライオネルは言って歩き出した。


 その時だった。突如地面に魔法陣が展開し、邪悪な闇の影が出現した。


「何だと……!」


 アルフレッドは魔剣を構える。


「来るわ! みんな!」


 アンジェリアも魔法の態勢をとった。


 闇の影は咆哮すると弾幕の波動を放ってきた。アンジェリアとマーガレットはシールドを展開する。


 アルフレッドとライオネルは魔法剣の力を解放して加速した。魔剣が影を切り裂く。邪悪な魔物は悲鳴を上げた。


 アンジェリアの爆裂火炎弾、マーガレットの光の矢弾が影を打ちのめし、貫いた。


 そして、アルフレッドとライオネルは魔剣の力を解放すると、エネルギーを剣にまとわせ、そのまま影に振り下ろした。


 闇の影は悲鳴を上げて消滅していった。


 冒険者たちは周囲を見渡す。


「魔法の力は感じないわ。どうやらあれで終わりのようね」アンジェリアが言った。


「そのようです。邪悪な気配は消えたようですね」マーガレットも言った。


 そうして、アルフレッドとライオネルは今度こそ捕らわれていた村人たちを解放した。人々は冒険者たちに礼を言ってそれぞれの村に戻っていった。


「さて、どうやら片付いたな。男爵のもとへ報告へ戻ろう」


 そうして、アルフレッドらはテレポートした。



 レイルフ男爵は冒険者たちからの報告を受けて安堵の表情を見せた。


「そうか……セイセス=セイセスの拠点を叩いてくれたか。礼を言う」


「ええ。それにしても、連中は闇に仕える者。人の命などなんとも思っていない。またこのような事態が発生したら、すぐにでも冒険者を頼って下さい。俺たちの同業者なら力になるでしょう」


「そうさせてもらおう。さあ、報酬を渡しておこう」


 そう言って、男爵は報酬を持ってこさせると、アルフレッドらに手渡した。


 こうして事件は幕引きとなった。酒場で祝杯を上げつつも、アルフレッドらは犠牲になった村人たちの冥福を祈るのだった。

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