1804.アンコンシャスバイアス
目覚めた彼、主役レオニードには周囲の全てが違って見えていた。
そう、彼は皆さんの時代では一般的な成長過程での忌むべき痛み、『邪気眼』に開眼、目覚めてしまったのである。
まあ、魔眼やスキル、モンスターや悪魔も普通にいる時代である、邪なフィルター掛けの物の見方位大した事では無いだろう。
但しデビュー時期としては非常に遅い、所謂オールドルーキーだ、拗らせなければ良いが…… 祈るばかりである。
さて、新たな視野を手に入れたレオニードの前では、主役の目前でしか起こりえない事態が展開される事となる、無論、歪んで偏り捲った『邪気眼』ごしの世界だ、当然極個人主観な補正が入る。
具体的には、先程までツンツンしながら自分を虐めていた脇役の雌豚、説教を切欠に甲斐甲斐しくお世話し始めたデレデレが突然の轟音と同時に地面にぶっ倒れたのである。
『ペトラちゃんっ! いや、ペトラぁっ! どうしたんだっ! しっかりしろぉっ!』
突然の呼び捨て、しかも対象は先程ヘソ天で服従を誓った相手に、である。
普通なら出来ない事ではあるが、これも主役補正、つまり『邪気眼』の副次効果なのだ。
蘇りつつある視界で見た脇役の姿は丸々と良く肥えていた、まあ元々太っているのだがそれよりも尚、肥え太って見えたのである。
若しかして己の醜さを恥じる余りに地に伏せたのか? そんな風には考えない、何故ならレオニードは主役(気分)なのだから。
異変を確認しすぐさま仲間に伝える事を怠らない、主役だからだ。
『レイブ殿、いやレイブっ! 豚、豚ぁっ! なんかおかしいぞっ! 見てくれぃっ!』
ふむ、この観察の本当の主役に対しても堂々としている、良いじゃないか、中二病。
しかし言い方が少しなぁ…… あれか、少年誌とかじゃなくて青年誌とかネット小説とかかなぁ?
私と違い、ぞんざいな言い方と一人称の勝手な変化が気にならないのか、我等がレイブは素直に戻って妹の肥満豚を覗き込みながら発言だ。
「なっ、なんて事だっ! この豚、いやペトラまで魔力に侵食されちまうなんてっ!」
『なんだってぇっ! この俺の主役故に規格外な魔力が脇役の豚をぉっ? くっ、俺が自分の非凡さに気が付けなかったばっかりに…… これじゃ無自覚系の主役みたいじゃないか…… 好みが分かれがちな属性だぞ、それは……』
どうやらこの辺りにはラノベ系の知識が多めに残されているらしいな、比喩として使われているのかな?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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