238.遥かなるお見合いへの道
本日3回目の投稿です。
1回目は『236.マスク会食(挿絵あり)』ですので、
まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。
お見合い写真が届くちょうど一月前、今日から遡れば、約二ヶ月前、ユキ姉は私に言った。
「だ、誰かぁー! 誰かいないの? はっ! リエ! リエェ、た大変なのっ! 一大事なのようぅ!」
私は尋常ならざる姉の焦り捲る顔を見て緊張を高めつつも聞いたのである。
「どうしたの? 落ち着いて話して頂戴!」
「おおおおおほほほぉ、おおおおおぉぉぉぉ」
そんなケダモノの様な声に続けて我が姉、コユキ、通称ユキ姉が話した内容は大体こんな感じだった。
パソコが死んだ! 何度呼んでも(スイッチ押しても)返事がない!
もう十年以上の付き合いなのに、今日は返事をしてくれない!
今年は特別に冷え無い様に毛糸のPCカバーを編んで着せてあげていたのに凍え死んだのかも?
どうしよう!
明後日には狂乱のラビリンスの配信があるのに……
もう、何を信じて良いか分からない!
だから、パソコン買って? ねえ、だめ?
お姉ちゃん、アンタの事大好きなんだよ、チラっチラっ?
そんな内容をエンドレスループでほざき続ける姉の顔を眺めながら私は思っていた。
――――あーあ、パソコってたぶんパソコンだよね? んで死んだって言うのは壊れたって事か、ってか壊れた理由ってその毛糸のカバーでしょ? パソコンの電源リソースの内どんだけ冷却処理に割かれてるのかも知らないのか…… ふぅ、とは言え、こうなったらもう、新しいの買ってやんなきゃ騒ぎ続けるのよね~…… しょうがない、買ってやるか…… 廉価版ならそんなにしないだろうし、どうせあのBL漫画の受信とネットサーフィン位しか使わないだろうし………… ん? んん? はっ! 若しかして……
そこまで考えを巡らした私は、ある可能性に気が付くと、目の前で大好き大好き騒いでる肉塊、いや我が姉、コユキに告げたのだった。
「困ったね、買ってあげるのは吝かじゃないんだけど、今アタシのトコちょっとピンチなのよ。 ほら、ここんとこ外国からの仕入れとか不安定な時期でしょ? 今先行投資分の回収が滞ってるみたいで…… ごめんね」
「っ! う、ううん、ごめんじゃないよ! そうか大変なんだね、なんか言い難い事言わしちゃったね、アタシこそごめん…… リエ本当にどうしようもなくなる前にお姉ちゃんに言うんだよ、いざとなったらアタシが何でもやって助けるからね!」
ズキッ!!
くっ、心が痛む……
だがしかし、これも延いてはユキ姉の為なのだ、がんばれ私。
「うん、困っちゃったら相談するね、ありがとう」
「あいよっ! んじゃリョウコに買ってもらうか、どこか出かけてるのかな?」
「っ!」
やばい!
ユキ姉より先にリョウちゃんを見つけて口裏合わせをしなければ!
そう考えた私は、スキル『愛娘サーチ』を使用した。
一般的にあまり知られていないようだが、小さな子供を持つ母親なら誰でも獲得しているスキルなのだ。(※あくまでもリエ個人の感想です)
効果としては半径二キロ以内にいる娘の位置が分かるというシンプルな物である、因みに男の子の場合は『愛息サーチ』と呼ぶ。
む! 北北西に千五百メートル、なるほどJYパークか、よしっ!
私は自分の下半身に聖魔力を込めると勢い良くその場を後にするのであった。
私の特技は走る事、とは言ってもユキ姉みたいに一瞬で姿を消すような人外の能力では無いけど……
普通に走り出して、徐々に加速して行き最終的には時速四十キロ程度で走り続ける事が出来る『ロードランナー』が私のスキルだ。
いつもなら、こんなに気楽に使用する事は無い、車を使ったほうが楽だからね。
しかし今は緊急事態、ユキ姉がその気になれば手下の悪魔達を駆使して先にリョウちゃんにコンタクトを取ることも可能だからだ。
何としてもあの肉塊より先にリョウちゃんに会い、協力を取り付けなければ!
ザザザザーアァッ!!
JYパークのど真ん中に土煙を盛大に起こして到着した私、リエは可愛い可愛い我が愛娘の姿を探した、んが! 公園内には誰の姿も見えない。
昨今ウルサイ、本当にウルサイ、所謂モンスターペアレンツって奴等が、遊具ヤバクネ? とか、危ないモン町中に置くなよ! とかの大きいだけの声に負けてしまった行政が、全ての遊具を撤去してしまった児童遊具公園引く事の遊具、Jパーク……
そんなショウゴ・ハマダ的な公園に好んで来るのは、我がもう一人の姉、リョウコ、リョウちゃん位の物であろう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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