1821.リアクション
結成時から居たらしい生え抜き座員が次々と声を発する。
「いや、私には完璧に思えましたよっ! 副座長っ!」
「常にレイブ様の気紛れで始まるこの演目…… ギレスラ様で無ければどなたが支えられると言うんですか?」
『ジジジ』
『あら? アタシじゃ無理ってゆー意味なのかしらっ?』
「いや、そーでは無くてですね! 今はギレスラ様の…… ちっ、面倒臭いな、ったく……」
『ジジー……』
『ふんっ!』
どうやら生え抜きの立ち上げメンバーも一枚岩では無いらしい、芸術性の違いとかだろうか?
こりゃレイブが後進に道を譲ったりするタイミングで、割れるな…… 恐らく間違いなく。
私、観察者がそんな風に劇団の行く末、取り分け分離独立とか憎しみ合いを心配していると観客で騙され役の夜虎に倅のパダンパが話し掛ける。
『親父的には良い事尽くしだよな? 無事グルグルも習得出来たし、見た目も格好良くなったしね!』
『え? あー、うーん…… 結果として成果はあったけどさぁ…… やはり騙されていたとか? そーゆーのもアレっちゃアレだし、何より本気で心配したんだからさっ、こー釈然としないとか? な? 判らないかな?』
当然の言葉だろう、騙されるだけでもイラッとするのに更に同情したり嘆いたりしたらそのムカつきは段違いに高みへと引き上げられる、そうなるだろう。
考察するに、自分が無防備に寄せた心が純粋なら純粋な程、照れ隠しや自身の迂闊さが協力する形で怒りのボルテージは爆アゲされる、真心を返せっ! って理由なのではなかろうか?
そう考えればレオニードの不満は全然ユルイ、ユル過ぎる。
この理由はドラゴンと言う生物ヒエラルキーの最上位に君臨する我儘共に長年の間仕え続け、そのトップの竜王に侍る位置まで我慢をし続け、ロクな説明もされずに最近解雇になったばかりの生涯から類推出来る、つまり、不遇や理不尽に慣れている、いや、慣らされてしまっている事だと特定可能だ。
可哀想に……
普通、と言うかクルン=ウラフの獣人達の殆どはこの嘘バラシの段階でキレた、もうプンプンであった。
一時は獣人達の殆ど、弟子と悪魔入り、一座に加入した熊兄妹とウータンギャルズ、後は邪悪そうで酷薄丸出しの毒蛇軍団以外はレイブ達に対して露骨な嫌悪を顕していたのである。
コソコソ遠目で何やら話し、笑顔で挨拶しても返って来るのは会釈だけ、時には唾を吐きながら露骨に中指を立てたりする獣人達、とどめにそれまで懐き捲っていたヤモリ似の三つ子、ステナの子供達から石を投げられた日の深夜、人知れず流したレイブの涙は今でも私、観察者の脳裏に焼き付き忘れられる物ではない、不思議と美しい涙であった
それでもっ! 自分達がどれ程嫌われ唾棄され様ともっ! 皆が魔力に適応出来るんなら良いじゃんか! そんな献身と滅私の心で痛みに向き合って来た、それがこの一座だったのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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