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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)

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376/2035

376.よっこい正一

本日5回目の投稿です。

1回目は『372.名にし負う大阪商人』ですので、

まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。

 西に向かう事数キロメートル。

 県道が大きく分かれ道になっている場所に出た、選択肢は三本……

 善悪が分かれ道、所謂(いわゆる)辻の手前に立って重い口を開いたのであった。


「えっと、この先はどっちに進めって指示は受けていないのでござるが…… ねえ、コユキ殿? もしかして、此処に立っているお地蔵さん、六地蔵が目的の場所、なのかな? ねえ、どう思う? でござる」


 コユキも周囲を見回してから善悪に答えた。


「そうね、んでも善悪ちゃんと数えなさいよ、ここのお地蔵さんて、六じゃなくて七体あるわよ? 七地蔵よ? なんだろうねぇ!」


 コユキの言葉通り、辻に置かれたお地蔵さまは七体、であった。

 揃って近所の優しい方々の手作りであろう、赤い毛糸の帽子と涎掛け(よだれかけ)を装着し、チ~ンと鎮座しているのであった。


 コユキは言うのであった。


「んまあ、取り敢えずこの周辺を探りましょ!」


 程なくして、善悪が歓びの声を上げるのであった。


「あれぇ? ここだけ何かおかしいようなぁ~、ね、ねえ、コユキ殿ぉ、ここ見てよ! これってクラックじゃないのぉ?」


 実の所飽き始めていたどうしようもない程(クズ)なコユキは善悪が見つけたクラックをロクに見もしないで言うのであった。


「なんかあったの? んじゃあ、そこなんじゃないのぉ? ふあぁ~!」


 最低である。


 善悪が見つけたクラックと思われる異変は、ここまでの物とは明らかに違う様相を呈しているというのにこの体たらく…… 太り過ぎて正常な判断が出来ないのであろう……

 も一度言う、残念至極だよ! お婆ちゃん!


 お爺ちゃんの善悪が発見したクラックらしき物は、なんかマリマリしながら虹色の光を放ち続けていたのであった、大きさ的にはコユキ一人が通り抜けるのにギリギリ位の隙間である。

 両の膝に手を添えて頑張って立ち上がったコユキが言った。


「よっこい正一(しょういち)! っと! どれどれ? ほーん、っぽいじゃんかぁ! んじゃ、お邪魔しますねっと! ああ、これってクラックだねぇ、アンタも入んなさいよ善悪、魔力濃くて快適空間よぉ! カモナマイゾーンよぉ♪」


 お爺ちゃんの善悪は言うのであった。


「そうなの? んでは、お邪魔するのでござるよぉ、よっこい正一っと、ん、んんん? 僕チンは入れないでござるか? 何なのこれぇ?」


 コユキに倣って(ならって)膝に手を添えて腰を上げた善悪が困ったような声を出したのである。

 何やら正体不明の障壁が張られているようで、善悪の侵入を必死にイヤイヤして阻んでいるのであった。


「なんだぁこれ? やっぱりどうやっても入れないのでござるよ! コユキ殿、これなんなのぉ?」


 お爺ちゃんが叫ぶ、多分お婆ちゃんの事が心配なんだろうな、優しい!

 コユキは判った風味で適当に優しい善悪に告げるのであった。


「あー、そういう…… あれよあれ! 一度に入れるのは一人だけッてヤツよ、きっと! 割とあるのよぉ、複数人ではチャレンジ不可ってダンジョンがねぇ~あれだねあれ!」


「そ、そうなの?」


 コユキが一人で行くなんてダメ絶対、とかって考えた善悪の叫びにコユキは平然とした表情で返すのであった。


「そうよ、ゲームとかのインスタントダンジョンじゃ割とよくある仕様じゃないの? んじゃ、アタシ行ってくるわね! 待ってて…… いいえ、待ち時間を無駄にすんのも勿体ないからさ、オヤツ買ってきてよ、さっきあったレストラン? テイクアウトもやってたみたいじゃないの! リンデンだっけか? ピザとか買ってきてよ、頼むわぁ」


「それは、まあ、りょっ! だけどさぁ…… んねぇ、死なないでよ? コユキちゃん!」


「任しといてっ!」


 言い終えるとコユキはズンズンとクラックの奥へと姿を消してしまったのであった。

 残された善悪は一抹の不安を残しながらも来た道を引き返し、先ほど見掛けたレストランリンデンへと歩みを進めるのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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― 新着の感想 ―
[良い点] コユキがここに来てなんとも適当で。呆れつつも彼女らしさ全開でしたね。心配する善悪が不憫でした。観察者のご怒りもごもっともでした。 [一言] そして、最後まで食べる手配を忘れない、というのも…
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