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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)
299/1852

299.卜部季武の魔窟

本日8回目の投稿です。

1回目は『292.対面シート』ですので、

まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。

 更に三十分ばかり進んで行くと、洞穴の壁面に一回り小さな横穴が見えた。


 入り口だろうその穴の上部にはご丁寧に『卜部(うらべ)季武(すえたけ)魔窟(だんじょん)』と書かれていて、その周りにはびっしりと(つた)が絡み付いていて長い間放置されていたであろう事が伺えた。


 ゴクリっ!


 アーティファクトと聞いていの一番に、アメリカ人考古学者の冒険を思い出してしまったコユキにとって、だんじょん(ダンジョン)の響きは否が応でも緊張を高めてしまい、大きく喉を鳴らさせてしまうのであった。


 入り口に向けてゆっくりと足を踏み出そうとするコユキに右手に持った『鬼切り丸』からライコーが想念を送り込んできた。


『ナニ入って行こうとしとるんじゃ! だめだめっ! 向かって右手の壁にインターフォンがあるからピンポンするのじゃぞぃ! こんな魔窟に聖女とは言えニンゲンがヒョロヒョロ入り込んだりしたら(すぐ)に死んでしまうぞぇ~』


 足を止めたコユキは、安堵しつつ同時に落胆もしているのであった。

 だってそうだろう、現代に生きているファンタジー好きな人々の中に、現実社会に現れた謎のダンジョンに心惹かれない馬鹿なんていない(はず)だ、少なくともコユキはそう思っていたのだから……


 しかし、止められたのならば、一瞬でもそれもそうか! そんな風に納得して止まってしまったのなら仕方が無い、アタシの負けよ…… そう珍しく納得したコユキは言い返しもせず素直にインターフォンを探し始めるのであった、素直は美徳である。


 バリバリバリリィィ!


 幾重にも生い茂った(つた)(つる)を素手で千切っていたコユキに見かねたライコーがアドバイスをくれる。

 

『なあ真なる聖女コユキよ…… なんかソナタバリバリやっとるがのう? 真なるって言う位だからこんな場面にピッタリの便利スキル的なヤツ、持って居らんのかのう? どうじゃ?』


「っ! 『鎌鼬(ウインドバースト)』」


 二本の鉤爪(かぎづめ)が旋風の様に回転しながら速度を増して、小さな、だけども鋭利な風の刃を飛ばしながら(つる)に覆われた壁面に襲い掛かった。


 前回のアスタロト戦から半年間、二ヶ月の間はアボーンとしていた(リエのせい)コユキであったが、何も遊んでいた訳ではない。

 結構真面目に鍛錬や新技開発に取り組んでもいたのである。


 『鎌鼬(ウインドバースト)』はそんな風に編み出された新技の一つ、『遠隔操作(オートマタ)』と『聖魔飛刃(ファルシオン)』を複合させた技であり、切断力をマシマシにした極小の刃を、自動制御で竜巻状に回転する二本のかぎ棒から一定方向に放ち続けるといった、割かし恐めのスキルだったのだ。


 案の定、ウインドバーストの鋭い刃は壁を覆った(つた)(つる)を切り刻みまくり、昭和っぽいインターフォンと、その脇に書かれたメッセージを(あらわ)にするのであった。


  『もう、耐えられません。 私は遺物になって奥でチーンとしています…… 罠にお気を付けを……』


 油性マジックだろうか? はっきりと読み取れるメッセージは、くっきりとした文字とは一転、何やら不穏なムードを醸し出していたのである。


『あの意気地無しめが! 訪ねて来た聖女の生末(いくすえ)を嘆いてこんな風に逃避行動に出るとは情けない事この上ないのじゃ!』


 コユキは聞き逃さなかった。


「ちょっと! 生末(いくすえ)を嘆くって何よ? アンタ等何か隠してるんじゃないでしょうね? 何とか言いなさい! 説明求む! よっ!」


 ライコーはしらばっくれる感じで言うのであった。


『え? イクスエ? って何でおじゃる? わけワカメな事言われても、わしゃおじいちゃんだから分からないよ? なぁ、コユキさんや、今日は朝御飯はまだかのぅ?』


 怪しいしワザとらしい、それがコユキの偽らざる気持ちであった、しかし、分かり易く耄碌(もうろく)している老人を前にして、そんな素直な気持ちを言葉に出来るツワモノがこの令和の世に果たしてどれ程残っているのだろうか?


 少なくともコユキはそのメンバーに名を連ねていなかったようである。

 故におじいちゃん、ライコーに向けて答えたのであった。


「おじいちゃん、もう夕方よ、次は晩御飯じゃないのっ! もう、確り(しっかり)してねん! それにイクスエなんて言ってないわよ! ええっと、そう! 育成よ、育成! 横浜の育成だったシャッケ○フォードが支配下登録されて良かったね♪ って話をしただけよ、おじいちゃん! 安心していてね♪」


『おお、そうかぇ? そうかそうかシャッケルフ○ードがのう、それは良かったのぅ、なによりじゃのぅ~』


 ニッ!


 お互いに内心でシメシメと笑みを浮かべた後、コユキは表情を真面目な物に戻して言うのであった。


「しかし罠かぁ…… 参ったわね…… んでも行くしかないわよね? そうでしょ?」(ワクワク)


 ライコーが答える声は少し心配そうでもある。


『そうじゃのぅ、卜部(うらべ)って結構陰キャでえげつなかったからのぅ、充分に、いやそれ以上に気を付けて進まないと、ガチで死んじゃうぞぃ? ビーケアフルっ! じゃぞぉ!』


「りょっ! 任しといてっ!」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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― 新着の感想 ―
[良い点] ライコー様が胡散臭い。何たることでしょう。ここまで現れた者たちが三者三様に曲者なので気が抜けません。読んでいて面白かったです。そして、最後は陰キャなのですね。どれほどなのか、楽しみです。 …
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