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ピコと戦車と麦の道 ~なにもない麦の草原に放り出されたボク♀と軽戦車♂が旅をすることになったんだが?~  作者: キタボン
2章

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010 ダンジョンの国 1日目 


 祠に入るとそこは、ほんのり明るい洞窟だった。ガオはライトを点けた。前と後、左と右をゴムクローラが軋ませて見てまわる。


「ピコ。ここなんて国だった?」


 どこにも入口がない。洞窟というには人工チック。そんな通路の真ん中にいる。


「国を確認する前に転移したから知らない。まっすぐ行ってみようか」


 ガオは大げさにがっかりしてみせる。コンディションパネルに表示されるのは、八の字眉の男の子。


「そそっかしいなピコは。兄貴分のオレがしっかりしなきゃ。決めた。まっすぐ進め」


 進もうとしたすると、ピコバールの耳に音が聞こえた。


「まってガオ。なにか声が聞こえない? 灯りを消して」


「そんなごまかしてもダメだよ」


「いいから」


「まったくもう」


 ガオがライトを消すと、さっきはなかった横道がみつかる。声はそこから聞こえるようだ。言い合ってようだ。


「あれはどこ行ったっけ? 無くしたねジェーピン。あれがないと困るのよ」


 若い女性の声が、しゃくりあげながら言った。


「みゅり様がだらしないからです。人のせいにいないでください」


「困ったわどうしよう」


 ピコバールがそっと、横道をのぞきこむ。大人の女性が困った困ったと連発すると、もっと大人の男性が、それみたことかと、口をへの字に結んだ。


「ピコ」


「しっ」


 何を失くしたか知らないが、大きなものではなさそう。灯りかそれに代わるなにかと推測する。この暗さだ。みつけるのは相当に難しいが大切なものなら引き換えす。関わっても大丈夫だろうか。ピコバールはホルダーに手を置いた。


「どうもこうも、無いものはないのですから、このままダンジョンを戻りましょう」


「戻るのは嫌いだわ。新しいのをだすというのはどうかしら。無いなら出せばいいって発想の切り替えができる私って、天才だと思わない?」


「またですか。大切に扱えば長く使える物を。安易に出すからすぐ失くすと、なぜ気づかないのです」


「るっさいるっさい! 出すったら出すのよ。せーの!」


 みゅり様が両手を前につきだした。何もない空中に肘から先が消える。そのまま、表情をくるくる変えること数度。納得してヒジを退くと、手先が何かをつかんで現れた。ピコバールは口の中でいう。


「闇魔法 ダークホール」


 それは見たこともない形の特大トカゲ。ピコバールは、驚きの声をあげそうになるのをどうにか、こらえた。


「でっかいトカゲ!」


 ガオが、声を張りあげた。


「誰?」


「みゅり様、ジェーピンの影に隠れてください」


 ピコバール達のほうへ出ようとするみゅり様を、ジェーピンがかくまう。懐から銃を取り出してかまえた。


「あー。ぼくの名前はピコバール。旅人だけど、ここがどこだかわからないんだ。よかったらおしえてほしい」


 姿を現したピコバールは、笑顔で両手をあげた。相手の銃先が心臓に狙い定める。


「みゅり様の命を狙う不届き者が。軽戦車などというバカげた戦力でダンジョン攻略とは、いかにも不相応。ちがうというなら潔白を証明してみせろ」


「証明といわれてもね。でも撃たれたらやり返すしそうなればこっちが勝つ。それでもいい?」


「やっちゃえピコ」


「戦車が話した。自立型か」


「いいじゃないジェーピン。多いほうが攻略は楽しいわ」



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