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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
99/1853

99.ツナギ

 コユキの頭の中に流れ込んでくる何かの気配、オルクスの時とは違い、もっと明確なイメージをコユキは受け取っていた。



 白い宮殿の中で目の前に立つ漆黒の存在が、黒鳥の様に美しい一対の羽を揺らしながら何やら、こちらに抗議をしているのが見えた。

 必死なその顔は抗議と言うより、哀願していると言った方が良いのだろうか?

 ただ、話している言葉は理解不能の物であり、聖堂などにある大型の鐘の音の様に響き渡っていた。

 なのに、自分の側から発する鐘の音の意味は理解出来ていたようで、はっきりと聞こえた。


『分かってくれぬか、モラクスよ…… 最早、堕ちる、しかないのだ……』


 そういった意味の呟きを聞くと、目の前の漆黒の存在、多分モラクスは顔を覆って悲しそうに天を仰いだのであった。


 そこで、イメージの流入は終わりコユキの意識は現実へと引き戻された。



 コロリっ! 


 音がした足元に目をやったコユキは、オルクスとそっくりな、恐らく『馬鹿』を祓った(はらった)本来のモラクス、その赤い石を拾い上げるのであった。


 そして、コユキの横には安らかな顔で、眠っている様に見える、『秋日影(あきひかげ)』の息絶えた姿が有ったのだった。

 少し悲しそうな瞳で見つめた後、アヴォイダンスの応用で、すり鉢状のクレータから脱出したコユキは、膝が動かなかった為、膝立ちのまま、ス――――っと、二人の中年男性の方に近付いて行くと、声を掛けるのだった。


「……あの、牛さんは死んじゃったんだけど…… 一応終わりました、お二人とも大丈夫でしたか?」


「あ、あぁ、俺たちは大丈夫だけど…… あんた…… 服……」


「っ!!!!」


――――きゃあ! そういえばそうだったっ! い、いや~ん!


 一応三十九歳の女性らしく、ササッと手で隠してみる。


「……ちょっとまってな」


 そう言って(アキラ)は牛舎の奧の家に向かって、小走りに走り去って行った。

 組合員の男性も簡潔にコユキに対して礼を述べた後、牛舎の横にあったパワーショベル(中型)に乗って戻ってくると、秋日影の後ろ足を縛り、クレータの上に吊った。

 

 コユキが前を隠しながら聞いた所、早めに血抜きをして置く、との事だった。

 逞しいなと思いつつも、コユキは僅か(わずか)な戦慄を覚え、その作業を見ない為に、少し牛舎の方へと移動したのであった。

 そうしていると、明が作業用ツナギを手に戻って来て言った。


「とりあえずこれ、ちょっと前に死んだ親父のツナギ、新品だし百キロ以上の巨漢だったから、その、良かったら着てくれ」


 亡くなった父親の形見とも言うべき物を頂くのは、ちょっと気が引けると感じたコユキだったが、背に腹は変えられないと思い申し訳なさそうに言った。


「すみません、お言葉に甘えさせて頂いてお借りします…… お父様はやっぱり、新型の? コビットで?」


 コユキの問い掛けに明は沈痛そうな顔つきで答えた。


「いや、恥ずかしながらそうじゃ無いんだよ…… 中万町(ちゅうまちょう)にある日帰り入浴施設でな、女湯の露天風呂を覗いているのがばれて、女性が騒いじまってな、慌てて逃げた様なんだが、周囲を囲んだ池に足を滑らせて…… 直前にしこたま飲んでいたのもあったんだろうな、心臓麻痺でぽっくりだ…… そんな感じだったんで、娘が学校でからかわれている様なんだよ、全く、ごうわくわ」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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[良い点] オチがっ!最後の最後でどこまでもオチていきますね。モラクスに誰かが堕ちるしかないと言っていたのには、まさかこのオチも含まれるのでは、と思うほどでした。 [一言] 秋日影は可哀想でしたがとり…
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