2004.馬鹿ばかり
『儂は皆にどうして詫びれば良いのじゃ…… いっそ死んでお詫びを、グァッ!』
『ああ、大丈夫っすかっ? 『治癒』! 長老しっかりぃっ! おい、ブロルっ!』
「『回復』……」
『う、う~ん…… いきなり何をするんじゃっ、バッタっ!』
『ジ? ジジー?』
キトラの呟きに即座に反応したテューポーンがカメムシの頚部を思いっきり蹴り抜いた。
治療系のスキル使いが複数居合わせた事で辛うじて一命は取り留めた物の同時に残酷な事実も明らかになった。
テューポーンも未だ『馬鹿』である事だ。
普段無口なお蔭でイマイチはっきりしていなかったが、良く考えればバッタと合体したのだ、賢い訳が無かった…… ギレスラ、孤立無援決定の瞬間である。
独りぼっちのニーズヘッグは重かった口をようよう開く。
『そんな事よりパッパが通り抜けられなかった方が問題なのだ…… 思い当たる理由はあるのか?』
パッパと呼びながら死に掛けた直後にそのセリフ?
『いや、そうじゃ…… 普通に通れる筈が通れなかったんじゃぞい! 普通が不通になっておったんじゃっ!』
……まあ、馬鹿だからな、仕方あるまい。
『ふざけている場合では無いのだ! こうしている間にもレイブは独り、心細くて泣いているかも知れないのだ…… いや、きっと泣いているに違いないのだっ! おいパッパっ! 早く原因の洗い出しと対策を講じるのだっ! 早く早くっ! さもなければ我が殺すっ、のだっ!』
幼い頃に依り代になったギレスラは馬鹿じゃない、筈だ。
キトラは細い前足を組んで頭を傾げている、どうやら本気で殺されはしないだろうと高を括っている様だがそれは間違いだ、これまでもレイブやペトラが止めなければ結構本気で焼き殺そうとする場面があった、しかもギレスラは馬鹿ではない、普通がこれ位の可哀想なドラゴンだったのだ。
「ええっ! では我が君の元へは行き着けぬと? むうぅん、謀ったかっ、このカメムシめがっ!」
「殺すっ! 殺すしかありませんよ! ギレスラ様っ!」
うん、こっちの二人、ミロブロは完全に馬鹿だね、可哀想だ。
『何じゃっ! 儂が悪いとでも抜かすのかっ、若造がっ!』
爺さん…… お前さっきまで自分が悪い、死ぬとかまでほざいてたじゃん……
『『治療』っ! どうっすか?』
何がだよ! 誰も求めてないだろうっ! 本当に馬鹿だな、お前はっ!
『時間が掛かる様なら一旦座っても構わないかな? 余は些かくたびれてしまった……』
『それは良く無いねっ! 疲れは万病の素だっ! さあ、早く座るんだ、ルッカ!』
『ああ、済まないな…… ん? ルッカ?』
『あっ、竜王様』
『うむ』
こいつらは天然物だ…… てかもうルッカで良いじゃん、それかいい加減呼び方位覚えろよレオニード。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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