1836.ベリートラップ
さて……
ミアキスから分かれたワンとニャンは近似種だ、だから結構似ている、カワエエしなっ。
脊椎動物共通の大切な部位、背骨周辺からスライディングをかましたレオニードを心配する声は、この場を目撃していた唯一のワン属性持ち、犬似なニンゲン、ブロルから発せられた。
「なっ、なんと見事な着地姿勢っ! 完璧なベリーアップじゃないかっ……」
うん、心配の声では無かったな、寧ろなんか褒めてるっぽい感じだ、何故だろう?
相方のミロンが言葉を引き継ぐ。
「ふっ、あれはベリーアップでは無い…… ベリートラップ、つまり、甘き罠、抗えぬ魅惑の邪法、だよ」
「おぉっ!」
『流石は親父だぜっ! やるぅっ!』
『ジジジッ? ジ? ジジ?』
どうやら無脊椎に身をやつしている最中の百頭の魔、テューポーンさんにはチンプンカンプンらしい、私、観察者も全くの同感だ、何だこれ?
より詳細に観察しよう、困った時こそ原点回帰、基本に立ち返ればなんとかなる! そう、私は観察者なのだ。
改めて丁寧に見回した所、落下の衝撃を一切殺さずにモロに墜落したレオニードは仰向けのままで四肢を広げた姿勢のままを維持し続けている。
観察者として適切な表現をするならば、サキ クボタの大ヒット曲の歌い出し、鳥や雲や夢までもつかもうとしている子供たち的な感じで、である。
無防備で叩き付けられた背中も無事である筈は無い、もうズタズタのボロボロで瀕死で際っ際に見える、当然今際の際だ、いまわのきわ、そう、キワッキワ、正に死ぬ直前だ。
キワオブイマワにある筈のレオニードは姿勢を変えない。
注意深く観察すれば微かに呼吸は維持出来ている様だ…… って事は死後硬直でもあるまいし…… 何故だろう?
呼吸音より更に微かな音が聞こえる? これは? 鳴き声? だろうか……
酷くか細く所在無さげな弱々しさしか感じないニィニィと言った声…… どうやら倒れて空を見上げたままのレオニードが発しているらしい。
何だろう? どこか保護欲を刺激する可愛らしい声音だが…… 確かこれは捨て猫? とかが公園とかのダンボール製のお家(キャリー可)で発する用の奴だった筈だ…… そこはかとなく牛乳パックを買いに走りたくなる…… スキルの類だろうか?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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