2092.意図的な進化
結果、木の枝に登った勇者は言った。
あれ? これ結構イケんじゃね? と……
仲間たち、古い慣習に囚われていたコアラ、言わば旧態依然を是とする保守的なコアラ達は聞いた、マジで? と……
彼等も又、抗い難き飢えの只中にあったのだ、仕方ない……
そして皆で木に登った、んでムシャムシャ食べた。
久しぶりに飢えが満たされたコアラ達、笑顔を交わしつついつも通りに塒へ向い、その途上で結構な数が死んだ。
当たり前だ、だって毒なんだもん。
僅かに生き残った面々は皆、仲間達が帰る中、最後まで卑しくモシャモシャ食べ続けていた食いしん坊な個体ばかりだった。
自分達も体の変化は感じていた、何か口の中チョー苦いっ! とか、胸ヤケ? ムカムカするー! とか、危ぇ腹下したかもっ! とかだったが、自分達がいる大樹の下、眼下でパタパタ召されていく割と行動的だった仲間達を見てうっすらと思ったのだ。
あれ? コレ食って動いたら死ぬんじゃね? と……
帰れーねーじゃん! そうも思ったが死ぬのはもっと嫌だったのだ、そりゃこの間も家に向かった仲間達は次々と死に捲っているのである、中毒で。
こうして運良く生き残った食いしん坊達は一つの選択を迫られた。
食べて動くと高確率で召される毒を今後も食べるか、それとも危ないから我慢するかの選択である。
普通に考えれば我慢一択なのだろうが、彼等は最後まで食べ続けていた食いしん坊達である。
そんな個体にとって選択肢は、満腹で幸せな充実感溢れる生涯か、ひもじくて惨めな悲壮感しかない生涯、この二択だったのだ。
食いしん坊は迷う事無く前者、食べ続ける方を選んだ、嬉々として。
もう二度と腹を空かせてたまるかっ! そんな食い意地メインの強固な意志がコアラをコアラたらしめたのだ。
樹上から動かない為に爪や腕、足は独自の形で適応し、生涯のほぼ全てをユーカリの上部、三分の一までで完結する種へと進化、つーか変化した。
地上を走らざる得ない場合もある事はあるが決して早いとは言えず寧ろ滑稽だと表される事も多い。
だが、結果的にその愚鈍さ、のんびりした動き、何にでも抱きついたままな無害さアピール、どこでもウトウトしてしまう警戒心のなさ、全てはユーカリの毒が全身に回らない為だったのだが、これがウケた、世界のアイドルとしての地位を確立させたのである。
余談だが、毒食を嫌って飢えを選んだ個体はやがてウォンバットへ、空腹に耐えかねて肉食を始めた者はタスマニアデビルやタスマニアタイガーへとそれぞれ変化していったのだ、これも又意思の力による進化であったのだろう。
お判り頂けただろうか? 意思の力とは生物の生態すら変え得る強固な代物なのだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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