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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)

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425/2042

425.仏炎苞

本日6回目の投稿です。

1回目は『420.激論!このバカ娘がぁ!』ですので、

まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。


********************************************************

今回の話には、


『37.パーティー結成』


の内容が関わっています。

読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います^^


「ここね!」


 背負われて楽ちんだったコユキが言葉を発し、葬式の野辺送り並みに陰気になっていた攻略組の行列が、沈痛な面立ちのままで歩を止めたのである。


 右手にイモリの池が見え、木製のベンチがいくつも置かれた観光ポイント、その真っただ中の事であった。

 あちらこちらにお弁当を使ったり、可愛らしいイモリちゃんたちの癒しの姿に見惚れている老夫婦などが散見されている。


 こんな場所で木道(もくどう)から降りて湿原の只中を歩み進めたとしたら、一々煩くない普通の日本人だって、その非常識に憤慨してしまい、即日SNSを大賑わいさせる投稿をしてしまう事は間違いないだろう。


 モラハラの極み、尾瀬で見た身勝手な人々、とか何とか言ったタイトルが容易に想像できるし、尾瀬なんか行ったことも今後訪れる予定も無い、それこそ、ここ暫く自宅から出た事も無いお子ちゃまたちが追随する所まで想像できる。


 これは許せない! 俺たちの尾瀬を何だと思ってるんだぁ!

 あそこだけは大事ぃ、あり得ない冒涜ぅ!

 だったら部屋を出なければいいのに!

 いい年して分別ないとか……

 これで大人とか恥ずかしすぎるwww

 通報しますた……


 そんな未来が簡単に予測できたのだが、そこはそれ、引き籠りつつ自分や数少ない友達の名誉を守り続けて来たコユキである、抜かりは無かったようである。


 ズンっ! と取り出したスマホで幸福寺に残してきた祖母、トシ子へと連絡を入れるのであった。


「あ、もしもしぃ、お婆ちゃん? 例のヤツを送ってぇ! そうそう、例の袋に入れてねん、うん、うん、そうそう、んじゃ、よろしくぅ!」


 自身が背負ったコユキが通話を終えると同時に善悪は隣に立っているアスタロトと確り手を繋ぐのであった。


 パッ! サッ!


 アスタロトの目の前にどこからともなく真っ白な鶴の尾羽が現れた。

 空いていた方の手でアスタロトが掴んだ瞬間に、一行の姿は他人の認識から切り離されるのであった。


 尾瀬の湿原の中に正体不明の踏み跡が描かれていく。

 真っ直ぐと白樺が立ち並ぶこんもりとした林の中へと踏み入って行き、後には咲くのを待たずに破壊された水芭蕉(ミズバショウ)の無残な姿が残されている。


 決して褒められた行為とは言えないが、今は大いなる意思の元、地球全体の為に行動しているのだ、多少のモラハラにはお目こぼしをお願いしたい所である。


 こうして、人々の目を欺いて林の中に辿り着いた一行は再び姿を現した、アスタロトが地面に鶴の尾羽を置いたのである。

 善悪は自分の胸元のポッケに入ったオルクスと頷き合ってスキルを発動するのであった。


「「即時配達(ウ〇バーイーツ)」」


 尾羽は消え失せる、恐らく幸福寺の本堂に戻ったのであろう。

 これも二日間の準備中に様々なアイテムの運用方法や、メンバー全体の共通ルールを確認する為の打ち合わせを終えていた事に依る所が大きい。


 優秀な効果を持ちながらも仲間ですら見つける事が出来なくなるこの鶴の尾羽や、自然災害並みの激甚な被害を起こしてしまう青柿、巨人化出来る小槌に敵対者をイライラさせっぱなしのお椀、どんな生き物でも眷属に出来てしまうキビ団子、これらの運用に一定の決まり事を作らなければ洒落にならない事態を招くことは必定(ひつじょう)


 そう判断した善悪が強引に開催させた会議において、以前にコユキと二人っきりだった頃に作ったルールと併せて全員に説明したのであった。


 倫理に反する行いを禁止するの辺りでは、アスタロトやイラからどの程度が境界線なのか判断しにくいだとか、大人同士なのに自由恋愛の権利を侵害しているだとか色々な意見が活発に交わされ大変有意義だったと思う。


 因み(ちなみ)にこのルールは抹消される事となったのだが、幸いな事に三角折り禁止は現状のまま維持される事となった、コユキと善悪も胸を撫で下ろしていた。


 鶴の尾羽の運用方法については至って簡単、普段は幸福寺の本堂にしっかり安置して置く事、善悪とオルクス、アスタロトが一緒に遠征に赴いている時だけ留守番の誰かに連絡してズタ袋に入れて貰い、使用後には面倒臭がらずに一回毎ウーバ〇イーツで本堂に戻す事、に決められていたのである。


 善悪が背負子を降ろしながら言う。


「んじゃ、ついでに呼び寄せてしまうでござるよ、コユキ殿よろしく」


 立ち上がりながらコユキが答えた。


「あいよ………… あ、お婆ちゃん、カイムちゃんに言ってくれる? えーもう準備済みなの? 気が早いわね~、うん、それじゃそのままで待ってるように言っておいてね♪」


 コユキのサムズアップを見て善悪とオルクスは再びスキルを発動した。


「「即時配達(ウーバー○ーツ) 届け先変更(ベクトル反転)」」


 ………………


「あ、あれ?」


「ムムム?」


 打ち合わせ通り、キンキラカイムと三頭の巨熊を呼び寄せる筈だったのだが……

 何も届きはしなかったのである。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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[良い点] 尾瀬がおデブたちの闊歩で大変なことにぃ〜〜!なんたることだ。アイテムの使い道に関するルールをマメに決めているあたりがとても面白かったです。そして、一体、何が起こって、配達がうまくいかなかっ…
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