2098.渡河
画面には見渡す限りの茶の木の中で、歓喜の声を上げる化け物たちと手を振って返すレイブの笑顔が映されている。
足元にはボコボコにされて瘤だらけのテケテケが転がっている。
レイブに近付く人影が声を発する、かなりの高齢らしい皺枯れた声音だ。
「じゃあコレ、日本制覇の証にアンタにあげるよ、ほれ」
「サンキュ糞ババ、ツミコ婆ちゃん、えっと、コレ何だっけか?」
「アンラ・マンユだよっ! 依り代の入ってるアーティファクト、何べんも言ってるじゃないの!」
「ああ、そっかそっか、半生むにゅだったか♪」
レイブの声だ、何故か直ったしすさんが直前にペトラが触れたエラー動画の再生を始めたのか?
にしてもアンラ・マンユ、か…… 確かにこの漆黒の念珠には全ての依り代が封印されている筈だが……
「でもアンタ戻れるのかい?」
「ああ、中から外には出れるんだよな? だったら大丈夫だろ」
「魔力が充満したせいで空や海中には規格外の化け物ばっかりだよ? アンタ泳げるのかい?」
「河童に乗って行くさ」
「バリアの外はとんでもない荒波だよ? 本当に大丈夫かねぇ……」
「まっ、なんとかなるだろ、それじゃ貰って行くぜ! あんがとな、糞バ、ツミコ婆ちゃん」
「ああ、気を付けて プツ――――」
『ジ!』
動画はタイムアップで切れた様だ。
「テューポーンさーんっ? 置いて行っちゃうわよーっ?」
『ジ? ジー、ジジ♪』
ラマスの呼ぶ声に勢い良く飛び立ったテューポーン、その声音はどこか楽しそうにすら聞こえたのである。
パラトゥンカから北上し、西へ進む道すがら、ペトラとギレスラ、ミロンとブロルとレオニード、それ以外のメンバーは大トナカイ、エバンガの背で楽しい一時をお茶会気分でのんびりと過ごしていた。
とは言え、ヌン活の主役は温泉水、それにペトラがそこらの雑草から選んだ葉っぱを煮出したなんちゃっての極みである。
今のメニューはトリカブト、言うまでもなく猛毒なアレだが、エバンガの背でグッドアフタヌーンを嗜んでいるのは悪魔入りばかり、揃って笑顔を浮かべ一服気分でまったりしている。
レオニードだけは口にした瞬間に真っ青になって嘔吐したり呼吸不全を起こしたりしてはいたが、即座に『回復』で救ったペトラ、続けて『解毒』を施したラマスのお蔭で大事には至らず一命をとりとめ、それ以降ラマスから距離をとって徒歩となり、付き合う形でミロンとブロルもペトラの影に身を隠しながらのテクり旅になったのである。
テクりとは言えハイペース、猛烈な勢いでダッシュを続けるラマス一行に追随する赤竜と黒猪は満足気な笑みを湛えた頷きを、ミロブロとレオニードは息も絶え絶えになりながらの強行軍の様相である。
以前溺れて死に掛けた大河、ペンジナを越える際にはペトラの背に乗せて貰い、渡り切る直前で意図的に落とされて大騒ぎをしていた、楽しそう、和気藹々で大変良かった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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