1855.正論
本気で恐ろしがるレオニード、本人の了解も得ずに狂う可能性を知りつつ暴挙に出た兄弟は悪びれる素振りも見せずに会話を続ける、仕方無い、野生児だからだ。
「まあ暫らくグルグルやってりゃ乗っ取られる前に消えるけどさっ、慣れない内は恐いかもな」
『うむ、それに結構五月蝿いからな、落ち着かないのだ』
野生児の兄弟はなにやら事情通っぽい気配を醸し出している、レオニードは聞かずにいれない。
『なんか…… 慣れてるみたいだよね?』
無知者に対して威張り捲る普段の嫌な既知者まる出しのマウントも見せず、至極当たり前そうな表情で野生児達は答える、曰く
「ああ、子供の頃、アスタさんと融合したばかりの頃に散々聞かされたんだよ、生命とか存在とか? あと目的だとか意思だとか訳の判らない供述を繰り返し述べ捲っていたな」
『ああーなるほどー』
経験を一にするのは最も容易な理解の手段なのだ。
『で? アスタさんのその話が五月蝿かったのかい?』
『いや、その後も何か食べる度にモンスターや野獣の声、木の実や草の想念なんかが聞こえ続けて来ているのだ…… 夜食なんか食べると夜の間中騒々しくて眠れなかったりするのだぞ』
『あーそれは…… って! 若しかして私もそうなっちゃったって事ぉ?』
『なのだ』
『うえぇぇぇっ!』
「ははは♪ なに、すぐ慣れるさっ!」
『えーえーえーえー』
望まずして異常体質にされてしまったレオニード、哀れである。
しかし、フルでノーマル条件化以外で憑依された拠り代ってそんな感じなんだな…… 殺して食った相手の想念が聞こえるとか? それなりの地獄、試練なのでは無かろうか?
まあ、乗り移った相手が考え無しの知識フリーク、アスタロトだった事を怨むしかないな…… ファイト!
さて、知らない内に彼等のクラブに招かれ、ついでに三文芝居の座員にまでさせられていたレオニードの続けた言葉とは。
『まあ良いや! ところでアスタロト様の言葉の続き! アレ聞くにはどうすれば良いのかな? 何か方法とかあるのかな?』
まさかの前のり発言…… 思った以上に克己心が豊富だった様である。
旅の魔獣、しかもライオンとアバンチュール気分でタイゴンを拵える位だもんな、進歩的なのかもしれない。
この問いに答えたギレスラもベテランの依り代、所謂パイセンらしく澱みない声だ。
『再び我等の魔力を注入すれば続きが聞けるであろう、しかし理想を言えば幼少期からアスタさんと交流していたレイブの魔力が最適なのだろうがな……』
『おおっ!』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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