2107.狂騒
戻って来た僅かなコウモリの血液で物足りない食事を済ませたヴァンパイア達はそのまま眠りに着いたそうだ、昼間は動けないからだ。
日が落ちて屋外に出た彼等は奪われた仲間達の行方を追う事にしたという。
軽く相談した結果、帰って来なかったコウモリは下半身の方に行ったんじゃね? と、当然の推理に至ったからだ。
中世ヨーロッパから日本、そして極東ロシアへ、長い旅を共にしその後数千年もこの坑道で一緒に暮らしたマナナンガルは既に家族も同様、むざむざ奪われる訳にはいかなかった…… ついでに明日から帰ってくるコウモリがいないだろう事も彼等の後押しをした、これ以上腹が減るのは耐えられなかった、そう付け足したヴラドの表情は余りにも堂々としていて、聞いているメンバーが恥の意味を再考する切欠となる位の代物であった。
探索の決意をしたヴァンパイア達の行動は早かった。
カーミラと黒猫、ブルーカにドブネズミ、そしてヴラドと眷属は霧と化し、南へ去った人攫いの不埒な獣人の痕跡を辿ったそうだ。
『あの痩せこけた娘は行かなかったのね』
「は? 誰でしょう?」
『ほらあの変な事ばっかり呟いてる気持ち悪い娘よ』
言い方……
「ああドルドナですね」
判るなよ。
『そうそのドルドナは?』
流すんだよな、やっぱり。
「彼女達は留守居ですね、ほら鳥目なので」
ここに来てドルドナが昼夜どちらでも使えない事実が発覚、あれ等は何だ? インテリアやマスコット的なアレ?
『なるほどね』
「続けてちょうだい」
様々な疑問を投げ掛けながらもちゃんと消化出来ないままヴラドの説明は続いた、観察は一方通行、私、観察者の消化不良はこの先解消される事は無いだろう、無力を感じる。
「その後、我輩達は見つけたのです…… 獣人共が休息したであろう南の草原で…… 骨と化した朋友の亡骸、食い残しとなった上半身の変わり果てた姿を……」
ふむ。
『え、それって』
「はい、食べたのでしょう、ね……」
うん、それはそうだろ、だってお前等にとっての食料だからな、獣人達だってそうなんじゃないかな?
一様に衝撃を顔に浮かべる一同、流石のラマスも顔色を青褪めさせてオエェとなっている、判りみが深い。
一方ミロンとブロルは平気の平左だ、何故ならこいつ等は前回ここに滞在した時、ガトや仲間達と素敵な夕餉、つまりマナナンガル上半身鍋に舌鼓を打った、言わば経験者だからなのだ。
同じ現象を聞いた場合に受ける印象、それは経験者と未経験者では絶対的に違って来る…… これはオーディエンスの皆様にもお判り頂ける不文律なのではなかろうか? ここでは敢えて何とは言及しないが、まあ、ナニとかなにとかNANIとかだろう、ご理解頂きたい。
「あれ、割と美味かったよな?」
「ああ、気持ちは悪いけど、イケたよな♪」
これが経験者の弁だ、嫌っらしいとか、やっだぁっとか、不潔ぅ~とか、そういった漠然としたフンワリ感想なんかは消え去り、超現実的な評価に上塗りされるのである、大人な意見とでもいうのでは無かろうか。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU









