1826.強さ
私が無垢な心を取り戻す事に成功する一方、観察対象の金属虎とレイブは肉体的な接触を図っていた、エロでは無く、魔力の出入りポイント、顎下の上廉泉に手を当てて何やら難しい顔を浮かべつつ唸っているではないか。
「うーん? 何かが邪魔してるんだよなー? この毛? これが魔力とか流しちゃう感じなんだよなー?」
うん、それタンタル、そーゆー系の金属だからね。
『は、早くぅっ! 早く早くっ、急いでっ!』
焦るレオニードの背後では魔力=殺意を極限まで昇華させた豚が準備完了を呟いている、曰く、
『滾るぜぇ~、ブヒヒヒィ! 殺ってやる、殺ってやんぜぇ~! ブヒヒヒヒイィ~ッ!』
だそうだ。
最早時間切れ、そう思われた時、青褪め切ったレオニードの耳に、顎辺りから希望のセリフ、レイブの声が届いた。
「おっ、ここだな! 良しっと♪」
『っ♪』
『……ボア ラミング』(ボソッ)
ダッ! ドッドッドドドドドーッ!
背後からあの豚の突進音が近付く中、レイブの施術によって姿を激変させたレオニードは、再び生存本能による警鐘を感じていた。
――――ああ、こんな感じで死ぬんだな……
と。
小娘、いや子豚レベルのペトラに生意気な事を言われ続けるのは辛抱ならなかった。
何故なら自分は自他共に認める大人、いや充分成獣な猛虎だったからである。
誰でも知っている通り、地上で虎は最強の一角、疑い無い強者である。
科学力と言うチートバフ抜きなら彼等に勝てる生物は片手で数えられる位しか存在しない。
ゾウ、サイ、カバ、キリン、ホッキョクグマ、ヒグマ、キングコブラ、アカカンガルー、オオスズメバチにオオムカデにハブにマムシにクズリにカモノハシ…… うんっ、両手若しくは足まで数えればきっと最強の一角なのだろう! クマムシとかはぁ…… この際、無視でっ!
そんな最強…… 比較的強い方の虎であっても、猛者揃いの竜王の里で台頭するのは決して簡単な道のりでは無かったのだ。
ライオンがいなかったのは不幸中の幸いだった。
聞く所によればあいつ等は百獣の王? とか呼ばれているらしい、恐い、それしか思えなかった。
天を衝く巨体を誇るクマやセイウチ、ヘラジカ共より強いネコ科? は? 化け物かよっ! それが率直な感想だった。
サバンナとは無縁も良い所の極地、最果てのタイガに凶悪なライオンはいなかった、本当に良かった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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