2022.検証 ①
単なる道具に過ぎず正規のメンバーに数えられていなかったカメムシは文字通り虫の息で青息吐息、一旦休むのだろう、とぼとぼと議論の輪から離れていった、又逢う日まで!
そんな瑣末な存在、所謂虫けら如きのケアに使ってやれる時間が皆無な主要メンバーの話合いはサクサクと進む、いとドライである。
『さてこれからどうするかだけどぉ……』
ペトラの言葉にギレスラの頭上にはクエスチョンマークが浮かぶ。
『むっ? 一緒にレイブを追うのでは無いのか? あっちで独り、泣いているのだぞ?』
それはお前の勝手な想像に過ぎないけどな……
現実と妄想の区別が今一つ曖昧なドラゴンにでもペトラはちゃんと答える、優しい。
『それは当然そうなんだけどさ、少しだけ安全確認してからにしましょ? ほら、伝説上のメンバーが造った装置じゃない? 慎重に慎重を重ねて然るべきだと思うんだけどぉ、でしょ?』
『グ、グガァ! 新調に身長を…… 確かにそうなのだ! 流石はペトラなのだぁっ!』
『うん、じゃあちょっとだけ待っていてね』
『伸張っ!』
多分何も判っていない兄から許されて、かなり判っているペトラは精力的に動き出す。
まず、巨人に変化していたガトを呼び寄せると鏡面空間を示しながら次の様に告げたのである。
『ほらここ! ガトちゃんが入れるか試して欲しいのよ』
可憐な乙女フォルムに戻ったガトは色々大事な所を隠しながら答える、中身はうら若き乙女なのだ。
「良いけど…… あっちでミロンに聞いたけど、臭いんでしょここ? アタシってコユキの饐えた匂いとか苦手だったんだけどぉ……」
得意な奴は変態だと思うが?
『大丈夫よ! アタシが『魅了酒作成』で拵えたエタノールで即座に希釈するから、そうすれば普通の体臭でしょ?』
「うーん、普段から酷いっちゃぁ酷い匂いではあったんだけどぉ…… まあ良いわ、頑張ってあげるわっ」
『ごめんね、耐えて』
内包、若しくは融合中のサタナキアの記憶から、リアルなコユキ臭を知っているガトが許容するとは…… 中々の覚悟、いや滅私ぶりだ、やはり独り日本で泣きじゃくる幼馴染に惻隠したのだろう、泣かせるじゃないか。
『ガト、これを』
「サンキュ♪」
後ろを付いて来たダソス・ダロスから差し出された黒衣のローブ(レイブのお古)を身に纏い、決意に満ちた表情で歩き出したガトは、空中に浮かび上がった鏡面に向けて手を伸ばした、すると、
『あら? 何かしらこのノイズィーな音』
『グガァ、これがしすさんの声がする合図、なのだ! でもおかしいのだ…… 前は三回目で鳴り出したのに今回はまだ一回目なのだぞ? しすさんが間違えたのか?』
トカゲ並みの知性じゃそんなモンだろうな、きっと人でも入っているとか思っているんだろう。
『ギレスラお兄ちゃん、声よっ!』
『しすさんなのだ』
「えーおっほん――――」
「あら、この声って確か……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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