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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)

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317/2035

317.埋葬

本日2回目の投稿です。

1回目は『デスマスク』ですので、

まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。

 代わりと言う訳では無いだろうが、大きな声をコユキの頭の中へと届けた者がいた、思いがけぬ声であった。


『聖女コユキよ! 麿は、麿は…… お前が好きじゃっ! お主に生きていて欲しい! 麿たちを打ち捨ててあの寺に帰れ! もう良いわっ! 帰って善悪と幸せになれっ! そうするのじゃ…… のう、現世(うつしよ)稀有(けう)な純粋な聖女、コユキ…… そうしてくれぃ……』


「ラ、ライコー様…… ?」


『おばさん、ライコー様の言う通りだよ! もう充分だよ! いない方がマシ? 馬鹿言わないでよ! 僕達こう見えて千年近く人間を見てきたんだよ? おばさんみたいな真直ぐな人間なんかいなかったんだから、もう良いよ! ここでサヨナラ! 終わり終わり! 終わりにしようよ、ねぇ? 帰って天寿を全うして、ねぇ』


「つ、綱ちゃん……」


 コユキは数秒だけ俯いて、言葉を失っていたが、(じき)にいつもの風情に戻って言うのであった。


「ははは、嘘よ嘘! 誰が知りもしないやつらの為に死んでやるもんですか! 善悪だって殺させないわよぅ! アンタ等昔の人ってすぐに騙されるんだから、困ったものねぇ! 単純なんだからぁ! あれよ、あれ…… 世界中がアタシや善悪を要らないって、例えば殺しに来たなら全員返り討ちにしてやるわよ! アタシ強いから、さっ! さっきのは冗談よ冗談! 本当にどいつもこいつも単純で馬鹿なんだからぁ! さっさっと魔核を拾って先に進もうよぉ! お腹空いて来ちゃったじゃないのぉ!」


『『『………………』』』


 コユキの言葉にはライコーもツナもスエタケも一言も返すことは無く、いつも通りの感じで黙々と魔核を拾い続けるコユキの姿だけが森の中を動いているだけであった。


 全ての魔核を拾い上げたコユキが蝙蝠たちとの邂逅場所へと戻った時、彼女は小さくしかしハッキリとした声を上げたのである。


「あっ! 蝙蝠…… そっか、そうだよね……」


 そこには、最初にコユキに襲い掛かってきた血吸蝙蝠たちの遺骸、叩き潰され斬られバラバラになった命の残骸が、所狭しと隙間無く撒き散らされていたのであった。

 コユキは腹肉を一旦下へ揺らし、直後に上方へと振り切り、中天へと舞い上がるのであった。


 ドドーン! ビリビリビリィ!


 御馴染みのメテオインパクトを大地に落としたコユキの足元は一メートルほどの深さのクレーターとなっていた。


 ピョンっ!


 我等の太っちょミーティアは軽く地上に戻ると、周囲に散らばった蝙蝠達の残骸を丁寧に丁重に、その手が血液や体液で汚れることも(いと)わずに拾い集め、クレーターの底に整然と並べていくのであった。

 見える限りの遺骸を集め終わると、小さく呟くのであった。


「ごめんね……」


と……


『のぅ、聖女、いや真なる聖女コユキよ…… 麿の誓いを受けてくれぬか?』


『ズルイですよぉ、ライコー様! そこは一蓮托生(いちれんたくしょう)でしょ?』


『だな、コユキさん! 我等の総意だ! 受け取って欲しい! 私達のココロを、なんだっけああ、あれだ、あの言葉、あれだな!』


「?」


 コユキは蝙蝠達の亡骸に丁寧に土を掛けながら不思議そうな表情を浮かべてその身に帯びた二振りの太刀と、背に羽織った内掛けから聞こえる言葉を聞いていたのだが……

 綺麗に埋めきった蝙蝠の墓に手を合わせた後、立ち上がった瞬間、馴染みになっている言葉が、馴染みの無い三つの声で脳内に響いたのであった。


『『『マラナ・タ』』』


 コユキは瞬間的に脊髄反射のように答える。


「あいよっ!」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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[良い点] コユキの前話の言葉が3名の心を掴んだようで。また、心配をかけまいと、発するコユキの言葉が暗示的でとても良かったように思います。供養する、というのもまた、聖女らしくなりましたね。 [一言] …
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