010 ダンジョンの国 2日目
ピコバールとガオは、みゅり様に連れられて街に来ていた。街はとてつもなく広い空洞は、3層から5層にあたるという。ぐるりと円筒状になった内壁をくりぬいて住処にしてあり、どっちをむいても同じ、木の扉にガラス窓をハメた穴。色紙を散りばめた色彩に、ガオは混乱。
「め、目がまわるよ」
「ダンジョンの国か。終わりはあるの?」
「終点のラスボスを倒してコアを獲れば終わり。迷宮はそのまま安全な通路になって、住むことができる。そうやってこの国は発展してきたわ。コアはこれまで4つがみつかっていて、手に入れた者が次の支配者になるのよ。私は支配なんてゴメンだけどね。私の興味はコアだけ。あと少しなのよ」
「みゅり様は、隠れた通路を見つけ出す才をもってる。それを気にいらない奴らが、捕らえようとしたり、命を狙ってくるのだ」
「みゅり様すごい!」
「えっへん」
「ぼくらは何を手伝うの? 売り買いしかできないよ」
「魔法の杖があるって言ったわね。ぜんぶ買うわ。それから、ガオ君に荷物を運んでもらう。奥まで進むことができるわ。ほら、ジェーピン。言った通り攻略が進むでしょ」
「すばらしいご慧眼です」
「私って頭いいのよ」
「すぎた自尊さえなければ」
街で荷物を買いそろえた4人はダンジョンへ。みゅり様がトカゲを抱えた。
「みんないいわね? 用意……どんッ」
かけ声とともに通路にとき離す。トカゲはのんびりした見た目を裏切って、ものすごい速さで駆けだした。すかさず伴走するみゅり様とジェーピン。状況についていけなかったピコとガオは、かなり遅れて走り出した。
「ガオ、置いてかれた」
「わああ。速い速すぎるよ」
「カメが新しい通路に入るときは気を付けて、いきなりみえなくなえるから」
みゅり様は余裕で、アドバイス。カメというのが、トカゲの名前らしいが、クローラの最速を保つのがやっとのガオは聞いてない。
「か、カメを失くした理由がわかったよ。うわっ」
壁の穴から矢が飛んできた。ピコバールが避けたが、髪をかすった。
「時々ワナがあるわ。矢が飛びだしたり落とし穴があったり」
「最初に言ってほしかったよ。え? モンスターだ」
ジェーピンが剣をふった。角を生やした巨人を両断する。
「もちろんモンスターもでるわ。コアに近づくほど強力になるから気を付けて。カメが曲がったわ急いで」
トカゲが壁に消えた。なるほど、うっかり見逃せば、フェイク壁を通りすぎ、トカゲの行方を見失ったしまう。
食事タイミングもカメの速度しだい。夜の時間になっても寝られない。そんなこんなで走り続けること一日。大きな扉のある部屋に到着した。扉の向うに、コアを守るラスボスがいるのだという。
「ありがとう。二人のおかげでここまで来られたわ」
「はぁはぁ……それはよかった」
「がは……オレ、もう寝たい」
「今日は安全地帯のここでゆっくり休みましょう。明日の攻略に備えてね」
みゅり様はカメを仕舞うと、寝そべり、すぐに寝息をたてた。ジェーピンもごろりと横になりイビキをかきだす。
「……速攻熟睡。二人は野宿に慣れてるんだな。ぼくたちは天幕を張ろうかガオ。ガオ?」
返事がない。みるとガオのディスプレイは消灯。二人に劣らない眠りっぷりだ。
ピコバールは天幕を諦めて、ガオの操縦席に丸くなった。




