表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

314/2035

314.吸血蝙蝠

本日7回目の投稿です。

1回目は『308.信仰の正体』ですので、

まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。

 さて、如何(いか)に察しが良くても、ここまで詳細な内容を知らなかったコユキは、留まり続けた激戦の場を後にする為に立ち上がったのであった。


「ご馳走様でした!」


 コユキの足元には、綺麗さっぱり、一匹も残さずに食べ尽くされたハチノコ抜きの蜂の巣残骸が転がっていた。


 事情を知らないとは言え…… あとで内臓美人、ペナンガランと一悶着(ひともんちゃく)無ければ良いが? そんな懸念を感じてしまう可愛い孫、私、観察者であった。


 立ち上がったコユキの目の前にさっきまで無かった立て看板が公時(きんとき)のクラックの場所を示して現れるのであった。


 公時のクラックはこちら→ 頑張れ! あと一踏ん張りだぁ!


「面白いじゃない、誰だか知らないけど全部あんたの(てのひら)の上ってことね、んじゃあ踊ってやるわよ、(てのひら)ステージでね! 気を付けなさいアタシ、ちょっと重いかもよ?」


 チョット所では無く重たいコユキの体重は現在三十一貫、百十六キロを越えていた、そっぷ型の力士だったら充分に渡り合える目方である。

 言い終えるや否や、ここまでと違い本気の本気、オルクスの『神速(グリゴリ))』並の速度を誇る『加速(アクセル)』で移動を始めたコユキ。


「疲れんじゃん! やだよぉ!」


 善悪やトシ子の前では出し渋っていたスキルを惜しみなく使う辺り、結構鬱憤(うっぷん)が溜まっていたのか? それとも口とは裏腹に同じ女性として悲嘆(ひたん)に暮れていたペナンガランを利用した事に人並みの義憤を感じたのかは定かでは無いが、オールスターズのメンバーの言葉を借りれば、本気の本気、全力で全力だあぁっ! 凄いスゲーよスゲェスゲェ! って感じがビシビシ伝わってくるのであった!


 その後も数箇所に業と(わざと)らしく設え(しつらえ)られた案内板の示す通りに方向を変えて疾風すら置き去りにする勢いで通り抜けてきたコユキは、気が付けば鬱蒼(うっそう)とした暗い森の只中に立っていたのであった。


「んあ? なんかやけに薄暗いわね、ここ」


 コユキが言った瞬間、まるでそれが合図だったかのように周囲に羽音が響くのであった。

 虫とも鳥とも違う、パタパタパタパタと言った乾いた羽音、その音の正体は時を置かずコユキの知る所となる。


 ガッ! チュ――――!


 コユキの首に噛み付いたパタパタ音の主、その何者かが、取り付いた瞬間勢い良くコユキの体内から大切な液体、血液、血を吸い始めたのであった。


「きゅ、吸血蝙蝠(こうもり)? くっ! また、面倒な!!」


 バシィッ!


 裏拳で首に噛み付いていた蝙蝠を打ち砕きつつコユキは吐き捨てるように言ったのであった。

 ふと見上げれば、空を覆う数え切れないほどの漆黒の翼が目の前を覆い尽くしていたのである。


 コユキは両手に虎の子のかぎ棒を確りと握りしめて声を発するのであった。


「来いっ! 喰らえ! 『鎌鼬(ウインドバースト)』!」


 コユキの手から飛び出した二本のかぎ棒が縦横に高速回転を繰り返し、全方位に向けて鋭い風の刃を飛ばしたのであった。

 数十の刃が空中を埋め尽くした蝙蝠の群れに襲い掛かった。


「よしっ!」


 拳を握るコユキであったが、翼や胴体を切り裂かれ落下した蝙蝠の数は思っていたよりずっと少なくて、大体そうだな? 十数匹だったであろうか。


「ぐぬ、思ったより頑丈みたいね」


 口惜しそうに呟いたコユキの声に、背に負ったリュックから落ち着いた指摘が返された。


『その通りじゃよ、聖女コユキよ、それ、今こそ我々アーティファクトを身に着ける時じゃのぉ! そこらに落ちてる(ツタ)を腰に縛り、直ち(ただち)麿(まろ)(ツナ)を差すのじゃ! ほれ、急がんと血が無くなるぞい?』


 ガッガッガッ! チューチューチューっ!!


 リュックに入れていたライコーの言葉を証明するかのように、吸血蝙蝠がコユキの手足と頬に噛み付いて、臭いであろう血を吸い始めるのであった。


「痛たたたたたた! ちきしょー! 『散弾(ショット)』!」


 至近距離でスキルを使用したことで、かぎ棒の制御が途絶えたらしく、ポトポトとコユキの少し前方に力無く落下してしまったが、代わりに手と足、パンパンの頬から血吸い蝙蝠を叩き落す事に成功したのであった。


 そのまま、鈍重(どんじゅう)ではあったがゴロンゴロンと天を埋め尽くした蝙蝠の群れから距離をとったコユキは、脇に落ちていた(ツル)を手にすると素早く自分のでっぷりとした大きな腹に巻き付けると、ライコーに言われた(まま)、二振りの太刀(たち)、『鬼切り丸』と『蜘蛛切り』を差込み、ついでとばかりに漆黒の和服、『闇夜の内掛け』を着込むと自分に向かって襲い掛かってくる蝙蝠達をきっと睨んで構えを取るのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー cont_access.php?citi_cont_id=140564926&size=200



fw2razgu4upfkla8gpm8kotvd1hy_1365_xc_ir_92ne.jpg
にくい、あんちきしょう…… ~食パンダッシュから始まる運命の恋~ は↑からどうぞ



eitdl1qu6rl9dw0pdminguyym7no_l63_h3_7h_23ex.jpg
3人共同制作の現場 小説創作の日常を描いた四コマ漫画 は↑からどうぞ



l7mi5f3nm5azilxhlieiu3mheqw_qn1_1kv_147_p1vu.jpg
侯爵令嬢、冒険者になる は↑からどうぞ
~王太子との婚約を一方的に破棄された令嬢はセカンドキャリアに冒険者を選ぶようです~ 



jvan90b61gbv4l7x89nz3akjuj8_op1_1hc_u0_dhig.jpg
見つからない場所 初挑戦したホラー短編 は↑からどうぞ



異世界転生モノ 短編です
8agz2quq44jc8ccv720aga36ljo7_c1g_xc_ir_97jo.jpg
【挿絵あり】脇役だって主役です ~転生を繰り返したサブキャストは結末を知りたい~ は↑からどうぞ



小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ、アーティファクトの効力と活躍が見られるのですね。とても楽しみです。吸血蝙蝠の群れというのもまた、恐ろしく。昔、そんな小説を読みました。おっかないのですよね、蝙蝠とかネズミが群れる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ