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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

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2003/2024

2003.軋轢

 可哀想な二者の横からパダンパが挙手しながら絶対者キトラに発言だ。


『あのっすね、列が離れ離れになったら大声で報せるんすよね?』


 キトラはカメムシの瞳をギラリと光らせながら返す。


『そう言った筈じゃが? 何だ、何かあったのかのう……』


 ギラギラと一同を見回す瞳には権力を持つ者特有の生殺与奪の狂気が灯る。

 言い出したパダンパは一切気に留めない風で自分の横を指差しながらきさくな声だ。


『いや俺の前のブロルがその前のミロンと離れたんすけど黙ったままだったんすよ、良かったんすかね?』


『何じゃと?』


 キトラは無表情(虫だから)なままで無感情(虫だから)な視線をブロルに集中させる。

 一方ブロル(人形型)も同じく無表情 (おもちゃだから)な顔付きなまま、チラリと告発者のパダンパを一瞥しただけだ、これもまた無感情 (おもちゃだから)な瞳である。


 返事が無い事にキトラの声は多分に苛つきを含んで続けられる。


『おいブロルとやら…… おぬし儂の言い付けが聞けんのか? 正規メンバー様、じゃぞい?』


 ふむ、あのデブの配下が随分偉そうな感じになったものだ…… こいつ当時は腰蓑だったしなぁ……


 当時は極寒地獄のニブルヘイムでアガリアレプトの副官を務め、直接的には『聖女と愉快な仲間たち』と関わっていなかったブロルは堂々と答える。


「言い付けはちゃんと聞いたつもりだが?」


『はぁ? 何を言っておるのじゃ? 離れたら大声でっ! 行く時は一緒っ! ちゃんと言い付けておいた筈じゃがぁっ?』


「確かに聞いた…… しかし、出発直前に声を出すな、そうも言われた筈だが? 私の勘違いだったか?」


 うん、そう言えばそうだったな、どうするキトラ。


『そ、そうじゃった…… 儂自身が、確かに…… すまぬ、二律背反、相反する指示を出し皆をジレンマのパラドックスに陥らせていたのはこの儂の方じゃった…… しかも皆が心と歩みを一つにしなければならん大切な場面でじゃっ! 無理無体な板ばさみで辛い思いを強いてしまったようじゃわい…… はっ! トカゲ、いや竜王グラムランドは儂に過ちを気付かせる為に敢えて舌打ちを? そ、そうじゃったのかぁっ!』


『あ、いや、余は別にそこまで――――』


『待てよっ? ()しかして儂を鏡面に押し付けた時、既にこの事を伝え様としてくれていたのか? そうだ、そうに違いないのじゃっ! だと言うのに儂は、儂はぁ…… うっうっうっ』


 感情の起伏が著しく激しさを増す、これは悪魔が依り代と同化途中の折にしばしば散見される精神状態である、通称『馬鹿状態』と表現される社会生活に大変不向きな無茶苦茶な期間を指す。

 ()しくもこの場で馬鹿じゃないのは竜王グラムランドと幼馴染のレオニード、こいつ等は徹底的に世間知らずだからアテにはならない、とすれば頼りはギレスラとバッタ、か……

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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