表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/2021

50.鏡

 その呟きを敗北宣言と取ったのか満足そうなコユキであったが、不意に口調を正して、


「それにしても、最初は信じられなかったんですけど、自分の事なのに本当に三センチも認識と現実に差があったなんて驚きましたよ」


と、やっと現実(太さ)を受け入れたらしい発言をした。


 続けて、自分では気付かない美しさだとか、これ以上豊満になると怖いとか言っていたので、根本的な勘違いは治っていなかったようだ。

 残念。


 気にしない事にした善悪が答える。


「まぁ、自分の事なんて正しく分からない方が普通でござろう。 何しろ、人間が客観的に見る事が出来るのは他人の姿だけであろ? 直接観察した事も無い、己の事を分からなくても仕方ないのでござるよ」


「えぇー、私結構鏡とか見たりするんですけどね?」


 コユキの疑問にうん、と小さく返事をして善悪が答えた。


「鏡でござるか? あれも微妙な物でござろ? 現実には左右反転した姿であるだけじゃなく、見たい様に見てしまう事も往々にしてあるであろ? 鏡覗く時だけ目をキリッとさせたり、姿見の前に立ってお腹をへこましたりね。 あと、ついでに言えば、お化粧するとか必要な場面以外で鏡を使い過ぎるのも、僕ちん的にはどうかな? って思うんでござるよ」


「どう言う事です?」


「うん、あくまでも個人的な考えなのでござるが、当たり前だけど鏡って自分と同じ表情してるでござろ? 嬉しいとき覗けば一緒に笑って、悲しくて堪らない時だったら一緒に泣いてくれる、怒っている時だって憤慨プンプンでござろ? まるで、絶対自分を裏切らない、決して批判も否定もしない理解者? というよりはイエスマンみたいな存在であろうと思うのでござる」


「ふむふむ…… なるほどです」


 コユキの相槌(あいづち)に促された善悪は、緑茶を一口啜って(すすって)自論を続ける。


「たまにね、拙者に相談に来る檀家さんやその知り合いの人がいるのでござるが、困ってることとか、悩んでいる事って本当に色々なんでござる。 仕事柄一緒に考えて、出来るときはアドバイスをしたりする訳なんだけど、当然、一般的な誰でも分かっている、それこそ本人も分かった上で聞きに来ているような事しか言え無いのでござるよ。 浮気がばれたって話しなら、淫蕩(いんとう)はダメだって説明して、奥さんに謝った方がいいよとか、病気で辛いって人だったら、お医者さんの言う事をちゃんと聞いて、出来れば今までの生活習慣とか、食生活を振り返るとか、働きすぎたんじゃ無いかとか、自分の過去を見直す機会を貰ったと考えてみたらどうかな、とか、本当に普通の事しか言えないのでござるよ」


 自分の無能を恥じる様に、苦笑いを浮かべながら更に話を続けていく。


「そんな相談の中で一番多いのは、一言で言うと『人間関係』なのでござる。 小さな子供同士の仲間はずれから、高校生の息子さんの不登校について、会社の同僚や取引先との不和、老人会でのトラブル、ご近所さんとの揉め事とか、多種多様で、お一人づつそれぞれ事情も状況も違っていて、経典をひっくり返して何度も見直しても、これだっって答えが分からない事ばっかりなのでござる。 それでも何か言わなきゃならない、ごまかしじゃなくて目の前の人の心の(おり)を減らす手助けになる言葉をね。 一応お坊さんだからね。 だから、最適解も次善策も我輩には皆目見当が付かない時はこう答えるのでござる」


「……うん……」


 コユキ自身も多少、いや正直に言えばメチャクチャ興味を惹かれる内容だった。

 首肯(しゅこう)し話の先を促すのだった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=140564926&size=200



fw2razgu4upfkla8gpm8kotvd1hy_1365_xc_ir_92ne.jpg
にくい、あんちきしょう…… ~食パンダッシュから始まる運命の恋~ は↑からどうぞ



eitdl1qu6rl9dw0pdminguyym7no_l63_h3_7h_23ex.jpg
3人共同制作の現場 小説創作の日常を描いた四コマ漫画 は↑からどうぞ



l7mi5f3nm5azilxhlieiu3mheqw_qn1_1kv_147_p1vu.jpg
侯爵令嬢、冒険者になる は↑からどうぞ
~王太子との婚約を一方的に破棄された令嬢はセカンドキャリアに冒険者を選ぶようです~ 



jvan90b61gbv4l7x89nz3akjuj8_op1_1hc_u0_dhig.jpg
見つからない場所 初挑戦したホラー短編 は↑からどうぞ



異世界転生モノ 短編です
8agz2quq44jc8ccv720aga36ljo7_c1g_xc_ir_97jo.jpg
【挿絵あり】脇役だって主役です ~転生を繰り返したサブキャストは結末を知りたい~ は↑からどうぞ



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] 揉め事のときとかは、とにかく人の話をよく聞くしかないので善悪のいうこともよく分かります。正論や理屈ではないので、鏡と同じだと思いますね。喋ってもらうことで自身の姿を顧みてもらうということで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ