表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)
95/1881

95.神速

 若い頃からの自分の持論がまたしても証明された事を、心中で喜びながらも慎重に距離を取りつつ、次の行動について考えを巡らす。


 モラクスの角による攻撃は、幸福寺での訓練では決して経験出来なかった、速度と切れ味を持って襲いかかって来る。

 今は自分の回避能力の方が若干上回っているようだが、それも持続性の不確かな『アクセル』に拠る所が大きい。

 未だ明確な勝利への道筋が見えていない現状、発動は最低限に抑え、体力の温存に努める事が肝要だろう。

 その為には距離の安全マージンを余計目にとって、相手の動きの観察を徹底しよう。


 そして、動きの中から何かの癖や、隙を見つける事が出来た時、接近してコイツを刺し込んでやればいい。

 その絶好の機会を逃さない為にも、モラクスの一挙手一投足を見逃さない事、不用意に攻撃を仕掛けない事、それさえ守りきれば、アタシに負けは無い!


 ススススススス……


 静かに無感情な声が響き続ける中、そんな風にコユキが考えている間、同時にモラクスは不規則に動き回り続けるコユキの声に向けて話し掛けていた。


『なるほど、確かに我が兄の技を使いこなしているようだな! ならば、未熟者と言った言葉は取り消す事としよう、なにしろその技は兄の二つ名ともなっている別格の物だからな…… 貴様が『アクセル』と呼んでいたその技本来の名は、『神速(グリゴリ)』という…… 人間も、それ以外の知恵ある者達も尊崇(そんすう)の念を持って兄を、神速(グリゴリ)(トウ)オルクス(オルクス)と呼んでいた物よ、そして我も又、畏敬(いけい)を込めこう呼ばれていた、エピドロミ』


 モラクスが言葉を止めたその時、コユキが自分の考えを(まと)め終えたのは全く同時だった為、ここまでの彼の発言は一言も彼女に届いていなかった。


強襲(エピドロミ)(トウ)モラクス(モラクス)となっ!』


「へ?」


――――何か、わけワカメな事を叫んだけど? 馬鹿なのかな? あ、『馬鹿』だったわね! ああ! そう言う意味だったのか……


 何故中途半端な形で受肉した悪魔の事を『馬鹿』と呼ぶのか、その理由を(はなは)だ自分勝手ではあったが理解したのであった。


「そうよね、アンタも辛いわよね…… 待ってて! 今アタシが治してあげるからね!」


『? エピドロミ』


 言葉を発する為に『アクセル』を解除したコユキに対して、(わず)かに戸惑った様子を浮かべたままであったが、モラクスがスキルを使用した。

 モラクスの全身から周囲に溢れ出した漆黒のオーラは、中空で固まり球体へとその形状を変化させ、付き従うように彼を中心に回転を始めた。

 その数四つ。


 不規則にグルグルと動き回るそれは、魔力を見る事が出来ないコユキからしても、それまでの攻撃とは全く違う(おぞ)ましさを感じる。


突角長槍(ロングホーンランス)!』


 モラクスが声にした瞬間、球体の内二つが渦のように角へと纏わり付き、同時に繰り出されるロングホーンランス。


「! 『アクセル』」


 コユキの肩に鈍い痛みが走る、避け切れずに傷を負ったようだった。

 傷自体は掠り傷だったし、出血もほぼ無かったが、問題はそこでは無いと、コユキは高速移動を繰り返しながら心中で唸った。


――――なんだ、今の? 角の伸びる長さが変わった? いや長さもだけど、伸びる速度が上がった! み、見えなかった!


 充分な余裕を持って距離を取っていたつもりであった。

 実際ここまで目にしたロングホーンは、元の長さ(五十センチ位)から一メートル程度しか伸びていなかった。

 だからこそ、コユキはオーバーな程のマージンを取り、五メートルほど離れた位置から声を掛けたのだった。

 その距離を越えて伸びた角の槍は、コユキの目で捉える事が出来ないほどの速さを持っていた、まるでコユキのアクセル並の速さを……


 っ! 


 コユキの脳裏に、座学の中で善悪が口にした言葉が浮かんだ。


『三角折りの事だったら再考の余地は……』


 違った、そこじゃなかった! ええっと、コユキは再び言葉を浮かべた。


『コユキ殿の育成方針は『特化』でござる! はっきり申せば『回避特化』で、ござるっ…… ござる…… ござ』


 それだ! コユキは思った。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=140564926&size=200



fw2razgu4upfkla8gpm8kotvd1hy_1365_xc_ir_92ne.jpg
にくい、あんちきしょう…… ~食パンダッシュから始まる運命の恋~ は↑からどうぞ



eitdl1qu6rl9dw0pdminguyym7no_l63_h3_7h_23ex.jpg
3人共同制作の現場 小説創作の日常を描いた四コマ漫画 は↑からどうぞ



l7mi5f3nm5azilxhlieiu3mheqw_qn1_1kv_147_p1vu.jpg
侯爵令嬢、冒険者になる は↑からどうぞ
~王太子との婚約を一方的に破棄された令嬢はセカンドキャリアに冒険者を選ぶようです~ 



jvan90b61gbv4l7x89nz3akjuj8_op1_1hc_u0_dhig.jpg
見つからない場所 初挑戦したホラー短編 は↑からどうぞ



異世界転生モノ 短編です
8agz2quq44jc8ccv720aga36ljo7_c1g_xc_ir_97jo.jpg
【挿絵あり】脇役だって主役です ~転生を繰り返したサブキャストは結末を知りたい~ は↑からどうぞ



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] モラクス強いのと、二つ名がとても格好良かったです。そして、敵よりも絶対コユキの方がバ、なんでもありません。そして全く話を聞いていないあたり、まだコユキで面白かったです。 [一言] 三角折り…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ