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ピコと戦車と麦の道 ~なにもない麦の草原に放り出されたボク♀と軽戦車♂が旅をすることになったんだが?~  作者: キタボン
2章

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008 砦の国 3日目



 弾も矢も届かない堤防から戦場を見下ろせば、陣を組んで戦う東西の軍。戦場にワクワクしてるガオだが、やってる仕事は地味な運搬作業だ。


「今日も戦場を駆け巡ってるな。次は矢束だ。100ほど頼む」


 ダンプに積んだ最後の荷を下ろしてもらう。


「へーい」


 ものは良いようだが単純な裏方。これからまた、つぎの荷物を積むため、小さくみえる西砦に戻るのだ。行ったり来たりの回数はとっくに忘れて、こんな作業が、心底つまらない。ガオがぼんやり戦をながめてる、と見知った姿を対岸にみつける。


「ピコ発見! あっちは水くみか。あはは」


 河にそって細長い戦線の後方を、ピコバールがよたよた歩いている。天幕を訪問しては水を満たす、そんな作業をあてがわれたらしい。


「オレと似たような仕事なら、きっとヒマしてるな。よし刺激を与えてやろう」


 ガオは、ダンプが持ち上げると、格納された砲塔2門を展開する。


「照準セット。狙いは東のピコ。撃てッ!」


 きれいな線を描きながら、2つの砲弾は河を超えた。




 ひゅーるるる……どーん!


 ガオの砲弾は激しい地響きをあげて爆発。地面を深くえぐり破片と土砂を巻き上げた風圧でちかく兵士数名が犠牲になる。アースシールドで身を守ったピコバールは、怪我はしなかったが、爆風でふき飛ばされた。

 転げながら、対岸にガオをみつけた。やったーと歓喜していた。


「ガオ。ぼくを狙ったな」


 ホコリを落としたピコバールは初級火魔法を放つ。狙いはもちろんガオ。


「あんた。使えるのは水魔法だけじゃないので?」


 顔見知りになった男が驚く。


「火魔法が使えないとはいってない――ぐ避けやがった」


 距離がある、ガオは、発動をみてからのんびりと魔法を避けた。そしてすぐさま応射してきた。


「ふがっ」


「しっかりしろ! おわっ」


 20㎜砲弾は盾をかまえた男の腸を焼いて、ピコバールの斜め後ろにで砂塵をあげた。男は絶死。負傷者を数名ばかり増やした。


「あんにゃろめ」


 火魔法を唱える。初級を10回連ねた。直撃なら鋼鉄も融かす炎弾の連凧をゴムクローラで小刻みに避けるガオ。機敏ではない西の兵が巻き込まれた。保護油で磨いた革鎧に引火。叫びながら剣で火を払うが火は消えない。あっちでも数名が犠牲になった。


「やったなピコ!」


 二人の攻防は停まらなくなる。


 河をまたいだ遠距離攻撃の応酬は、半日におよんでも決着がつかなかったが、決め手を欠いたまま、よつぜん、終わりを迎えた。双方の砦から白旗があがったのだ。

 戦は終結した。ピコバールとガオが東西両陣営を崩壊させて。




 中央砦のうえに東西のトップ。護衛を伴なった二人の国主がうなだれていた。

 東の国主が肩を落とす。


「参った。死人怪我人が続出よ。これ以上の継続は国の存亡にかかわる」


「働けなくなった男衆をどうしてくれる。あたりの傭兵たちもまた似たり。すべてはお主の年端もいかぬ傭兵のせいである」


「それはこちらの言葉だ。軽戦車を従えるなぞ、取り決めそぐわぬ恥ずべき行為よ」


「なにを申すか」


 ふたりは唾をかけてののしりあうが、ほどなくして当該の異物、ピコバールとガオが通された。


「お主らさえこなければ、ワシたちは戦いを続けられた。積年の慣習をなぞってな」


「まったくだ。あんたらは。いやあなたたちはいったい何者さんですか」


 ピコバールとガオは顔を見合わせた。


「移動販売で細々と暮らしてる、どこにでもいる旅の者です」


「そうそう。麦の道をずずーとヒマして走ってるだけ」


「好きなものをくれてやる。いますぐ出て行ってくれ。東西と中央とを統合しないとの作業の人さえ足りない。戦はもうおしまいだ」


 こうして砦の国は統一された。公式記録には『厄災による犠牲多数による終戦』と綴られた。



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