表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/2024

66.罪と罰 ②

 慌てて、家族のポッケやバック等からスマホを集めたコユキは、悪い笑顔を浮かべながら、充電器に接続して一台一台電源を入れて行った。


 ……

 ……


 ガクッ……


 結果は、全員(しっか)りロックを掛けていたのだ。

 まるで、今日のこの日が訪れるであろうと予見していたかの如く(ごとく)、九十を越えたばあちゃんトシ子に至るまで確りと、防犯意識が根付いていたのだ。


 まあ、オレオレみたいな捻った詐欺ならいざ知らず、同じ屋根の下にコソドロが暮らしているのだから、自然と高まった意識であろう。


 全てこれまでの自分の行いのせいであった……

 コユキはでっぷりと、いやがっくりと肩を落とし、冷蔵庫の前に向かった。

 せめてもの栄養補給にと願いを込めて、マヨネーズとウスターソース、味噌と卵七つを口に叩きこみ歯を磨き眠りに就くのであった。


 この日の眠りより目覚めて都合三日間、コユキと善悪の法的処置まで考慮に入れた鎬合い(しのぎあい)は、まさに熾烈(しれつ)と表現する事が適切であった。


 結局、塩ご飯と塩スープ以外のメニューがコユキの食卓に並ぶ事は無く、要所要所でブー垂れてしまうコユキの発言を聞き逃さなかった善悪が、お代わり禁止の禁じ手を繰り出す所まで至り、事態は深刻の度を深めていったのだ。


 この一連の流れの中、自宅にストックされていた調味料の類を、一夜目には、ケチャップ、砂糖、塩、うまみ調味料まで喰らい尽くしたコユキは、二夜目、三夜目は家業の主力、緑茶の煎茶を大量に口に頬張り、(むせ)び、必死に飲み込む事で糊口(ここう)(しの)いだのだった。




 そうして、回避訓練を開始してから五日目の午後、訓練場所の幸福寺境内で一人の戦士が誕生した。

 恐怖を克服し、自らの限界を超えたのみならず、世界の肥満に悩む人々に新たなる可能性を見出す希望の光り、超絶戦士が爆誕したのだ。


 お寺の境内にはコユキの姿は見当たらず、数百本まで増やされた蝋燭の滴り続けるロープの下で、休みなくその身を焦がす熱さに唸り声を上げ続ける、幸福寺檀家オールスターズの若手農家十人の苦しむ姿と、周囲に散らばる三千個に迫ろうかと言うピンポン球の数々、後は意識を失い倒れ込んだ善悪の背中や後頭部、臀部(でんぶ)に積もり続ける色鮮やかな蝋のおぞましい塔だけであった。


 その空間に響き渡る只一つの音、それは、


「ススススススススススススススススススススススススススススススススススススス…………」


と蝋燭が燃え尽きるまで、姿も無く響き渡り続けるのであった。

 ススススススススススッスススっと……


 そして、その音も途絶えて数瞬の後、境内に焦った様な口調が聞こえた。


「あらら、皆、酷い有様じゃなーい。 えっ! 先生! しっかり! せんせ、よしおちゃぁーん!」


 虚空から突然顕現したかのように、何も無い空間から不意に姿を現したコユキが、ほぼ蝋に埋まった善悪へと駆け寄るのであった。


 この三日の間に、一体何が起こったと言うのだろうか?

 四日前の泥仕合に呆れかえり、ここの所飛ばし気味に観察していたせいで見逃してしまっていたようだ。

 取り敢えず、一時間程前に時間を遡って、改めて観察する事としよう。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=140564926&size=200



fw2razgu4upfkla8gpm8kotvd1hy_1365_xc_ir_92ne.jpg
にくい、あんちきしょう…… ~食パンダッシュから始まる運命の恋~ は↑からどうぞ



eitdl1qu6rl9dw0pdminguyym7no_l63_h3_7h_23ex.jpg
3人共同制作の現場 小説創作の日常を描いた四コマ漫画 は↑からどうぞ



l7mi5f3nm5azilxhlieiu3mheqw_qn1_1kv_147_p1vu.jpg
侯爵令嬢、冒険者になる は↑からどうぞ
~王太子との婚約を一方的に破棄された令嬢はセカンドキャリアに冒険者を選ぶようです~ 



jvan90b61gbv4l7x89nz3akjuj8_op1_1hc_u0_dhig.jpg
見つからない場所 初挑戦したホラー短編 は↑からどうぞ



異世界転生モノ 短編です
8agz2quq44jc8ccv720aga36ljo7_c1g_xc_ir_97jo.jpg
【挿絵あり】脇役だって主役です ~転生を繰り返したサブキャストは結末を知りたい~ は↑からどうぞ



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに一体何が(笑)さぞや、しょうもない攻防があったのだろうと想像できてとても楽しいです。そして携帯電話の防犯意識!素晴らしいですね。コソドロかいかにたちが悪かったのかも伺い知れるというも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ