2102.弟でございます
心を決めたギレスラは早速火にあたり始めたラマスに近付いて話し掛ける。
『なあラマス…… この坑道には得る物が一つも無いのだがぁ…… もう少し進んで休むのもありかなぁ、と思うのだがなぁ……』
後ろめたさからかいつもの切れ味が無いギレスラに対してラマスの返しは堂々とした物だ。
「えっ? コウモリを捕まえるって言ってたじゃない? あっちからこっちに出て来てくれるんでしょ? 良いの? お腹空いているんじゃないの?」
確かにさっき言っちゃたよな……
『う、うむ…… そうは言ったのだがぁ…… 良く考えたら、共食い? かなぁ、とか思ったりしたもんだからなぁ~、なのだ』
「あ、そうなんだ! うーん、共食いは確かにちょっと無いわよねぇ…… グフトマの御大もヤメレって言っていたしぃ……」
共食いの結果、ゴブリンとして生を受けてしまった彼女を愛して止まぬグフトマはサリトでちゃんと薫陶を与えてくれているようだ、息災が窺い知れるな、良かった。
イケる、そう確信したギレスラの言葉は更に滑らかさを増す。
『で、あろ? だから今日はもう少し先まで進もうではないか!』
「だ、だけどここにはいるんでしょ? マナナンガル以外にもその……ヴァンパイア達も――――」
『いるからこそなのだっ! 彼奴等は不幸を撒き散らす疫病神の化身そのものなのだっ! こうしている間にもにじり寄って来ておるかも知れん…… さぁ、あんな不吉の先触れ共の事は記憶の果てに忘れ去ってさっさと先へ――――』
「お帰りなさいませ兄上っ!」
『ウアアァッ!』
背後から掛けられた声にギレスラは叫びを上げた。
振り返るまでもなくその声は、不幸を撒き散らす疫病神で不吉の先触れがにじり寄った結果、つまりヴァンパイアのヴラドの物に違いなかったのである。
叫んだタイミングで小ぶりなラマスに抱きついてプルプル震えている赤竜、誇り高きニーズヘッグな筈のギレスラにヴラドは首を傾げながら問う。
「どうされました兄上? そんなに驚かれるとは些か心外ですね」
『ウアアァァッ! ウアッウアァッ! 何だよコイツっ! ウアァァッ!』
「ふむ…… お忘れですか? 貴方のご指南によってドラゴンとなったヴラド、つまり弟でございますが?」
『ウワァっ!』
「はて?」
これ多分こいつのパッシブスキル、臆病者の敵愾心や恐怖心を強制的に増幅させる『強壮』の効果じゃないか? ギレスラって結構、臆病だからな、相変わらず。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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