わたしはたわしになって飛んで行く
わたし
たわし
たわしだわたし
たたたたた
ただのたわし
だったわたし
しわしわの
ぽけぽけの
はまぐりみたいな
とびらをひらいて
ぱっ
と
お外を覗いたら
百目が振り向いた
たっ
たわ……たわ……
たわしを見ないで
きたないたわし
くたびれた
数えたこともない毛の一本一本が
飛んだ
飛び出した
宇宙に散らばった
たわしがバラバラになった!
わたし
わたし
バラバラな
たわし
ただのわたし
其々の毛に
お目々発現
今より
地球へ
侵攻開始します
なんて
言葉が
渡良瀬川を
流れていった