表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたが魔法の異世界をおくる。  作者: 島野虎太郎
巨大樹より
11/19

data10.みちびきのもとに

────思い出すのは過去の思い出だった。

蔑まれ、嬲られ、罵られたあの日々。

そして……あの…あの娘を…殺した…やつを…許さない…わたしは…私は。



        悪 魔 だ



出発してからかれこれ3時間程経っているのだろうか。今は道沿いに進み森林の中に入っていた。この世界にいるとあまり時間の感覚がなくなってくる。元の世界なら腕時計をつけていれば分かるんだけれどな…なんて思っているとラッドがふと、

ラッド「……なぁ、そういやグリーンフォールまでどれくらいかかるんだ?」


リノハ「んーと……5日ぐらいですかね?」


樹理「長…長いな。」


リノハ「まだ短い方ですよ。」 


これまたラッドが「…なぁ、魔法使って行こうぜ。早く行けるだろ?」と提案していたが、「何かあってからじゃ遅いじゃないですか。モンスターに襲われてる時にMPが切れたら困りますよね?」と言われて納得していた。


その後もラッドはうだうだと言いながら歩いていた気がするが…どうでも良いだろう。


ふと近くの草むらを見ると何かが近づいてくるのを感じ、剣を抜く。


樹理「何か来る…。」


リノハ「気をつけてください!」


草むらから現れたのは…


オーク「ガァァァァア!」

オークだった。斧や槍を持っている。それも三体も出てきた。


ラッド「よっし、旅で初のバトルだぜ!」


リノハ「あれは…ランクはGのオークですね。一人一体を担当しましょうか。死なないでくださいね?」


樹理「もちろん、こんなとこで挫けてちゃ目も当てられないしな。」


リノハ「行きますよ!」


ラッド「ああ!」

こうして戦いが始まった。


ラッドは主に剣を使って戦う。パワータイプな感じのやつだ。剣も普通のより長いロングソード。リーチも長い


ラッド「オラァッ!」

と大振りの横払い、それによりオークが怯んだ隙に縦振りを入れる


ラッド「くらえ!」

そして…空振りの音がした。ラッドは思いっきり転んだ。

ラッド「いっ……た!いてて…。」


オーク「グガァガァガァwグガァガァガァw」


ラッド「くっ…こんの!」

……まぁ、扱いに慣れていないのだと思う。


というか魔物もしっかり笑うもんなんだな。とそっちの方に気を取られていたら、横でオークが攻撃態勢に入っていた。


オークは雄叫びをあげ斧を振り下ろす

樹理「ドゴル。」

ドゴルでオークを上に勢いよくかち上げ、オークは宙を舞う。

そこに向けてボルガを3発放つ

樹理「トドメだな。」

そしてグシャと音を立てて地に落ちたオークへと胸に向かって突き刺した。


俺は魔法を主軸にして戦う。といってもトドメでは剣のほうが確実なので剣も使う。そして…


オーク「ウガァ!ウガァ!」

とリズムを取るように槍を刺すが、全てリノハはスイスイと躱す。そして槍をリノハの頭を狙って刺したところに


リノハ「ここに――――入れ込む…!!」

と態勢を低くし回避し、相手の喉元に5回突き刺すと、オークは倒れた。


リノハ「終わりましたね…。ちゃんとアイテムも取っておきましょうか。」


リノハは剣を使っている。長さや横幅的には普通だが、突きを主体とするようだった。

レイピアを使うと良いのでは?と思うが…このままでも正直変わらないとのこと。

高速の突き刺しはウィンドの力によるものらしいが…僕にはウィンドが使えないのであまりわからないものだ。

まぁ、僕がやられた以前チョップもこれを使ったものだろう。

樹理「意外と早く終わったな。」

安心して剣の血を拭き鞘に収める。


リノハ「そうですね…あれ?ラッドさんは?」


ラッド「ハァ…ハァ……ちょ、ちょっと待てぇー!」


樹理「まだ終わってなかったか。」


リノハ「意外とすばしっこいみたいですね。」


オーク「クガァガガァwグガガァw」


ラッド「こんのぉ…!さっきからおちょくりやがって…!喰らえ!」

ラッドの剣に風が纏われていく。


ラッド「見様見真似だけど…エアスラッシュ!!」

ラッドの横振り剣からはへなちょこだが風の刃が飛び出し、オークの両足を軽く傷つけた。


オーク「ガグァッ!」


ラッド「よっしゃ!上手く行ったぜ!」

と歓喜していた。その後はオークをぶった斬り、見事討伐完了となった。 


樹理「お、お疲れ様、ラッド。」


ラッド「おう。いやぁー、疲れたぜ。まさかあそこまで攻撃が当たらないとは思わなかったな。」


リノハ「もうしばらく戦闘を繰り返して慣れていくしかないですね…。というかさっき『エアスラッシュ』してませんでしたか?」


ラッド「ああ、見様見真似だし、ろくな威力もないけどな。」


樹理「そうか…。でも、頑張ればサラムさんの『エアスラッシュ』みたいになるだろうな。」

そういえば、まだ説明されていなかったが。モンスターにもランクがあるらしい。魔物のランクは強さによって変わるらしい。

それをもとにしてギルドのランクも考えたのだという。

話をしたあと、リノハの「ではそろそろ行きましょうか」という声で僕らは出発した。



日は沈み、世界に闇が広がる時。

まだまだグリーンフォールも見えず、森の中で道沿いに進んでいた。


ラッド「暗くなってきちまったな。」


リノハは周りを見渡し、

リノハ「建物も何もなさそうですし…今日は野宿ですね。」 


今のうちに準備しておくべきだろうか…と考えていると、ふと遠くの方、森を抜けた先に光が見えた。


樹理「あっちに何かあるみたいだ。」と指を指した。

そしてラッドの行ってみようという提案に賛同し、その光の元へと向かうことにした。




ラッド「お、着いたみたいだぜ。」

草木を掻き分け、その光の元につくと、そこには教会のような建物があった。傍から見ても少し大きく感じる。少し板がところどころに貼り付けてあるのが気になった。

その教会の前に立つと、扉を叩き、ゆっくりと開けた。

樹理「失礼しま〜す…ごめんくださーい!」

やはり教会だったが、中からは返事はなかった。


リノハ「…あれ、いないんでしょうか?」


ラッド「…留守にしてんのか?」

すると奥の方から音がしてくる。


ラッド「何だ?なんか来てる?」

ドタバタドタバタと音が近づき、ドアを扉を蹴破るように女性が出てきた…。


???「はぁ…はぁ…ふぅ~。こ、こんばんは。冒険者の皆様…はぁ…こんな夜ふけにどうされましたか?」


息切れをした少女の見た目は銀髪のロングヘアー。聖女の服を着ているが、サイズがぎりぎり合っていないようで裾が地面についている。


リノハ「こんばんは…あの、そんなに急いでどうしたんですか?」


???「す…すいません。まさかこんな所に人が来るとは思ってなくて…。」


ラッド「いや、そんな焦らなくていいぜ。名前はなんていうんだ?」


ルミィ「私の名前はルミィで、ルミィ・ティラスて言うんです。一人でやってます。」


樹理「ルミィ…って、一人!?一人だけなんですか?」


ルミィ「はい。少し前には10人ほどいたんですが…いなくなってしまって。」


リノハ「はぁ…どうしてですか?」


ルミィ「それは…あ、どうせなら明日でもいいでしょうか。おそらく皆様はここで一晩過ごすために来たのでは?」


ラッド「ああ、そうだけども…よかったら使わせてほしいんだが…いいか?」


彼女は頷き

ルミィ「はい!いいですよ。一晩お過ごし下さいね。」


教会の中は、よく見る感じな造り。ステンドグラスとかがあるわけではないが、中心には女神像がある。

しかし、何より全体的にボロボロだった。

ルミィ「食事とかは粗末なものしか出せませんが…。」


リノハ「いえ、大丈夫ですよ。今日は自分たちのものはありますから。」


ルミィ「そうですか、ではお部屋にお連れしますね。」


そうして部屋に通され、ベットの上に僕たちは一日の疲れを癒やすように眠りにつく。

樹理「(明日もいい日になりますように…ってね。なんちて。)お休みー!」


ラッド「お休み!」


リノハ「お休みなさい!」

こうして、夜は更けていった…。



「……あ…、れ?ここは何処…だ?」

白い空間が周りに広がり、何もない、静かな空間だった。


「僕は…確か、教会に行って…ルミィにあって…その後部屋に連れられて…眠って…?」

考えを巡らせていると「やぁ。」と肩を叩かれ、飛び上がるようにびっくりして後ろに引いた。


「そこまで驚かなくていいだろ…。」

そんな反応をしたその人物は…モザイクがかかったように姿が分かりづらかった。


「だ、誰だ?」


「…僕の名前は………まぁ、今じゃないか。会えてよかったよ。樹理」


「は?…なんで、名前を知ってる?」


「そこは今は気にしなくていい。…会えたなら、君に忠告しておくよ。」

そうして彼は話す。


「まず、後悔はしないようにだな。後悔なんてろくにいいはことない。負の感情しか残らないんだよ。」

スラスラと話すその人物に


「いや、まてまて、まだ何もこっち分かってないからな?」

と話した。


「…いずれ、分かるさ。」


「どういうことだよ?」


「――――それじゃ、最後に、目を開けて、その状況を見て受け入れろ。『見たくない』なんて無理だよ。…それが全てなんだからな。」

少しずつ男の体は光となっていく


「お、おい!待てって!どういうことだ⁉︎」


「…なに、心配はいらないさ。…君が選んだ未来を…楽しみにしてるよ。」


その男は光の彼方へと遠ざかっていく。その男の顔はわからないけれど、何処かで知っている顔な気がした。




小鳥がさえずる、清々しい朝だった。そんな朝とは裏腹に樹理は飛び跳ねるように起きた。

頭が痛い。ふわっとした感覚に襲われていた。

そんなとき、部屋の中に誰かが入ってきた。

リノハ「あ!起きたんですね。おはようございます。」


樹理「ああ…うん。おはよう。」

リノハは僕の顔を覗いてきた。


リノハ「…どうかされましたか?…なんだか…辛そうというか。」


樹理「いや…大丈夫だけど…。なんだか、大事な夢だった気がするけど…思い出せない。」


リノハ「大事な夢…?故郷に関係あるのでしょうか?」


樹理「……どうだろう。分からないや。そういえば、ラッドは?」


リノハ「どうやら先に起きてるみたいですよ。ルミィさんがご飯を用意していただいてくれてるそうです。行きましょうか。」


僕は頷き、その部屋をあとにした。

部屋に付くとラッドはルミィとともに卓についていた。


ラッド「おはよー!起きたか!」


ルミィ「皆さんおはようございます。朝食は準備しておきましたよ。」


樹理「ありがとうございます。」

と軽く会釈をする


リノハ「それじゃあいただきますね。」


朝食は…ベーコン…目玉焼き…レタス…パン……僕が元々いた世界と変わらない。強いて言うなら材料が変わってる程度だと思う。見た目も変わりはなかった。

あまり言うことではないかもだが、もとの世界よりは劣ってしまう。


朝食をし終わる頃、ふとルミィが

ルミィ「そういえば…みなさんの名前聞いていないですね。」


樹理「それもそうだね。僕の名前は高野樹理って言うんだ。」


ラッド「俺の名前はラッド、トロナガル・ラッドだ。」


リノハ「私の名前はリノハ。リノハ・シーミツマです。」

各々が自己紹介をしたあと、僕はルミィに質問をした。


樹理「ここって…どういう教会なんですか?」


ルミィ「ここは我らをつくったとされる創造神を称えるために作られたものです。」


樹理「へぇ…そうなんですね。」


ルミィ「あ、どうせならいま聖書を持ってきてもいいですよ。」


樹理「いいんですか?じゃあ、お願いします!」


ルミィ「それじゃあ持ってきますね。」

そう言うとルミィは階段を登っていき、2階に上がると…すぐ戻ってきた。


ルミィ「持ってきましたよ。」


樹理「ありがとう、ルミィさん。」

そして僕は本を読み始めた。


リノハ「この教会は他の地域にもあるんですよね…。あ、ルミィさん。創造神の名前って何でしたっけ?」


ルミィ「創造神の名前ですか?それはですね――」


樹理「『エクスペリメンター』…ですよね?」


ルミィ「え?」


樹理「ありがとう。読み終わったよ。」


ルミィ「嘘だ!早すぎますよ!?」


ラッド「…ああ、『ソクドクジュツ』か。」


ルミィ「それにしても早いですって!」


樹理「嘘じゃないさ。全部覚えたし。」


ルミィ「絶対嘘です!じゃあ、最初の全文、覚えてますか?」


樹理「『この聖書は、創造神エクスペリメンターのもと、神々を称え、生命を称え、祀るための基本となるものである。この聖書を持ちしものは、3つのことを守ることである。

1.創造神のもと、その神を侮辱、卑下してはな

 らない。

2.創造神を称えしものは、すべての探求心を無下にしてはならない。

3.創造神は、必ず見ている。』」


ルミィ「お…覚えてる。」

ルミィは驚愕の顔をしている。


樹理「…しかし、この聖書…何かおかしいというか。ただの書じゃないというか。途中に書かれていた伝承も気になるし。」


ラッド「伝承…?何が書かれてたんだ?」


『いずれ、この世のあらゆることを知りえる叡智を持つものが現れ、この世界は終焉を迎える。彼の者が望む終わりを見届けよ。全ては彼の統べる世界のままに。』


リノハ「…なるほど。不思議な話ですね…。」


ルミィ「私もこの聖書を読んだときは不思議でした。この世界が迎える終焉とは未だ何なのかわからないんです。」


ラッド「ふぅ~ん……何だろうな?」

今の状態では答えは出なかった。今考えても分からないので…とりあえず僕らは食器を片付ける

樹理「ごちそうさまでした。」


ラッド「ごちそうさん!わざわざありがとうな!」


ルミィ「いえ!困っていたら助けるのはお互い様ですし、これぐらいお安い御用ですよ。」

ふとその言葉を聞いたリノハは提案をした。


リノハ「なら、私達は助けてもらえましたし、なにかお手伝いできるものはないですか?」


ルミィ「え、いいんですか?」

ルミィは驚いた顔をしていた。


ラッド「ああ、『困ったときはお互い様』なんだろ?」

僕もリノハ達の意見に賛同した。ここまでされたのなら手伝わないわけがない。


ルミィは顔を輝かせ、「ありがとうございます!」と言った。


ルミィ「では、手伝っていただきたいことはあるんですが…。」


ラッド「良いぜ!何でも来い!」


ルミィ「…魔物討伐と、働き手の募集です。」


樹理「なるほど…この教会にいた人がいなくなったから、人手はやっぱり足りないだろうな。それに、魔物討伐って言ったけど…人がいなくなったのと関係あるんですよね?」


ルミィ「…はい、これから詳しく話します。」


 説明されたことを順に追って話すと、この教会は十人程で経営されており、ある程度人は来るものの、ランドルグから出ての街道からは少し外れており、なかなか寄り付く人は少ない方なのだという。と言っても来るときは来るものだったらしい。

 そんなこんなでいつもの日常を謳歌していたある日、やつが来た。それが『ドスオーク』という魔物。オークを引き連れて襲ってきたのだという。俺たちが倒したオークのさらに上、ランクはなんとFなのだという。

 その魔物が襲ってきた。教会がボロボロなのはそのためだった。そうしてダメージを受けた協会の人々は、魔物があまりにも恐ろしくなったため、ランドルグに行ってしまったらしい。そのため、ルミィは一人ぼっちでこの教会にいた。そしてその後僕たちが来た…ということらしい。


リノハ「なるほど…大変でしたね。」


ルミィ「はい、なのでそのドスオークを倒すのと貼り紙と看板づくり、そして教会の修復を手伝って頂きたいんです。」


樹理「わかりました。それじゃあ、討伐は二人、作るのは一人で分かれるか。」 


リノハ「あ、じゃあ私作りますか。」


ラッド「えっ!?、ここはリノハが行ったほうが良いだろ?」


樹理「いや、そっちのほうが僕らが成長する。ってことだろ?」


リノハは頷き、「その通りです。流石わかってますね〜。」と言う。


ラッドは少し不服そうな顔をしたが、気を取り直して、「それじゃ、リノハは作成班でルミィと一緒に。俺たちは討伐班だ。じゃ、早速行こうぜ!」

こうして僕らは討伐へと出かけた。




僕らは協会近くの森を散策していた。

ラッド「しっかし…と言ってもだよなぁ。どこにいるのか。」


《ルミィ「ドスオークは今は森の中にいるとされてます。集団で活動しているようなので、気をつけてくださいね。」》

という忠告のもと、森の中を探索していた。


樹理「中々見つからないもんだな。」


ラッド「ああ…あれ?あそこに開けたところがあるな…ちょっと行ってみるか。」

そこに行くとオークたちが集団で焚き火をしていた。


樹理「ふーん……あれか…。」


ラッド「言ったとおりだな…。でもドスオークがいないな?」


樹理「…倒してたら出てくるかもな。今のうちに少しでも数減らしとこう。いくぞ!」


ラッド「よっしゃ!俺が先に行くぜ!」

そういうとラッドはウィンドで飛び、オーク達の上に位置した。


気づいたオーク達は「ウガァ!」と威嚇の声を出していた。


ラッド「ジュリ!目ぇ瞑ってろ!キラナ!」

周囲に光が放たれ、オーク達は居場所を見失っていた。


そしてその隙をつき、オークの首へと剣を振り下ろした。コロコロと頭が転がった。


樹理「汎用性高いなキラナ!どんどん倒すぞ!」

そう言ってラッドともにオーク達を薙ぎ倒していった。

40以上いたオークの群れはもはや三体しかいなかった。


ラッド「よし!全部倒せる!」

と言い、オークにラッドが飛びかかろうとした瞬間、地響きが響き渡り、周囲に不穏な空気が漂い始めた。


樹理「お出ましだ!来るぞ!ラッド!」

そして森の奥から…巨体を持ち、俺の3…いや4倍はある巨体を持つドスオークが現れた。


ドスオーク「ヴヴゥゥゥヴ……ヴガァァァァアアア!!!!!」


ドスオークの巨大な叫び声は森中に響き渡り、俺たちは耳を塞いでいた。


樹理「声がデカいな!」


ラッド「あれが本当にFランクのモンスターかよ!?」

驚いていると、ドスオークは右手に持っていた棍棒を振り回そうとしていた。


樹理「やばい!避けろラッド!」

ラッドはウィンド、俺はドゴルで避けたが、振り回された棍棒はドゴルを破壊した。


樹理「ウッソだろ!?」


着地をしたが、まだまだドスオークの元気はあり余っている。


樹理「当たったらヤバいかもしれない!当たらないように隙を狙って行くぞ!」


ドスオークは体制を立て直し、棍棒を縦に振り下ろした。


樹理「来た!ラッドは懐に潜り込んで足を狙え!」


ラッド「オッケ!」


ラッドは避けると、ドスオークの下へ入り込む


ラッド「喰らえっ!」


ラッドの横振りはドスオークの足めがけて振り抜かれるも浅くしか傷をつけられなかった。


ラッド「あっ!?」


樹理「早く離れろ!」

ドスオークはここぞとばかりに踏み潰そうとしてきた。


樹理「クッソ!ボルガ!」

ボルガをドスオークの顔に放ち怯ませた。その隙にラッドはなんとか離れることが出来た。


ラッド「攻撃が入らなかったぜ!?」

樹理「ああ…どうすっかな…。」

弱点はありそうなものだが…中々見当はつかない。


樹理「取り敢えず戦って弱点を探すしかない!」


ラッド「よっしゃ、気合入れてくぜ!」




ルミィ「ここは…こうして……いや、この色にしたほうが…うーん。」

もくもくと看板作りをするルミィにリノハが話しかける。


リノハ「大丈夫ですか?ルミィさん?」


ルミィ「大丈夫です!」

こちらはコツコツと作業を続けていた。


ルミィ「ほんとにわざわざ力仕事なのに受けていただいてすみません…。」


リノハ「いえいえ、お安い御用だって言ったじゃないですか。」

森にトンカチの音が響き渡る中、ここでリノハは話を切り出した。


リノハ「あの…ルミィさんって、家族は…?」


ルミィ「あぁ‥えっと、言ってなかったですかね。…亡くなったんですよ。父さんも母さんも。」


リノハは言葉が詰まる。


ルミィ「はい、元々は母さんが今の私の役割をしていたのですが。亡くなってしまってからは私が引き継いだんです。」

そう言うと、ルミィは少し俯いた。


リノハ「…大丈夫ですか…?無理してませんか?」

とルミィの顔を覗き込んでリノハは確認した。


ルミィは「大丈夫ですよ!まだまだ私は未熟ですが、いつか母さんみたいになるんです。」と微笑していた。


リノハも「はい、頑張って下さい!」と微笑んでいた。


ルミィ「あ、そういえば二人は大丈夫なんですか?」


リノハ「大丈夫ですよ!あの二人は強いですから…。と言っても、冒険者には成り立てですけどね。」


ルミィ「…ほんとに大丈夫ですかそれ。」


リノハ「…はい。きっとあの二人なら、勝てますよ。」


ルミィ「どうしてそんなに、信用しているんですか?」

リノハは少しにこやかに笑みを浮かべてから


「そんな気がするからです。」

と言った。




ドスオークと戦い始めてだいぶ時間が経っていた。様々なところに攻撃をしていたが、それでも未だに弱点は見つからなかった。


樹理「ラッド!特に何か見つからないのか!?」


ラッド「駄目だ分からねぇ!」


二人にも疲労の色が見えてきていた。


ドスオークはまだまだ体力があった。


ラッド「ここまでやっても疲れねぇとかおかしいだろ!」


ふと俺が横に目をやるとドスオークがラッドめがけて横振りを仕掛けていた。


樹理「ラッド!避けろー!」


ラッド「(くっそ…駄目だ…!間に合わない!)」


棍棒が薙ぎ払われた場所にラッドの姿は無い。

ラッドは攻撃を受け、軽く吹き飛ばされたが、あまりダメージを受けていなかった。 


ラッド「あれ…痛くねぇ…なんでだ?」


自らがいた位置を見るとたくさんのドゴル…『マドゴル』の跡があった。 


ラッド「ジュリか!ありがとう!」


樹理「なんとか間に合った!」


ギリギリでマドゴルを発動し、棍棒の威力を抑えることが出来たため、大ダメージはなかった。

樹理「(しかし…威力がすごすぎる。このままじゃ消耗戦…こっちの分が悪くなるだけだ。いつ殺られても分からない。弱点は…おそらくあっても人間と同じ脳天、首、脊髄だろう。だとしても届かないな。…あの巨体から放たれるあのパワーをこちらも出せれば良いのに…。いや……!そうだ!)」


樹理「ラッド!俺がアイツにデカい一撃を与える!その怯んだ隙にあいつの脳天に刺せ!」


ラッド「そんなこと出来るのか?俺じゃマトモな傷がつけられないんだけど!」


樹理「いや、やれる!ラッドがキラナをしてくれ!」


ラッド「ああ…信じるぜ。ジュリ!キラナ!」

あたりは光に包まれ、ドスオークは眩しそうに手で光を遮った。


樹理「ここだ!ドゴル!」


殴るような動きをすると勢いよく飛び出したドゴルはドスオークのお腹に向けてぶつかり、ドスオークは衝撃を受ける。


樹理「上手く行った…!」

今回発動したドゴルは今まではいわば攻撃というより、突撃や移動などに使っていた。それをさらに大きくし、相手にぶつけるのが今回のドゴルだった。


ドスオーク「ヴ…グ…グォオオオ!」

と叫び、ドスオークは膝をつき、俯いた。


ラッドはその隙にウィンドを使ってドスオークの首の上に乗る。


樹理「」

ラッド「ここでいいんだな!ジュリ!」

樹理「ああ!お前の『エアスラッシュ』をぶち込み続けろ!」


ラッド「分かったぜ!エアッ!スラッシュ!」

と声を上げ、ドスオークの脳天めがけて突き刺し、そこから発生した風の刃はドスオークの頭蓋骨を削り続け、脳を切り裂いた。

ドスオークはうめき声を上げて死に、地面へとうつ伏せで倒れ込んだ。


ラッド「よし…やったな!」


樹理「ああ…ドスオーク、」


ラ・樹「『討伐完了』!!」


樹理「……と、まぁ、喜ぶより先にドスオークの素材を取っておこう。きっと必要になるはずだしな。」


ふとラッドは僕に質問した。

ラッド「あのさ…お前の故郷で剣術とかやってたのか?」


樹理「いや?やったことないぞ。」

無論、僕はどちらかと言えば運動は苦手な方だ。


ラッド「そうなのか…。」


樹理「どうして急にそんなこと聞いたんだ?」

と淡々と素材を集めながら話を進めた。


ラッド「いや、なんかさ。ジュリは手慣れてるっていうかさ…。なんかさっきのドスオークの倒し方だって考えがエグいし、剣術も魔術も慣れてるみたいに見えるんだよ。」


樹理「はぁ……そうか、いや、確かにそうかもしれない。」


今まで気づかないのもおかしいはずだが、この世界に来てから体は軽い。筋肉の動かし方が分かる。どうしてなのかすら分からない。


樹理「…もしかして、ルリナが言ってたのってこういうことに関係あるのか…?」


もしかしたら僕は気づいていないが疑問になるはずのことが()()()()()()()()なっているのかもしれない。


ラッド「―――おい!ジュリ?聞いてるのか?」

どうやらいつの間にか集中してしまっていたみたいだった。


樹理「え。え?ごめん、考え事してて。」


ラッド「そうか。今もう素材も取り終わったし、さっさと戻ろうぜ。」


樹理「そうだな。戻るか!」

こうして僕らは教会へと脚を進めた。一つの疑問を残して。




教会へと戻るとリノハ達は作業を終わらせていた。壁もある程度修復されている


リノハ「あ、お帰りなさい!ラッドさん、樹理さん!」


樹理「ただいま〜!倒してきたよ!」

と言ってドスオークの角を見せた。


リノハ「へぇ~!倒せたんですね!流石です!」


ラッド「凄いだろ!俺とジュリの連携で倒したんだぜ!」

と肩を組んだ。


ラッド「ところでそっちは出来たのか?」

ルミィ「出来ましたよ!」


と教会の裏手からルミィが出てきた。

ルミィ「看板、そして貼り紙もできましたよ!」

と良い感じなものが完成していた。完成度が高いので感心した。


樹理「凄いな!よく出来てるし。」


ルミィ「えへへ、そうですかね。」

と照れながらも正直に喜んでいた。


ルミィ「皆さん、ドスオーク討伐と貼り紙と看板作成、ありがとうございました。」


リノハ「いえいえ、お役に立てて良かったです。」


ラッド「そんなのどうってことないしな。“あさめしまえ”ってやつだぜ。」


ルミィ「ドスオークの素材はそちらで使ってもいいですよ。」


樹理「…いや、ルミィさんにあげるよ。二人はどう思う?」


リノハ「私はそれでいいと思いますよ。」


ラッド「俺も同意だ。この教会を直すために使ってくれたらいいぜ。」

二人も同意のようだった。


ルミィ「ホントですか…!ありがとうございます!」

ルミィは目を輝かせて嬉しそうにしていた。


樹理「それじゃあ、僕たちはグリーンフォールに向かうよ。」


ルミィ「『グリーンフォール』ですか!風の街…良いですよね。」


樹理「風の街?」と聞き返した。初耳な情報だった。


ルミィ「はい。風の精霊がおり、グリーンフォールは神聖な風で守られていると言われてるんですよ。」


樹理「へぇ~…。知ってたか?ラッド。」


ラッド「いや、流石に知ってるからな?」


樹理「流石にか。」


ラッド「俺そんなバカじゃないからな!?」

と会話をしているとルミィに呼びかけられた。


ルミィ「ジュリさん、これをどうぞ。」

と渡されたのは聖書だった。


樹理「これって教会のじゃ?」


ルミィ「大丈夫ですよ!たくさんあるので。」

そうかと頷き、聖書を受け取った。


ルミィ「あ、あと皆さんにお願いしたいことがもう一つだけあって。」


リノハ「なんですか?」


ルミィ「皆さんに旅の途中にここを紹介してほしいんです。いまは少しでも人を増やして、知ってくれている人が増えたらなと思います。」


樹理「もちろん、頼みならやらせてもらうよ!」


リノハ「それじゃ、行きましょうか!」


ラッド「そうだな!じゃあな、ルミィ!」


ルミィ「はい!皆さんさようなら!お元気で〜!」

こうして、僕らは再び旅路へと歩み始めた。




そして数日後

長い道の先には街が見えてきていた。

ラッド「お!もしかしてあれか!?」


樹理「ああ、大樹も見えるし、間違いはないだろうな。」


リノハ「はい!あそこが『グリーンフォール』です!」

爽やかな風が吹き抜け、大樹がそびえ立つ、穏やかな街の情景が広がっていた。

どもども、ワタクシです。

なかなか筆…いや、指が進まず、書きたいこともあり、急に文字数がおかしくなったものが出来ました。投稿が遅く、待っていた人には申し訳ないです。ま、某伝説やるんですけどね。

そんでは、最後まで閲覧頂きありがとうございました!

コメントなどをしていただくと嬉しいです!

では、また次回で!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ