1857.論より
ギレスラはレイブに後ろから抱き付き、所謂バックハグで魔力の吸収を始めた。
それなりにドキる絵面ではあるが、レイブは特段のときめきを感じていない様だ、やはり家族、無気味な展開には向かわない、良かった。
見る見る間にレイブの姿が変化していく、とは言え気持ちだけスッキリした感じ、大体ムクミが取れた、そんな具合である。
『うむ、これ位で充分であろう』
「おぉー肩とふくらはぎが凄ぇー楽になったぞっ! これからちょくちょく頼もうかな」
やはりムクミ取りには最適らしい、新発見だ。
早速ギレスラは口中に光り輝くブレスを生成し始めている、見た目的には凶悪に見えるが間違いなく常温で緩やかな風、例の魔力譲渡の吐息だろう。
『クアァッ! 行くぞ、レオニード兄さん!』
『応っ! 来いっ!』
『グアッ! ガアァァァァーッ!』
『ぐうぅっ! ぬおぉっ!』
常温で無害とは言え、ギレスラが中継したレイブ製の濃密な魔力のブレスである、受け入れる気満々だったレオニードは接触点の顔面を中心に一気の膨張を見せる、本日二度目の巨顔化だ。
前回と同じくバランス的にどうしようもないふらつきで足元をぐらぐらさせているレオニードに声を掛けるのはブレスを吐き終えたギレスラである。
『レオニード兄さん! グルグルやりながら心中で語りかけるのだ!』
『ああぁあぁ~、りょ、了~解~、くぅ~っ、グルグル~』
因みに生まれて初めての魔力ブレスを受けたショックからか、見た目は金属質ではなく、普通の夜虎(巨獣)に戻っている。 ※頭は大巨獣並みです
『どうだ? アスタさん、返事をしてくれたのか?』
『グルグル~、い、いえ、まだ、反応なしっ!』
「あれかな? ムクミって表層の皮下に余計な水分が留まっている状態、つまり魔力の還流が偏った状態に近いのかも知れないよな? 肩こりとかもさっ! って事はコレ商売になるんじゃねーか? 次にマツリで里とか回る時に幾らか稼げそーじゃん!」
反応はそれぞれだ…… 各々未来に向けての真剣勝負だ、みんな頑張れ!
パンパンに腫らした顔面で必死にグルグルやっているレオニードだが、中々狙い通りにはいかないようだ。
何故判るか? 会話をしている風でも無いし顔のでかさも全身の質感も何ら変化が無いからだが? これで上首尾に事が運んでいたらここまでの状況描写全てが無駄だった事になる、そんな事は認められない、絶対っ!
私と同様に看過出来なかったのだろう、ギレスラは見かねた感じで声を掛ける。
『まだ来ないのか?』
『依然っ! グルグルグル~』
「体全体が軽くてキレも増したみたいだな…… こりゃ技の精度とかも上がっているかもな!」
独りズレているがまあ無視しておこう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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