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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 二章 暴虐の狂詩曲(ラプソディー)

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241/2042

241.現世益

本日6回目の投稿です。

1回目は『236.マスク会食(挿絵あり)』ですので、

まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。

 善悪がモゾモゾしながらコユキに話した内容は大体以下の感じであった。


 午後不意に訪れた相談客が善悪に望んだのは、所謂(いわゆる)現世益(げんせえき)』ってヤツであったのだ。

 訪問して来た老女が言うところによると、今朝(なが)年月(としつき)頑張ってきてくれた昭和生まれの炊飯器が…… 遂に召されたらしい……

 んで、そのおばあちゃんは善悪の顔を見るなり図々しくも言ったのである。


「おしょっさま! 米喰えなくなったずらぁ! 買ってけろ、んなぁ、ワシに炊飯器買ってくれズラァ! おっしょっさま! ず、ズラァ!」


 聞いていた善悪の感想は、ズバリこうであった……


――――何言ってんだこの(ババア)! 大きい声で言えば何とかなるとでも? お寺は便利屋さん(無料)じゃないでござるっ! とは言え……


「分かり申したでござるよ、んっと、お婆ちゃんの家には土鍋が無かったでござろうか? ん? んん?」


 (ババア)は答えた。


「どなべ? んまぁ、爺っさまがイギテタゴロは一緒に囲んだ土鍋はあるだどもぉ、それがなんだ?」


 善悪が(わざ)とらしい笑顔を浮かべて言った。


「なるほど! それは重畳(ちょうじょう)! んであれば、その土鍋でお米を炊いたら良いのでござる! 始めチョロチョロ中パッパ、じゅうじゅう言ったら火を引いて、ひっと握りの(わら)炊いて、赤子泣いても蓋とるな! でござるよ! 知らないでござるか? ん、んん?」


「はっ、おしょっさま! いまの言葉ってば、ワスが嫁入ってきたとき聞いた言葉さぁ~、んだでば、やってみるズラぁ~」


 (ババア)は一旦帰ったのであった。



 

 善悪はコユキに言った。


「ナンカ、お寺を便利屋みたいに考えている人々が増えてきて正直困っているのでござるよ…… 何か買ってくれとか変な相談が多くて困ってしまうのでござる……」


「へ、へぇ~」


 コユキは思った、やべぇ、これ絶対言い出せないパターンじゃないか? と……

 そんなコユキの様子に気付く事も無く善悪は続けるのであった。


「まあ、平時ならそんな図々しいお願いも笑って(さと)して終わりでござるが、今はそうはいかないでござろ? 我々密教の僧侶にはそんな余裕は無いのでござるよ! んね?」


 コユキは慌てた感じで聞くのであった。


「え? 密教って…… 善悪ん家の宗旨(しゅうし)だよね? 何か、あんの、他の宗旨との違いとか?」


 善悪は珍しく人相を凶悪にして答えたのであった。


「んー、ほら、最近良く聞くでござろ? 三密を避けろだ、密はダメ! だとか…… そもそも三密って僕チンたち密教の教えから来ている言葉でござる! 印によって行動を密にし、真言を口にする事で話を密にし、仏性に寄り添う事で心を密とするのが我々、真言の沙門でござる…… コロナとか関係無い筈なのに、風評被害で避けられ捲りでござる! お賽銭箱空っぽ記録更新中なのでござるよ…… 良い迷惑でござる…… トホホ…… とまあ、今この時、(わが)幸福寺は危急存亡のときを迎えているのでござるって話しでござるよ、んで、コユキ殿の話って何でござるか? パーティーメンバー、いやリーダーとして出来る限りの協力はするのでござる! お金は無いけどね、何でも遠慮なくいって欲しいのでござるよ! ねえ、何の用?」


 言える訳がない……

 これがコユキの偽らざる気持ちであった……


 まさか、リリィ小池の、


「三密を避ける! これが、皆様にお願いしたい事でございます!」


がこれ程地方の一寺院に経済的影響を与える事になっていたとは、本人すら気が付いていない事であろう。

 ナンカ飲酒してる奴がコロナの原因だとか、外飲みもダメだとか、終いには家飲みもダメだとか、あの人ムスリムみたいだなぁー? なんて考えていたコユキに善悪が重ねて言った。


「なんか愚痴っぽくなってしまったでござるが…… コユキ殿! 何の用でござるか?」


 コユキは反射的に答えるのであった。

 い、言えない、パソコン買ってぇ♪ なんて口が裂けても言えるはずが無い!

 故にコユキは答えたのであった。


「えっ? 何の用って…… えっと、あの、そ、そうよ! 善悪の顔が見たかったから来たの! うん、それだけよっ!」


 その言葉を聞いた善悪は、急激に顔色を真っ赤に変えながら聞き返すのであった。


「え、拙者の…… か、顔でござるか……」


 コユキは善悪の顔色の変化に全く気が付かないままでそっぽを向いたままで答えるのであった。


「そっ! アンタの顔も見れたし、今日は帰るわね! お邪魔したわね! …………またね、善悪」


「えっ! か、帰るの? そうでござるか…… 今日は嬉しかったのでござる、ありがとうコユキちゃんっ! で、ござる!」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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[良い点] うちの会社も便利屋みたいに思ってて埒が明かない、客が増えました。全く。ほんとうに怒でございますよ。そして、あしらうと一瞬でクレーマーに。いやはや本当に善悪の気持ちがよく分かります。笑顔でい…
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