2001.錠と鍵
物を知らない愚か者共めっ、そんな事を思いながら歩を進めていたギレスラに先行していたムシケラから声が掛かる。
『ジジジ、ジージジッ』
ふむ、判らん。
『ほお、この先が日本、なのだな? テューポーンさん』
『ジッジジ』
通じるのかよ。
会話、及びギレスラの視界に映った景色から、逢魔が原は終り、いよいよ日本への入り口に辿り着いたらしい事が判る、結構短いぞ。
言葉、ってか擦過音を聞き届けた一行も加えた一同の目には何故か鏡面仕上げバリに通路内を反射しているツルツルの岩肌が捕えられていた。
『うわ♪ 何かピカピカっすね! お先っすっ!』
『ああっこらっ! 余が先であろうっ!』
ダッ!×2 バンッ×2 バタンッ×2
『『きゅ~』』
馬鹿と頭の悪い竜王が先走って特攻し、敢え無く跳ね返されている、どうやら硬いらしい。
カメムシ長老の声が響く。
『ははは、無理に入ろうとしても無駄じゃぞい! これは対象の魔力紋を識別し個人を特定するシステム、通称バアル式オートロック機構搭載型クラックじゃからの~、ははははっ』
何その無駄に長いネーミング、まあ判り易いけど。
『バアル式…… では入れないのだ……』
尤もだね。
『儂がおるじゃろう? こう見えて儂も『聖女と愉快な仲間たち』の一員だったんじゃぞい?』
まあ、だけどな……
『しかしパッパ長老独り入れても仕方ないのだ…… 皆で行くのでは無いのか?』
そう来るよね、折角ここまでゾロゾロ付いて来たんだし。
『儂の後についてくれば入れるぞい! 隙間を空けずにピッタリ付いてくれば大丈夫じゃて』
『そ、そうか、安心したのだ』
共連れかよ…… それ誰かに見咎められたら準犯罪者だぞ。
倫理的な問題は兎も角として、これで皆揃って日本に向かえる、希望に満ちた表情の一行は縦長なフォーメーションで一列に並んだのである。
言うまでも無く先頭はキトラだ、皆さんの時代で言えば唯一のETCカード挿入車、又は侵入許可を有するマンション居住者的な立ち位置だからだ。
大体同じサイズ感でムカデ競争よろしく緊張した面持ちの一同に先頭のカメムシが声を掛ける、掛け声だな、運動会的だ。
『皆、息を合わせるんじゃぞい! 万が一離れてしまった場合は即大声で報せるのじゃ! そこから後続は入れなくなってしまうからの? その場で停止、行く時は一緒にぃっ! ええのっ?』
『『『「「りょっ!」」』』』
『ジッ!』
『良し、行くぞい』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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