表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/55

47. 笑顔と涙

 その後あの映画の知名度は以前にも増して爆発的に上がった。私やニコル、その他のキャストは一躍スター扱いになり仕事のオファーが絶えなくなった。チャドは監督を引退する予定でいたが今回受賞したことで自信を取り戻し、死ぬまで作品を撮ることに決めたらしい。


 そんなある日、私の受賞の話を聞いた祖父の幼馴染のペドロが奥さんのカトレアと一緒に家にやってきた。ペドロは祖父の葬式のとき1人棺の前に頽れて大声で泣いていた。彼が亡くなったあともしょっちゅう家に来ては祖母や私に向かって懐かしそうに祖父の思い出話をしていた。ペドロは私に受賞のお祝いと沢山の手作りのパンをくれた。


「君の映画も演技も最高だった。ずっと笑いっぱなしだったけど最後は何でか泣けたよ。パウロは君を誇りに思っていると思う」


 円な瞳をした丸顔のペドロは少年のような笑顔を浮かべて私の功績を讃えてくれた。


「ありがとう。おじいちゃんはいつもあなたの話をしてた。あなたは素晴らしい友人だった、あなたが幸せでいることが自分の何よりの喜びだって言ってたわ」


 そう伝えるとペドロの瞳に涙が浮かんだ。裏表のない性格の彼は一切感情を隠すことがない。全てを曝け出すことを恥と思わないその姿は真っ直ぐで勇敢にすら思える。


 ペドロは帰り際私にこう声をかけた。


「人は好きなことしかできない。自分の魂の底から楽しいと感じることをしていればきっと道は拓ける。何も怖がることはない、ただ真っ直ぐに生きてさえいれば」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ