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堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~  作者: KEY-STU
第一部 一章 悪魔たちの円舞曲(ロンド)

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160/2030

160.魔獣

「オルクス君、一体どこに送ったのでござるか?」


 善悪の問いにオルクスが答える。


「トリマ、チカク、ノ、ヤマ、ダヨ…… ヒガシノ、ホウ」


 ラマシュトゥとシヴァも驚いた口調で続いた。


「あの熊、魔力を使ってましたわ!」


「ああ、信じられん事だが、その通りだ」


 その会話を聞いたモラクスが唸る様に答えた。


「では、モンスター、いや野生ならば魔獣だったと言う事であろう、大変珍しい事ではあるが……」


「馬鹿な!」 「ぬうぅ!」


 アヴァドンが信じられないと言った感じで叫び、アジ・ダハーカが同時に唸った。

 コユキが不思議そうに質問した。


「そういえば、悪魔とか魔王とか出てくるから当たり前だと思っていたけど、皆の反応見ると魔物って珍しいのかな?」


 代表してモラクスが答えてくれた。


「いいえ、魔物は珍しくありません、魔界ならどこにでもいますから、珍しいのはさっきのヤツみたいな魔獣でございます」


 コユキはハテナ顔で聞き返した。


「へ? それって違うの?」


「はい、魔物は主に家畜が変化した物でございます、対して魔獣は野生種となります、が、最近は見掛けない筈なのですが……」


「へぇ、昔はいたでござるか? 魔獣が?」


「はい、ジュラ紀や白亜紀は多かったですね、御存知でしょう、恐竜とか言われる物です」


 ふむ、悪魔達の中では魔物と魔獣には大きな違いがある様であった。

 話していて少し落ち着いたコユキたちは、再び溶岩窟の奥に向かって進み始めるのであった。


溶岩窟をズンズン進んで行くと、やがて通路全体に赤と黒のまだら模様のオーラ、瘴気だろうか? が張られた場所に出た。

 手前で足を止めた善悪が、自身の(ふところ)に入ったオルクスに尋ねる。


「この向こうが本格的に魔界、と言う事でござるか?」


「ソソ」


 オルクスが普段通りシンプルに答えた。


「ここは、地上への瘴気の流出を防ぐ為の簡易的な結界ですな、中に入ると普通の人間にはやや苦痛でしょうな」


 流石に説明不足だと思ったのか、コユキの肩の上からパズスが補足してくれた。


「へ?」


 話を聞きながら瘴気の壁をシラっと越えた……

 えっ? 越えてしまっていたコユキが間の抜けた声を上げた。

 驚いたのは善悪であった。

 何しろ、善悪にとって幼馴染のコユキは、体型こそ浮世離れした化け物であったが、パズスのいう所の『普通』の範疇(はんちゅう)であったからだ。


「こ、こゆきちゃん! だ、大丈夫なの!」


 善悪が心配しているそばから、案の定コユキの様子がおかしくなってしまった!


「んぐっ! た、助けえっ、ぜん、善、あ、く…… さ、よ、う、な、 ら……」


 ガクリッ!


「こ、こゆきちゃ――――ん!!」


 善悪の絶望の叫びが、溶岩窟中に(むな)しく響き渡るのであった……

 善悪はコユキに寄り添うように、瘴気の壁を通り過ぎ、ピクピクしているコユキを抱え上げ、悲しそうな声を上げるのであった。


「こゆきちゃん! しっかりして! しっか、かはっ! ぐぬぬぬぅ! む、無念っ! があはぁぁ!」


 ガクリッ!


 なんと! 善悪までコユキに続いて倒れ込んでしまったでは無いか!

 こんな! こんな中途半端で終わってしまって良いのだろうか?


「てへへ、良いノリだったわね、善悪! 体調どう?」


 コユキが言った。


「なはは、であろ? 体調でござるか? ん、いつもより良い位でござるよ!」


「まじ? アタシもなのよん!」


 馬鹿二人のいつもの悪ふざけであったようだ……

 やれやれ、全く…… 人騒がせなデブ共め!!


 心配してしまった私と違い、スプラタ・マンユの面々は慣れているのだろうか?

 全く気を使っていなかったようで、少し笑ったりしている…… ちきしょう!


 兎も角、魔界の瘴気も何故だか二人には一切の悪影響を及ぼす事は無く、その後もテクテク気楽に歩いて行くと、先の方に何やら真紅の光りが見えた。

 真紅の光りが指し込む先には、溶岩窟の中とは違い、広大な広さを感じさせる空間の存在を感じ、二人の足運びを速めさせたのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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[良い点] まぁ、2人とも一見すると魔界の産物ですよね。瘴気もきっと大好物(汗)登場人物が調子こいて読者にドッキリを仕掛けられるのはこの作品ならではですね、とても面白かったです。でも二人には一発かまし…
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