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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

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192/2031

192.エピソード192 狂喜乱舞

本日6回目の投稿です。

1回目の投稿は、

『187.エピソード187 憤怒のイラ(挿絵あり)』

ですので、まだお読みでない方はそちらからお読み下さいませ。

 結局、アイツの元を訪ねようと決めた、その日の前日に、彼女は死んだ。

 原因は県警の捜査によると、単純なガス爆発、事件性は無いという事で片付けられてしまったよ。


 でも、俺はそうは思わなかったんだ……


 俺が、アイツがいなければ良いと、二人の息子と俺だけであれば、あの楽しくて、一日の疲れを癒してくれる、素晴らしい日々を取り戻せるから!


 そんな、(いびつ)な事を願ってしまったから、アイツが、俺の唯一の奥さんが死ぬ事になってしまったのだと感じていた、そう、世界の仕組みは、俺の、酷く独善的で、一人よがりな、自分勝手な思いに答えて、彼女の命を断ってしまったのだと気付いて尚、俺は僅か(わずか)な喜びを、いや、悦びを感じていたのであった。


 可愛い可愛い、最愛の、誰の子かも知れぬ、ただ可愛い、二つの『生命』、イノチが俺の元に戻ってきてくれたんだ。


 俺は狂喜乱舞した、そう、した筈だ!


 アイツが不慮の事故で死んだ事だけでなく、二人の息子は命こそ取り留めはしたものの、その身に一生消えないであろう傷を負い、見た目的にも残されたアイツの家族たちには、この事故を思い出させられて辛かったんだろう、結構簡単に『親権』を俺に移してくれたんだ。


 俺は、酷く自分勝手ではあったが、そう…… そうだな……

 喜んでしまったのかも、 知れない……


 兎に角、あの日、欲しかったものの半分以上を手に入れた俺は、バイトだろうが、日雇いだろうが、家に帰っての家事も、早起きしての慣れない弁当作りだろうが、全部喜びの中で日々を過ごしたんだよなぁ~。


 でも、でもだよ…… 幸せを感じる一方、俺の中で、アイツがガス爆発で吹っ飛んだ日から、変わる事がない疑問も、いや、自己否定が確かにそこにあったんだな、それは……


「罪を背負う俺が、いや、許されざる咎人(とがびと)が…… こんなに幸せで良いはずは無いだろ?」


 これだったんだな、まあ、いつも思い出すんだから、それなりにキツイ状態だったんじゃねーかなぁ?


 上の子が中三、下の子が中学に上がった、その年に俺は、子供を捨てた。

 まあ、それなりに評判の良かった施設のセンセイ達と、しっかり話した上で、子供達それぞれに話した後でだったな。


 何を話したかって? いや、そのまんまだが?


「俺はお前達の本当の父親ではないんだ…… DNA鑑定で、遺伝上の親子関係を示す因果関係は皆無なんだってさ…… 但し、俺が人生の中で唯一愛した女性は、お前達の母親だし、彼女と同じ位、たぶんそうだが、俺は、遺伝的に違ったとしても、今後も変わらずお前達二人を、息子として愛しているんだ、これから、お前達は、自分達だけの裁量で生きていかなければならない、辛い時には互いに支え合え、苦しい時には、道半ばで死を迎えたお母さんを思い出せ、理不尽に叩きのめられそうになって、折れそうな時には、この愚父(ぐふ)、お父ちゃんの馬鹿さを思い出して耐え忍んでくれ、な、頼む、この通りだ、お前達二人は…… 私とアイツ、お母さんが生きていた、たった二つきりの証しなんだからな」


 確か、いいや、一語一句違いなく、あの子達に言って、(くだん)の施設に預けたんだったな……


 今、この懐かしさが詰まった文化住宅には、アイツもいない、子供達の楽しそうな声も無い、もう、何も…… 無いな……





「どうだい? 聖女さんよ? 見たかい? 俺の話をよぉ!」


 突然、イメージの流入が止まるや否や、大きめの声で聞いてきた『憤怒のイラ』の問い掛けにコユキは、多少ビクッとしながらも普通に感想を口にする。


「……うん、見させて貰ったわ…… でも、ここまで、アンタは誰に対しても怒っていなかったよ? 悲しんだり、喪失感に襲われたり、淋しがったり、自分を奮い立たせたり…… ってことは、一旦止めた、この後に、アンタの『憤怒』、『怒り』が有るって事だよね? 大罪に選ばれるほどの…… 特大の怒りが……」


「聖女よ、恐ろしいか?」


 酷く落ち着いた、最早最初の怒鳴り声など思い出せないほどの深く沈んだ、それでいてどこか悲しい声音で『憤怒のイラ』はコユキに問う。


「恐ろしい気もするけどネ! 見せて頂戴、優しくて、不器用で、一途で、子煩悩な、アンタの失敗の果ての『怒り』ってやつをっ!!」


「! そ、そうか! 死ぬなよ、飲まれんじゃねぇぞ…… ありがとうな、俺に、俺みたいなもんに向きあってくれて……」


「え?」


 コユキの中に再びイメージが流れ込んできた。

 相変わらず男の思い、その気持ち、呟きの形式であった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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― 新着の感想 ―
[良い点] 子供たちが不憫でなりません。奥さんとイラ本人はともかくとして。この子達の周囲は、この子達自身をなんだと思っていたのでしょうね。というのも、人並ながら自分も家庭を維持するというのは大変なこと…
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