1806.急転直下
大体元々と比べて二倍程度、痩せ細った体とのバランスがぬらりひょん程度にまでなった時、レイブは顎下から手を離して恭しく言葉を発する。
「さあレオニード兄貴、立ち上がって下さいよっ!」
『む? しかし私、いや俺の体は三匹の大型魔獣、それに超小型な割に馬鹿みたいに力強い例のバッタが――――』
「はっはっはっ! 心配する事はありません! ほれ、あの者達ならばそれそこに♪ 皆、兄貴の新たな旅立ちを寿いでいますよ!」
『え?』
レイブの言葉に振り返ったレオニードの目には、いつの間にか背を降りた息子のパダンパ、同じ位の魔獣に見える実はニンゲンだと言う狼と虎の巨体、ミロンとブロル、それに小さな体でヤケに存在感があるバッタが並んで微笑み掛けている姿が映った、揃って掛け値無しで優しさに溢れた良い顔である。
『お、お前達…… ぐっ』
思わず言葉に詰まるレオニードにレイブの声が届く。
「さっ、兄貴、立ち上がってその雄姿を見せてやらないとっ! さあっ!」
端役の励ましで主役、いや、そう思い込んだレオニードは立ち上がる。
未だデカ過ぎる頭にガリガリで棒っぽい下半身、転ぶのか? 転ぶよな? そう思わせつつもなんとか震えながらその身を起こしたのである、凄いぞ!
『ぬおおぉぉーっ! ま、負けてたまるかーっ!』
ぬらりひょんは立ち上がる事を成し遂げた。
その上で、だ! 腰が完全に引けた状態で左右に振られ、あっちにフラフラ、こっちにグラァッ! とかなりながらも起立状態を保っているのだ、改めて言おう、凄いぞっレオニードォゥっ!
主役パワーで転倒をギリギリで回避しているレオニードにレイブが掛ける声は続く。
因みに彼の大切なスリーマンセルの相方達、ドラゴンと豚猪は鱗と贅肉に包まれてぶっ倒れたままである、どうやらそっちよりこっちのが大切と判断されているらしい、哀れだ。
「流石はレオニード兄貴だっ! 根性が違うぜっ!」
『むふっ、そ、そうか?』 グラグラ
「無論だよっ! 立派な姿にあいつ等も…… あ、あぁっ!」
『え、何? 何事ぉっ?』 グラァッ!
驚愕の表情で指差すレイブ、再び振り返ったレオニードの視界には、いつの間にか倒れ込みピクリともしていない息子とミロブロ、テューポーンの変わり果てた姿が映る。
『ああっ! な、何故っ!』
「恐らくレオニード兄貴の魔力で瀕死だったんだろう…… さぞや苦しかっただろうに、グスッ、最後の力を振り絞って兄貴を励ましたんだな、グスッ」
『息子とその友達ぃ、そんな状態でわた、俺の為にぃっ!』
「当然っ! でっす!」
『えっ!』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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